グランドピアノのために増築するかしないかで迷っている方へ

子どもの習い事の中でも、ピアノは昔も今も特に人気がありますね。

ピアノの習い事をしている方は、グランドピアノに憧れていることもよくあります。

しかし、一般の住宅はグランドピアノを置くための設計にはなっていません。

そのため、グランドピアノを置くために増築やリフォームをするか、しないかで迷うことがあります。

グランドピアノを置くためにはどのような増築やリフォームをすれば良いのか、しない場合にはどのような方法があるのかについてお話しします。

グランドピアノのために増築する?①ピアノの種類

実は、ピアノは大きく2つのタイプに分けられます。

【音の出し方の違い】

一つ目は、比較的手軽な価格で売られている電子ピアノです。

二つ目は、アコースティックピアノと言って、ハンマーで元をたたく構造のものです。

【形の違い】

さらに、このアコースティックピアノは2つの形に分かれています。

一つ目は、グランドピアノです。

グランドピアノはモデルによって違いますが、だいたい350キロ以上の重さがあります。

中には、これよりもずっと重たいモデルもあります。

二つ目は、アップライトピアノです。

グランドピアノをコンパクトにしたタイプで、一般の住宅にも置きやすい形です。

アップライトピアノはグランドピアノよりも軽めのものが多いのですが、それでも標準的なもので250キロはあると言われています。

では、グランドピアノを置くには増築が必要なのか不要なのか、順に考えていきましょう。

グランドピアノのために増築する?②ピアノの重さ

繰り返しますが、一般的なアップライトピアノで250キロ、グランドピアノで350キロ以上と聞くと、グランドピアノが非常に重たいことが分かります。

普通のお宅の一般的なフローリングに三本脚のグランドピアノを置いたら、床に負担がかからないのか不安になってしまうような重さですね。

確かに、学校にあるグランドピアノも、行事等で移動が必要な時には大人の男性が何人も集まって、力を合わせて移動させるほどです。

ただ、グランドピアノと言ってもサイズは色々です。

一般的な戸建て住宅にも置けるような比較的コンパクトなグランドピアノは250キロ程度ですから、このくらいならアップライトとあまり変わらない重量です。

ちなみに、一般的な戸建て住宅は、構造計算をする上で固定荷重と積載荷重を考慮して作られています。

この固定荷重は「永遠に変わらない重さ」や「変化のないもの」ですが、積載荷重は「物の配置によって変わるもの」です。

なぜなら、重い物を置く場所が変われば、その重さがかかる場所も変わるからです。

本棚などと同様に積載荷重として考えるグランドピアノですが、ピアノは一度、場所を決めて設置したら、なかなか場所を変更することはありません。

というのは、場所を移動したり、持ち上げたりすると、調律が必要になったり、防音対策が新たに必要になる可能性もあるからです。

さらに、グランドピアノは三本脚で床に接するので、部分的に重量が集中します。

非常に重たいグランドピアノですが、重量だけに関していえば、増築しなくても部分的なリフォームで済むこともあります。

増築をしない場合には、一部に重量が集中してしまうことに対する対策として捨て張り合板を使うことや、積載荷重対策として増し張りするなどの方法を取るのが一般的です。

グランドピアノのために増築する?③ピアノのサイズ

皆さんが目にするグランドピアノは、学校の音楽室や体育館、あるいは音楽ホールやホテルのエントランスなど、広いところに置かれていることが多いのではないでしょうか。

グランドピアノは絶対的にサイズが大きいので、「増築しなければ置けないのではないか」と考える人もいるほどです。

まれに、個人の戸建て住宅にグランドピアノが置かれていることもありますが、自分の家に置くのはなかなか難しいですよね。

確かに、グランドピアノはとても大きいです。

四畳半の部屋に入れたら、部屋が占領されてしまいそうな大きさですから、部屋の数や広さに余裕がない場合には、増築が必要かもしれません。

ただ、部屋に置く前には、搬入する必要があります。

グランドピアノをどこに置くかにもよりますが、玄関や置き場所までの廊下や階段、あるいは部屋の入り口を通れるのかどうかも、グランドピアノを設置するための重要なチェックポイントです。

