確定申告する際には、様々な書類を用意します。
忙しい中、締め切りの3月15日に合わせて書類を作り、税務署に持って行くので、慌ててしまうこともありますよね。
しかし、そうなると書類の記載を間違えることが多くなります。
「世帯主」や「世帯主との続柄」、数字にかかわるなど、記載する欄を間違えた場合はどうなるのかを、一緒に見ていきましょう。
「世帯主」という考え方と税の関係
「世帯」や「世帯主」という言葉は、「法令上の定義はない」とされています。
そのためか、普段の生活ではあまり馴染みがないですよね。
役所に行って戸籍などを取る時には申込書に「世帯主」などを記載しますが、それ以外は気にしていないという人も多いでしょう。
とはいえ、大まかな意味を確認すると、一般的に「ひとつ屋根の下に暮らしている家族」が「世帯」だと考えられます。
そして、「世帯主」は「その世帯の代表者」です。
しかし、確定申告など税にかかわる場合は、その考え方が異なるので注意が必要です。
それは、「子供が離れて暮らしている場合」などで、子供が自ら生計を立てて親から自立していれば、別世帯です。
これなら記載を間違えたりはしません。
しかし、進学などで「住む場所は離れていても、生活費は親からの仕送り」という場合には、複雑になってきます。
この場合、医療費控除などは、生活費の出どころが親と一緒なので、「生計が一である」という考えに則り、その子供の分もまとめて申告できます。
また、扶養控除も対象です。
しかし、税の視点から見ると、親とは住む場所(世帯)が別(一時的な下宿でも住民票は移すべき)なので、世帯主は子供本人という考え方になるのです。
そのため、もしその子供が確定申告する場合には、「世帯主」欄に子供本人の名前を書くことになります。
確定申告で間違えやすいのが「世帯主との続柄」欄!
また、上記のような事情がなくても、確定申告で記載を間違えやすい欄があります。
それが、「世帯主との続柄」の欄です。
ここには、「世帯主から見た申告者の関係」を記載します。
つまり、親と別に住んでいるなどして自分が世帯主であり、確定申告するのも自分だという場合には、その欄には「本人」と記載することになります。
一方、親と同居している場合には、実際に確定申告をするのは自分であっても、世帯主は親(父親か母親)であることが多いです。
しかし、それをそのまま書くと間違えてしまいます。
「世帯主との続柄」を書く欄なので、「世帯主(親)から見た自分の立場」を書く必要があるからです。
そうなると、親が世帯主である場合には、「子」や「長男」などと記載するのが正しいということになりますね。
この考え方がわかりにくいため、「自分から見た世帯主との関係」と解釈してしまい、「父」(または「母」)と書いてしまうことが多いようです。
ですが、確定申告で「世帯主との続柄」欄の記載を間違えても問題はないのでしょうか。
その記載を間違えた場合にどうなるのかは、次の章でお伝えします。
確定申告の際、世帯主に関する記載を間違えたら問題になる?
先ほど、確定申告をする際には書類への記入が必要であることとともに、「世帯主との続柄」の欄への記入の仕方を間違える人がいるとお伝えしました。
間違えたことに後から気づくと、書類不備で再申告することになったり、還付があっても還付されないことになるのではないかと不安になりますよね。
では、この欄に間違って違うことを記入してしまった場合、何か問題になるのでしょうか。
答えは、「ノー」です。
例えば、先ほどの例のように、本来「子」と書くべきところに間違って、「父」などと書いてしまったとしても、申告や払い過ぎた税金の還付において、特に何も問題はありません。
そのため、申告した後で間違えたことに気づいても、修正申告する必要はありません。
もちろん、「間違えても良い」というわけではありませんが、間違えて提出してしまったものは気にしても仕方がありません。
終わったことで悩むのではなく、次回の確定申告からは記載を間違えないようにしていきましょう。
確定申告では「世帯主との続柄」はあまり関係ない?
