アパートを探す際、真っ先に考えるのが予算と間取り、部屋数ではないでしょうか。
ですが、どんな条件で間取りが決まっているのか、正確に把握している人は少ないと思います。
また、「アパートの間取り図を見ただけでは、実際の部屋数が分からない」という人も少なくないでしょう。
そこで、今回はアパートの部屋数の数え方について解説します。
この記事で一緒に学んでいきましょう。
アパートの部屋の数え方とは?その種類を確認しよう
間取り図を見たことのある方は、大抵その間取りと記載されている部屋タイプを見たことがあると思います。
例えば「1R」「1K」「2DK」などです。
この間取り表記のうち、英語表記の前の数字がその部屋数を表すことはご存知の方も多いと思います。
この数字が、アパートの部屋数の数え方の基本になります。
そのため「1R」「1K」などは、とりあえずこのアパートには1部屋あるんだな、という認識をはじめに持っていれば大丈夫です。
ですが、正確な部屋数を決定づけるものは、その後ろの英語表記に左右されることになります。
これらの英語表記が何の略かをまず覚えた上で、後述の各表記について理解していきましょう。
「R」=ルーム
「K」=キッチン
「DK」=ダイニングキッチン
「LDK」=リビングダイニングキッチン
「S」=サービスルーム
「CL」=クローゼット
「WCL」=ウォークインクローゼット
「UB」=ユニットバス
このあたりは間取り表記ではよく出てくるので、違いを把握しておきたいものです。
アパートの部屋数の数え方には、法律上の定義が影響する
そして、アパートの部屋数の数え方を知る前に、「部屋」について解説します。
不動産業界では、「部屋」の意味がきちんと定義されています。
「部屋」とは不動産業界では「居室」と呼ばれ、人間が長時間そこに滞在し生活をするに適した場という意味とされています。
その「居室」に足る「部屋」と見なされるための必須条件が、床面積に対する窓の大きさです。
換気、採光のための窓の面積が床面積の7分の1以下である時、この「部屋」は建築基準法上、「居室」とは見なされないということになります。
この条件を満たせない部屋が、先程の英語表記で言う「S」=サービスルームにあたります。
つまり、「2DK」などの数字部分は「居室」の数にあたるのです。
この2DKのうち一部屋が「居室」の条件を満たしていなかった場合、「2DK」は「1SDK」という表記になってしまいます。
ですが、実際に住むと、窓がなくてもそこを「部屋」として使用してしまう方もいると思います。
間取り図に書かれた部屋数表記は、あくまでも不動産業界の基準に沿ったものそのため、個人の感覚とはやや異なる場合があるということも理解しておきましょう。
アパートの部屋数の数え方は、キッチンの扱いが重要
先ほど、アパートの部屋数は、不動産業界の定義によって仕分けされ、それに基づいて数え方が決まっているというごご説明をしました。
そしてもう一つ、アパートの部屋数の数え方で重要な意味を持つのがキッチンです。
不動産業界の「キッチン」の定義はシンク、給排水設備からなる「流し台」「加熱調理機」「換気設備」「作業台」「収納庫」といったもので構成された空間の総称、ということになっています。
キッチンは「居室」のように窓の面積に関係なく、このような設備があればキッチンに分類されます。
このような定義は「バスルーム」や「トイレ」にもあり、バスルームやトイレに床面積の7分の1以上の面積の窓があっても、それは「居室」とは数えません。
キッチンやバスルーム、トイレを間取り表記に含まないのは、こうした定義の差によるものそのためす。
しかし、ひと口にキッチンと言っても、その設備や広さはピンからキリまであります。
例えば、家族全員でテーブルを囲めるキッチンもあれば、椅子も置けないようなキッチンもありますよね。
広いキッチンであれば、「これは立派な部屋だ!」と訴える人も当然いると思います。
ですが、部屋としては扱えないために、キッチンに関する規定は間取りの英語表記でご説明されているのです。
アパートの部屋数に含まれないキッチンは詳細が表記される!
