ビルやマンションを見上げたときに、窓に赤い三角マークがあるのを見たことはありませんか。
多くの方は、あの三角マークを見て「あの三角マークは何なのだろう、何か意味があるのかな。」と思ったことが一度はあるのではないでしょうか。
当記事では、そんな疑問を持つ方に三角マークの意味についてご説明していきます。
緊急時に活躍!窓の三角マークの意味
ビルやマンションを見上げると、窓に赤い三角マークがあるのを見かけたことはありませんか。
ほとんどの方は「よく見かけるけど、あれは一体何なんだろう」と、その意味はご存知ないのではないでしょうか。
実は、あの窓についている三角マークには意外な意味があるのです。
それは、「緊急時には、ここから入ってください。」という意味です。
一体どういうことなのでしょうか。
三角マークの正式名称は「消防隊進入口」または「非常時進入口」といいます。
よく目にする表面は赤くなっていますが、裏側には、「消防章」、「非常時進入口(もしくは消防隊進入口)」、「この付近に物を置かないでください」と書かれています。
これを貼ることは、建築基準法によって決められているのです。
そして、この三角マークにはサイズ、貼らなければならない規定までしっかりと決まっているのです。
次項から詳しくご説明していきます。
窓の三角マークは貼るところに意味がある!
窓の三角マークの意味が分かったところで、貼る場所についてご説明していきます。
実は、この三角マークは貼る場所が、建築基準法で明確に規定がされているのです。
・3階以上の階層または31メートルまでの階層に設置をする。
・建物の外壁40メートル以内の間隔で設置をする。
・歩道や通路を含む4メートル以上の通路や道路の各階の外壁に設置をする。
このように、規定されていることには意味があります。
これは、「緊急時に消防隊が容易に建物の中に入れるようにするため」なのです。
また、三角マークを貼るところの高さの規定に関しては、はしご車のはしごが届く高さになっています。
そのため、31メートル以上には、三角マークは貼っていないのです。
人命救助を行うときには、この三角マークがとても大切になってくるのです。
大切な意味がある三角マークの決まり
ホテルやビル、マンションの窓に貼られているのをよく見かける三角マークですが、「三角マークなら、なんでもいい」というわけではありません。
一体どのようなものであれば、窓に貼ってもいいのでしょうか。
窓に貼られている三角マークはステッカーのようになっています。
三角マークの色や大きさも規定があり「赤色反射塗料の一辺が20cmの正三角形」とされています。
建物の施工方法などの関係で、窓の内側から貼るタイプのものと窓の外側から貼るものとの2種類がありますが、そのほかには違いはほとんどありません。
赤い反射塗料が使われている理由としては、夜間に火災などで消防隊が建物のなかに突入しなければならなくなったときに、「どこに三角マークがあるのか」が分かるようにするためです。
「どこから入ったらいいのかわからない」となってしまっては、意味がありません。
では、消防隊が建物の中に入るためのこの窓の周辺には、何か決まりはないのでしょうか。
実は、建築基準法にも記載がある規定があるのです。
次項で、ご説明していきます。
窓のそばにも決まりがある!
三角マークにも書いてあるのですが、この三角マークのある窓の付近には消防隊が進入するときに妨げになるようなものは置いてはいけません。
このことも建築基準法に記載があります。
特殊建築物定期調査報告では、三角マークのある建物の状況調査があります。
このときに、窓の付近にものが置いてあったとしても罰則等はありませんが、三角マークの意味が分かっているのであれば置かないほうがいいのはおのずと分かりますよね。
万が一、緊急時にこの三角マークのある窓から進入し、窓の近くにものが置いてあった場合には壊れてしまうこともあります。
壊されてしまったときには「置いてあるほうが悪い」とされて、訴えることはできません。
人命救助に関わる三角マークですから、この周辺には可能な限り、ものを置かないようにしましょう。
窓の大きさにも規定があった!三角マークが貼れる窓は?
窓に三角マークを貼らなければならない規定があることをご説明してきました。
ですが、いくらきちんと窓に三角マークを貼っていても、緊急時に消防隊がスムーズに建物に入れないような大きさの窓では意味がありませんよね。
そのため、三角マークを貼るための窓には大きさの規定もあるのです。
・窓を開けた状態で、高さ120センチ以上、幅75センチ以上が確保できる窓
・直径1メートルの円が内接することができる大きさの窓
このどちらかにあてはまるものに、三角マークを貼ることができます。
また、通常の3階建ての住宅で三角マークを付けなければならないのは、3階部分となります。
ですが、なかには「3階部分は屋根裏部屋になっていて、外壁や窓がない」ということもありますよね。
この場合には、どうしたらいいのでしょうか。
このような場合には、「ドーマー型」と呼ばれる代用進入口を設けることが手段として使えるでしょう。
ドーマー型の代用進入口といわれてもピンときませんよね。
これは、ヨーロッパ建築によくあるのですが、屋根の部分から突き出した窓のことをいいます。
この窓をつけることで通気性がよくなり、日光も差し込むため、屋根裏でも明るくなります。
この窓は見た目がとてもおしゃれではあるのですが、その反面、雨漏りの心配もあります。
ドーマーの形に決まりはないため、その施工方法は様々で施工実績が少ないことも原因の1つと言えるでしょう。
新たに家を建てる際には、ドーマー型を取り入れるのも1つの手段としてはいいですが、3階に、三角マークが貼れるようにしておくのもいいかもしれません。
窓の三角マークがない建物も…その意味とは
ここまで、三角マークを貼らなければならないとご説明してきましたが、「条件に当てはまるのに建物の窓に貼ってないところも見かけるけど…」とは思いませんか?
実は、「すべての建物」には貼っていないのです。
どういう意味なのしょうか。
すべての建物に貼られていないのには、理由があるのです。
貼らなくて良い理由は以下になります。
・非常用エレベーターがある
・ほかに理由がある
多くはこの2点です。
「ほかの理由」とは、何なのでしょうか。
具体的に例をあげながらご説明していきます。
まずは、「窓をつけることで、周りに危険が及んでしまうような場所である」ということです。
どのような場所が、この条件に当てはまるかというと、以下の場所になります。
・変電所
・ウイルス、放射性物質、爆発物、細菌等を扱うところ
次に「窓を付けてしまうと、部屋の用途が実現できなくなってしまう場所」です。
具体的な場所はというと以下の通りです。
・留置所、金庫、冷凍、冷蔵庫、美術品保管場所、無響室となります。
人命を助けるための大切な三角マーク
窓に貼られている三角マークの意味についてご説明してきました。
この三角マークは、人命救助のためにとても重要なものだということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
緊急時にはこの三角マークのある窓から消防隊が建物に入り、人命救助を行います。
そのため、三角マークのある窓周辺には普段からものは置かないようにして、いざというときのために備えておきましょう。