とはいえ、確定申告の際に、「世帯主」や「世帯主との続柄」欄を間違えたとしても、それはほとんど問題ではありません。
なぜなら、その記載は、税の計算上、あまり関係ないからです。
・世帯主は自分なのに、「世帯主」の欄に離れて暮らす父親の名前を書いた
・「世帯主との続柄」に、自分から見た世帯主との関係(父など)を書いた
などの書き間違いをしても、税の計算には影響しません。
しかし、それでも「世帯主」などを記載するのには理由があります。
それが、「国民健康保険」など他の制度との関係です。
国民健康保険においては、「世帯ごと」に所得を合算して保険料を計算します。
また、「自治体などの給付金」にも、世帯全員の所得が関係する場合があるので、「世帯主」や「世帯主との続柄」を記載する欄が設けられているのです。
確定申告で間違えた場合、問題になるのは所得など金額の欄!
先ほどは、世帯主にかかわる欄の記載を間違えても特に問題はないとお伝えしました。
しかし、確定申告で書き間違えてはいけないのが、所得などの「数字にかかわる」欄です。
確定申告の書類で数字にかかわる欄と言えば、
・収入金額等
・所得金額の欄
・所得から差し引かれる金額
・税金の計算
などといった欄です。
そして、その記載を間違えた場合には問題が発生します。
なぜなら、確定申告とは、「所得にかかる税金の額を計算し、正しく納税するための制度」だからです。
その計算をするのに根拠となる数字が間違っていては、正しい税額や還付金額が計算できません。
特に、払い過ぎた税金が戻ってくること(還付)を期待して確定申告をする場合、数字や金額の記載を間違えたらもったいないですよね。
間違えた場合、それが故意でも過失でも、ペナルティーがあります。
特に、実際の所得を少なく申告した場合、納めるべき額に加えて「加算税」がかかります。
つまり、実際に納めるはずだった額よりも高くなってしまうのです。
そのため、確定申告など、税金に関する書類では、数字や金額の記載ミスはしないようにしましょう。
確定申告で金額などの記載を間違えた場合、どうすれば良い?
では、確定申告で、金額に関する数字の記載を間違えた場合には、どうすれば良いのでしょうか。
まず、申告の書類を提出する前に間違いに気づいた場合の訂正方法をお伝えします。
その場合には、間違えた部分に二重線を引きます。
そして、その近くの空いているスペースに正しい金額を記載し、3月15日までに税務署出せばOKです。
また、税務署では税金の計算が正しければ良いので、訂正印は必要ありません。
では、書き間違えたことに気づいたのが、税務署に書類を出した後だった場合はどうでしょう。
その場合、正しい申告書を出すことになりますが、その提出が3月15日に間に合うなら、間違えた部分を正しく修正して出すだけで訂正は完了です。
しかし、手続きが3月15日を過ぎる場合には、
・訂正して税金を納める(少なく申告していた場合)
・訂正して税金が還付される(多く申告していた場合)
のどちらかになります。
追加で税金を納める場合には、確定申告書Bの第一表と第五表を使い、正しく申告し直しましょう(修正申告)。
反対に、還付の場合には、更正の請求書に還付金額を記載しますが、詳しい訂正方法は税務署に問い合わせてみてください。
繰り返しますが、世帯主などの欄を間違えただけなら、税額は変わらないので訂正の必要はありません。
確定申告では、世帯主よりも金額の記載に気を付けよう!
今回は、確定申告の際に間違えやすい「世帯主」や「世帯主との続柄」などについてお伝えしました。
特に、「世帯主との続柄」は間違えて解釈しやすいので、きちんと理解しておきたいですね。
ですが、それらの書き間違いはそれほど問題ではありません。
確定申告では、やはり金額の記載ミスの方が問題になります。
そのため、確定申告の書類は早めに準備し、所得額などを記載する際には間違えないように気を付けましょう。