不動産会社を介して賃貸借契約を結ぶ際、前家賃と一緒に仲介手数料を支払うことが多いです。
そして、この仲介手数料は、家賃と違って消費税の課税対象となっていますので、提示された金額に疑問を持った方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、賃貸借契約を結ぶ際に、仲介手数料のような課税対象になるものをご紹介していきます。
課税対象になるものを把握し、賃貸借契約を疑問を残さずに結べるようにしてください。
賃貸借契約を締結!このとき発生する仲介手数料とは何?
賃貸借契約を結ぶと、不動産会社に前家賃や仲介手数料を支払うことになります。
この仲介手数料とは、いったいどんな手数料なのでしょうか。
賃貸物件を決める際には、主に不動産会社を介して取引を行うことになります。
不動産会社へ訪れ、物件を紹介してもらい、見学といった流れで探していきますよね。
このとき、不動産会社が、入居者と大家さんの間で仲介業務を担ってくれますので、その報酬として支払うものを「仲介手数料」というのです。
冒頭でもお伝えしたように、仲介手数料は消費税の課税対象です。
それを知らずに、契約を結ぶとき提示された手数料の金額に疑問を抱いた方もいることでしょう。
なぜ、仲介手数料が消費税の課税対象なのかを次項でご説明していきます。
仲介手数料は消費税の課税対象なの?
賃貸借契約を結ぶときには、仲介手数料も支払うことになることは先ほどお伝えしました。
この仲介手数料は消費税の課税対象となるわけですが、なぜ該当するのかをここでご説明します。
消費税の課税対象となるのは、「事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等及び外国貨物の輸入」とされています。
しかしこれだけでは、仲介手数料も該当するのかわからない方もいるかもしれませんね。
不動産会社の立ち位置で考えるとわかりやすいかもしれません。
不動産会社は、大家さんと入居者の間に入って契約を結ぶことで、仲介手数料という報酬つまり対価を得ていますよね。
したがって、「事業として対価を得ている」ということに該当しますから、仲介手数料は消費税の課税対象となるのです。
賃貸の場合に仲介手数料はどのように算出される?
仲介手数料が消費税の課税対象に該当することをお伝えしたところで、仲介手数料の金額はどのようにして決まるのかをご説明しましょう。
この金額は不動産会社が勝手に決めてよいものではなく、宅地建物取引業法によって上限が決められています。
賃貸における仲介手数料の上限額は、「賃貸価格の1ヶ月分」とされています。
そのため、だいたいは家賃1ヶ月分に消費税をプラスした金額が仲介手数料として支払うことになります。
ちなみに、不動産会社は仲介手数料を入居者だけでなく大家さんからも頂くことが可能です。
大家さんからも入居者からも頂く場合でも、合計1ヶ月分と決められていますので、両者から頂く形態にしている不動産会社であれば、上限よりも低い金額になっているかもしれません。
大家さんから全額頂いている場合は、入居者は仲介手数料を支払わなくて済むので嬉しいポイントになりますね。
仲介手数料の算出方法についてもご説明しますが、もし1ヶ月の家賃が60,000円であれば、
60,000(家賃)×1.08(消費税)=64,800円
を、仲介手数料として支払うことになります。
あまり詳細を記載しない不動産会社の場合、「仲介手数料:家賃1ヶ月分」と記載しているだけで、消費税を課税することを表記しない場合もあります。
これにより、後日仲介手数料の金額を提示されたときに「家賃1ヶ月分じゃない!」と疑問に発展してしまうのです。
ですから、今後同じような疑問を抱かないためにも、仲介手数料が消費税の課税対象であることを、ここでしっかり頭に入れておきましょう。
ほかにも消費税の課税対象になるものがある!
賃貸物件を決めたときには、仲介してくれた不動産会社に手数料を支払います。
このときの仲介手数料には消費税が加算されるのですが、ほかにも課税対象となるものがありますので、ここでご紹介していきます。
まず挙げられるのは、「駐車場」です。
もし、駐車場のない賃貸物件で、月極駐車場などを借りる場合は消費税の課税対象となります。
また、住居用ではなく事務所として使う場合、家賃は課税対象にあたります。
さらに、住居用であっても、1ヶ月未満であれば課税対象です。
ほかにも、賃貸借契約書で敷金が返還されないことを決められている場合、このときの敷金にも消費税が加算されます。
ざっと挙げてしまえば、共益費・管理費・更新料なども消費税が加算されるものになります。
意外と消費税の課税対象となるものは多いですね。
それでは、反対に課税されないものはあるのでしょうか。
賃貸借契約で消費税がかからないものはあるの?
先ほどは、賃貸物件を借りるうえで、消費税の課税対象となるものをご紹介してきました。
それでは反対に、非課税のものはあるのでしょうか。
まず挙げられるのは、家賃ですね。
先ほど、1ヶ月を満たさない住居期間や事務所として借りる場合は課税の対象になるとお伝えしましたが、1ヶ月以上住居として借りる場合の家賃は非課税となるのです。
これは、消費税法にも定められていることですので、何ヶ月住んでも課税されることはありません。
また駐車場においても、賃貸物件に駐車場が備え付けられていれば、こちらも非課税となります。
ただし、家賃に駐車場代が込みでない場合、課税されることもあります。
この点は、不動産会社に確認しておくようにしましょう。
ほかにも、礼金や退去時に返還される敷金・保証金なども基本は非課税です。
以上のように、仲介手数料のような課税されるものもあれば、家賃のような消費税が加算されないものもありますので、きちんとこれらを把握しておくようにしましょう。
初期契約で支払うもの!注意点も頭に入れておこう
ここまで、賃貸借契約において消費税の課税対象となるもの、ならないものをご説明してきました。
スムーズに安心して入居できるよう、特に金額面においては疑問を残さぬようにしましょう。
ここで最後に、賃貸の初期契約で支払うべきものをご紹介していきます。
前家賃と仲介手数料を支払うことは、お話の中でも出てきましたのでお分かり頂けたかと思いますが、ほかにも支払わなくてはいけないものがあります。
以下のものが、初期契約で支払うものです。
・前家賃(家賃の1~1.5ヶ月分)
・仲介手数料
・敷金
・礼金
・火災保険
・保証会社費用
・鍵交換費用
鍵交換については、入居時か退去時に支払うか、賃貸物件ごとで変わります。
契約を結ぶ際にこれらの見積書を提示してくれますから、もし鍵交換が含まれていれば退去時には支払わなくてよいのかを確認しておくようにしましょう。
さらに注意すべきなのが、非課税対象のものが課税されていないかです。
見積書が、課税対象と非課税対象のものを全て合算して消費税も算出していれば、本来非課税のものの分まで消費税を支払うことになってしまいます。
きちんと課税と非課税が分けられているかどうか、支払う前に見積書を確認することを忘れずに行ってください。
課税か非課税か必ず確認!
賃貸借契約を不動産会社を介して締結する場合、仲介手数料を支払うことになります。
このとき、「仲介手数料:家賃1ヶ月分」と記載されていても、ここにプラス消費税が加算されますので、注意しなければなりません。
ほかにも消費税の課税対象となるものはありますから、賃貸借契約を結ぶときには、こういったことを確認したうえで結ぶようにしましょう。