人は生活をしているだけで、何かしらの音を生み出しています。
掃除機やシャワーなど、毎日の生活で欠かすことのできない生活音。
そんな生活音が自分にとって騒音と感じたとき、どのように対処すべきか悩んだことは誰しもあると思います。
騒音が、隣人トラブルに発展してしまうことは珍しいことではありません。
騒音で困ったときどう対処するべきか、警察を呼ぶべきなのでしょうか。
隣人トラブルになる騒音とは
まず、騒音とはどのようなものを言うのでしょうか。
環境省による環境基準によれば、一般的な住宅地域で夜間は45デシベル以下、昼間は55デシベル以下が理想とされています。
掃除機は約60~76デシベル、洗濯機は約64~72デシベル、子どもの足音は約50~66デシベルなどです。
つまり時間帯によってはそれらの音が騒音に値し、隣人トラブルへと発展する可能性があるということです。
騒音というものは、他人には、とても分かりにくいものです。
うるさいと思うのは主観であり、どの程度のものなのかは、なかなか他人には伝わりません。
自分がうるさいと感じていても、もしかしたら過敏になっているだけなのでは!?
と不安になり、警察への通報も躊躇したことがあるのではないでしょうか。
そんなときは、騒音計を使って、今聞こえている音の大きさが、どの程度のものなのか測ってみましょう。
たいていの場合、市役所などで騒音計を借りることができます。
警察に通報する?その前にできることは?
警察に通報する前にできることがあります。
まず、記録を残すことが大切です。
すでに記述した通り、騒音は人に伝えにくいものであり、できるだけ明確な証拠が必要となります。
その音はどこから聞こえているのか、どの時間帯に起こるのか、どのくらい継続するのかなど、可能な限り記録しておきましょう。
できれば動画にも残して、客観的評価ができる状態にすると良いです。
次に、アパートやマンションであれば、まずは管理会社に連絡をしてみましょう。
賃貸人は、賃借人から賃料を支払ってもらうかわりに「目的物を使用収益させる」ことを約束しなければなりません。
つまり、管理会社(賃貸人)は管理している物件において、何かしらのトラブルが発生したときには対応しなければなりません。
当然、騒音による隣人トラブルが発生した際も、解決に向けて行動を起こす責任があります。
管理会社には、上記にも書いた通り、騒音被害の記録を伝えましょう。
どのような対処をするのか、いつ実行するのか、いつ実行したのかなど、細かく連絡を取り合うことをおすすめします。
騒音によるトラブルは問題を解決することが困難で、また証明もしにくいものです。
管理会社も対応に困り、あまり話が進まないまま、月日が流れていくということも、珍しくありません。
管理会社からの連絡を待つのではなく、自ら連絡することも大切です。
また、実際に騒音を聞いてもらうということも、効果があるかもしれません。
直接のクレームは新たな隣人トラブルを生みやすい
警察に通報する前に、やりがちな避けるべきことがあります。
それは、音のする部屋に、直接クレームを言うことです。
毎日騒音を聞いて生活していると、イライラが溜まり、我慢の限界を超え、本人に直接クレームを言いに行きたくなることもあります。
しかし、それは避けるべきです。
なぜなら、新たな隣人トラブルに発展しかねないからです。
現代社会は人間関係が希薄になっており、特に都会では、隣人の顔も知らないということはよくあることです。
相手がどんな人間かもわからない状態で、いきなりクレームを入れることは、いつどんな風に逆上されるかもわからない、危険な行為だと言えます。
また、壁を叩いて相手に知らせる行為や、仕返しに大きな音を立てるといった行為も、逆効果です。
相手が、どのように感じているか分からない状態なので、とても危険です。
騒音による隣人トラブルから、殺人へと発展した事件があるように、どのタイミングで事件になるか分かりません。
本人への直接クレームは避けて、別の対策を考えるようにしましょう。
騒音による隣人トラブルで警察に通報してもいいの?
何度も注意されているのに、一向に騒音が止むことがない場合は、警察に通報するのも、ひとつの方法です。
警察は民事不介入のため、事件が起きない限り、騒音による隣人トラブルへの対策を講じることはできません。
しかし、自宅に警察官が来るというのは、かなりの抑止力になるのではないでしょうか。
直接110番通報となると、かなり勇気がいる行為ではあります。
しかし、110番通報であれば、警察官が現場へと駆けつけて注意を促してくれるので、即効性はあると思います。
110番通報は気が引けるという場合や、緊急性がない相談の場合は、警察相談専用窓口の#9110に相談してみるのも良いかもしれません。
犯罪や事故発生には至っていない、普段の生活の安全・平穏に関わる悩みごとに対応する相談窓口となっています。
テレビの音や足音といった騒音での出動は、難しいようです。
ですが、窓を開けて大騒ぎしたり暴れたりして、住民が眠れないような状況だと、出動してくれる可能性があります。
騒音で警察に通報したときの流れ
まず、警察に通報の電話をかけると「事件ですか?事故ですか?」と聞かれます。
「騒音です」と答えてください。
このときに、すでに記述した騒音の記録を伝えます。
騒音のする方角、どんな騒音か、どの時間帯に多いのか、いつから継続しているのか。
どこからの騒音なのか、断定できているのであれば、部屋番号や名前も伝えてください。
通報者の名前を聞かれますが、言いたくなければ匿名で通報できます。
また、警察と会うか聞かれますが、会いたくなければ会わなくても大丈夫です。
警察官が自室を訪れることによって、誰が通報したのかが相手に分かってしまう可能性があります。
それが隣人トラブルへと繋がる恐れがあるため、警察官には会わないことをおすすめします。
騒音の種類によっては、隣接する部屋からの通報であると予測されてしまうことがあるので、注意が必要です。
警察に通報するときの注意すべき点
騒音による隣人トラブルで、警察に通報することは、ひとつの方法ではあります。
しかし、なんでもかんでも通報すれば良い、というわけではありません。
通報することによって、ほかの通報の妨げになる恐れがあります。
緊急性のない場合の110番通報は避け、別の対策をおこなってください。
また、110番通報をした際は、必ず最後まで話をしてから、電話を切らなければなりません。
1コールだとしても通報した場合、通報中に命の危険があったとみなされ、リターンコールが掛かってきます。
リターンコールは、取るまで鳴り続けます。
110番通報は事件または、事故の発生で掛かってくることが前提になっているため、必ず途中で切らないようにしましょう。
通報すること自体は悪いことではないので、騒音被害で本当に困っているとき、耐えられないときには、勇気を出して110番通報してみましょう。
警察への通報は悪いことではない!
騒音とは、とても曖昧なものであり、人それぞれで感じ方が違います。
そのために、隣人トラブルへと発展してしまうケースが多いと言えるでしょう。
騒音による隣人トラブルで警察に通報しても、根本の解決に繋がらないこともあります。
しかし、本当に悩んでいる場合、通報は決して悪いことではありません。
あらゆる対策を講じても騒音が止まない場合は、警察に助けを求めてみるのも良いのではないでしょうか。