キッチンは「居室」とは別の定義をされているため、アパートの部屋数の数え方において、「居室」に含むことはできません。
そのため、その代わりとして、間取り図によるキッチンの説明表記がされているのです。
一つ一つ例を取って、その違いをご説明しましょう。
まずは、「R」と「K」の違いをご説明します。
ワンルームにはキッチンの表記がないので誤解してしまう人もいるかもしれませんが、キッチンがないわけではないので、「R」=「キッチンのない部屋」という意味ではありません。
この2つの違いは非常に単純で、部屋とキッチンをドアなどで仕切られているか否かです。
アパートによっては部屋の中にドアや引き戸がなく、キッチンを空間的に断絶する障害物がない部屋とある部屋があります。
そのような障害物のない部屋が「1R」、ある部屋が「1K」です。
分かりやすい例で言い換えると、ひとつの「居室」の中にキッチンがあれば1R、居室はひとつあるけれどキッチンが部屋の外にあれば1Kと考えましょう。
キッチンが居室より広くても、アパートの部屋数には含まれない?
キッチンの表記において「R」と「K」の違いは、仕切りの違いでした。
それでは「K」と「DK」の違いはどうでしょうか。
一応「DK」=ダイニングキッチンの定義をご説明しておくと、台所と食堂を兼ねている空間、ということです。
この両者は「居室の数」と「面積」の2つとの関係で名称が変化します。
「1DK」(居室が1部屋の物件)の場合は4.5畳以上、「2DK」など(居室が2部屋以上ある物件)では6畳以上キッチンの面積があれば「DK」と表記し、キッチンの広さがそれ以下の場合は「K」という表記になります。
ちなみに、この場合の「畳」という単位も、1.62平方メートルという数値での定義づけが法的にされており、曖昧なものではありません。
この定義は「LDK」も同様で、「LDK」とは居室が1部屋の場合は6畳以上、居室が2部屋以上の部屋なら10畳以上あれば「LDK」と表記されます。
居住者の感覚で言えば、4.5畳以上ある空間は「部屋」という感じを覚えるでしょうし、10畳以上ともなれば居室より広いというアパートも多いと思います。
ですが、どんなに広くても、キッチンはアパートの部屋数の数え方において「居室」とは定義が異なっているため、部屋とはカウントされません。
アパートの部屋数にロフトは含まれる?
最後に、アパートの部屋数の数え方で悩む、ロフトについて解説します。
「ロフト」とは屋根裏部屋のことで、建築法においてはその設置にいくつかのルールがあります。
・天井の高さは1.4m以下
・2階にロフトを設ける場合、ロフトの床面積は2階の床面積の1/2未満でなければならない
という2つが、建築基準法で定められた定義になっています。
ですが、この近年急速に普及した「ロフト」の数え方には明確な定義が存在せず、自治体によって細かなルールが含まれることがあります。
具体的には、ロフトに登るための梯子の定義などが自治体によって違います。
また、ロフトは2018年現在、間取りに表記することが義務化されていません。
そして、現時点でロフトは「居室」とは認められず、サービスルームとしても認められていません。
よってロフトは、バスルームやトイレのように「部屋数としてはカウントされない空間」と考えるのが妥当です。
ロフトの有無は間取り表記ではなく、間取り図や詳細で確認しましょう。
実際に住んでみると、アパートの部屋数は多いかもしれない
不動産屋さんのアパートの間取り表記は、あくまで不動産業界の定義での部屋の数え方になります。
そのため、実際に住む人によっては、部屋数が多く感じることもあるでしょう。
感覚的には「DK」か「LDK」表記の部屋に住むと、部屋が増えたと感じることが多いのではないかと思います。
この記事で表記の意味を理解し、ご自身にとって住みやすい部屋を見つけて頂ければ幸いです。