もう少し詳しくお話ししましょう。

グランドピアノは、高さや間口はどれもあまり変わらないのですが、奥行きが違います。

奥行きを長くすると、弦の長さも長くなって、内部の面積や容積も大きくなって、きれいな響きを作り出すことができます。

一般的なグランドピアノは、奥行きが150センチから240センチですが、フルコン(フルコンサートピアノ)のように大きなホールで演奏するためのものになると、小さいものでも270センチもあります。

そのため、一般的な広さの住宅に置くのであれば、コンパクトなタイプのものを選ぶことが多いでしょう。

しかし、いくら「コンパクト」だといっても、やはり奥行きが最低150センチは必要ですから、そのサイズのピアノを設置場所まで搬入できるかどうかは確認しなければなりませんね。

グランドピアノのために増築する?④適した広さ

前述のとおり、グランドピアノは重量が大きく、奥行きもかなりあることが分かりましたね。

では、どのくらいの広さの間取りに置くのが一般的なのかご紹介します。

一般的なグランドピアノは、奥行きが150センチから240センチですから、畳2枚分もあれば、とりあえず置くだけなら問題ありません。

しかし、演奏するとなると、演奏する人の座るスペースも考慮しなければなりませんし、人が出入りするためのドアの開け閉めが問題なくできることも必要です。

通常は「8畳から10畳ほどあると良い」と考えられていますので、この広さの部屋が現状の住宅に用意できないのであれば、増築も検討した方が良いかもしれません。

もし、グランドピアノのために増築するのであれば、床の補強と遮音・防音にも配慮した設計ができると良いですね。

グランドピアノのために増築する?⑤音対策

では、重量が問題なく、設置場所も搬入経路も問題なかったとしましょう。

ここまでは、自分の宅内のお話しでしたが、グランドピアノを置くということは隣近所への配慮も必要になります。

音の問題です。

隣近所にグランドピアノの音ができる限り漏れないような対策を取らなければなりません。

設置場所の遮音性を高めるためには、以下のような方法があります。

【音対策】

・遮音性能のある二重サッシにする

・防音カーテンを使用する

・防音カーペットを使用する

・隣家寄りに置かない

・リフォームし、防音施工する

・グランドピアノ用に増築し、防音室を作る

グランドピアノの音はよく響きますから、自分が思っている以上に音漏れしている可能性があります。

ピアノを演奏する時間や環境によっては、より音漏れに気を付ける必要性が高まりますので注意しましょう。

グランドピアノのために増築する?⑥住宅の状況の確認

ここまでのお話しから、グランドピアノを置くために増築やリフォームが必要な場合、その住宅が増築やリフォームが認められる住宅なのかどうかを確認してください。

例えば、再建築不可の住宅の場合、建築確認を受けることができないので増築はできません。

ただし、そのような場合でもリフォームあるいはリノベーションはできます。

延べ床面積500平方メートル以下の木造の2階建て建築物の場合には建築確認は不要ですから、住宅の基本的な構造部分を変えないで、増築に該当しない程度のリフォームならできます。

どの程度までできるかは物件ごとに違いますので、信頼できる業者を探して相談するところから始めると良いですね。

専門的な目で、増築が必要なのか、他の方法で済むのかをアドバイスしてもらえることでしょう。

グランドピアノは増築しなくても置ける

グランドピアノを設置するために増築するか迷ったら、まずは搬入経路の確認をしてください。

搬入経路に無理があるようなら、増築やリフォームを考えると良いですね。

問題なく搬入できるようなら、床の補強や防音対策が必要かどうか考えてみましょう。

グランドピアノがある生活を楽しむために何が必要なのか、どうすれば良いのかを考えると増築が必要かどうかの判断ができます。

グランドピアノには、増築が絶対に必要なわけではないことを覚えておいていただけたらと思います。