株の基本的な仕組みを知ろう!約定する順番はどう決まる?

  • 2018年10月11日
  • 2019年5月31日
  • 投資,

ネット証券の普及により、手軽に株式投資を始められる時代になりました。

また、NISAなどの制度もあるので、少額からでも気軽に株を始められそうですね。

ここでは、株の基本的な仕組み「約定」についてみていきます。

約定の順番などを理解して、株の知識を深めていきましょう。

そもそも株とはどんなものなのか

株に関する知識は学校で習っただけで、どんなものか忘れてしまったという方もいるのではないでしょか。

株投資を始める前に、基本的な株の仕組みをみていきましょう。

まず、株は正しくは「株式」と言い、株式会社が資金を集めるために発行する証明書のことを指しています。

株式会社に出資し、株式を買った人は株主となり様々な権利を得ることが出来るのです。

その権利は大きく分けて以下の4つです。

①株主総会に出席する権利

株主総会に出席して、会社の意思決定に参加することが出来ます。

議決権の大きさは、保有株数に応じて大きくなります。

②配当金を受け取る権利

配当金は、会社の利益を株主に還元するお金のことです。

株の売買益だけでなく、配当金にも注目することで利回りも変わってくるでしょう。

③株主優待をもらう権利

自社製品や割引券、サービスなどが提供されます。

銘柄を選ぶ際に、単に株価や配当を見るだけでなく、自分が良く使う会社の株主優待を目当てにしている方も多いですよね。

④株を売る権利

株を安く買い、高く売ることが株式投資で利益を出すメインの方法になります。

株を売りたい人と、株を買いたい人の注文が成立することを「約定」と言います。

これにより売買益が発生するのです。

この約定には、順番など細かな仕組みがありますので詳しくみていきましょう。

株の約定とはどんなものか?その順番は?

「約定」とは、株の買い注文・売り注文が確定することを指します。

株は、どんなに「売りたい」という注文を出していても、反対に「買いたい」という人がいなければその注文は成立しません。

約定させるためには、反対の売買注文があることが必要なのです。

流動性の低い銘柄においては、約定しないということはよくあります。

株の売買注文ですが、2つの方法があります。

それが、「指値注文」と「成行注文」です。

「指値注文」は、買う値段・売る値段を指定してから注文を出す注文方法です。

指値注文では、買い注文は指値かそれを下回る株価にならないときは注文が成立、つまり約定することはありません。

逆に、売り注文の場合は指値かそれを上回る株価にならなければ注文は成立しません。

「多少の時間がかかってもいいから希望する価格で売買したい」「希望の価格を下回らなければ(上回らなければ)取引しない」という場合に、株価優先の「指値注文」で注文を出します。

もう一方の「成行注文」は、値段を指定せずに注文を出す注文方法になります。

成行の買い注文をすると、そのときに出ている最も低い価格の売り注文とすぐに注文が成立します。

同じように、成行の売り注文は、最も高い価格の買い注文と成立するのです。

「株価よりも出来るだけ早く売買したい」「今すぐ資金が必要」という場合は、約定優先の「成行注文」で注文を出しましょう。

「指値注文」と「成行注文」の特徴からも分かる通り、順番としては「成行注文」が優先して約定していきます。

約定の順番だけじゃない!「指値」「成行」のメリット・デメリット

約定の順番は価格を指定しない「成行注文」が優先されることが分かりました。

約定の順番以外にも、それぞれの注文方法にはメリット・デメリットがありますのでみていきましょう。

まず指値注文ですが、希望した価格で売買出来ることがメリットです。

指値注文は「絶対にこの価格まで下がらなければ欲しくない」、「絶対にこの価格まで上がらなければ売るつもりはない」という場合の注文です。

株式市場が想定内の動きをすると予測出来る場合や、株価が底値圏のときの買い注文では「指値」が有効と言えるでしょう。

指値注文で気を付けなければならないことは、売買のチャンスを逃してしまうことです。

特に損切をしなければならない場合には、とにかく売ることが最優先となります。

損切をする場合には、成行で売り注文を出すようにしましょう。

反対に成行注文ですが、すぐに売買が成立することがメリットです。

資金がすぐに必要な場合や、株式市場の急変を感じた場合には成行注文を出しましょう。

成行注文で気を付けなければならないのが、思わぬ価格で注文が成立してしまうということです。

特に売買高が少ない銘柄で成行注文を出す場合には注意が必要です。

約定の順番以外にも、それぞれ注文の特徴がありますので、場面に応じて使い分けていきましょう。

約定の順番には「時間優先」「価格優先」も関係する

約定の順番は、注文方法の違いだけでなく、2つの大原則によっても変わってきます。

その2つの大原則が、「時間優先」と「価格優先」です。

「時間優先」は、同じ価格での売買注文があった場合は、先に注文を出した方が優先されるという原則です。

株価が希望の価格になっているのに、注文が成立していない場合は、この時間優先が関係していると言えるでしょう。

同じ価格での注文が他にもあり、先に注文を出した人の注文が成立したのです。

大型銘柄では売買に注文が多いため、このようなことは起こりにくいですが、発行株数の少ない銘柄では起こりやすいことですので注意しましょう。

一方「価格優先」は時間よりも優先されます。

この原則により、成行注文が先に成立しますよね。

これらのことから、約定の順番(買い注文の場合) は以下の通りになります。

1.成行注文
2.指値注文(指値の注文株価が高い)
3.指値注文(指値の注文株価が安い+注文が早い)
4.指値注文(指値の注文株価が安い+注文が遅い)

株価を決める!約定の2つの方式①ザラ場方式

約定はどのような順番で行われているかが分かりましたね。

株価はこの約定によって日々の価格が変動しています。

株式市場での、買い注文(需要)と売り注文(供給)の価格と数量によって株価が決定していくのが基本です。

この、買い注文と売り注文をマッチングさせる売買方式には2つの方式があります。

それが「ザラ場寄せ方式」と「板寄せ方式」です。

まずザラ場寄せ方式ですが、買い注文・売り注文があるたびに約定していくのがこの方式です。

オークション方式とも呼ばれています。

ザラ場寄せ方式は、取引開始後(市場が開いている間)に行われる取引の方式となっています。

約定する順番は、価格優先の原則・時間優先の原則に従い、買い注文・売り注文が合致したものから約定していきます。

買いたい人・売りたい人の希望価格で取引をする方式となっています。

株価を決める!約定の2つの方式②板寄せ方式

株価を決める、もう一つの売買方式が「板寄せ方式」です。

注文が交錯している場面で約定させるのが、この方式になります。

具体的には以下の4つの場面になります。

〇寄付

証券取引が開いてから最初の取引

〇前引け

前場(午前中の取引)の最後の取引

〇後場寄り

後場(午後の取引)の最後の取引

〇大引け

その日の最後の取引

以上の4つの場面では、板寄せ方式によって株価が決定されています。

このような場面では、さまざまな注文が交錯している状態となっています。

そこで、買い注文と売り注文を優先順位の高いものから順番に対当させ、数量的に合致する値段を株価としているのです。

板寄せ方式では、以下の3つの条件を全て満たす価格で約定します。

〇成行注文は全て約定する
〇約定価格よりも高い買い注文と低い売り注文は全て約定する
〇約定価格において、買い注文または売り注文どちらか一方全てについて約定する

これらの条件を満たして、株価が決定されています。

取引の最初の値段である始値は、そのときに出ている売買注文を全て対当させ、バランスのとれる価格で株価を決めているのです。

約定の順番を考えて注文を出そう!

買い注文・売り注文が約定する順番は、「成行注文」が先に約定していきます。

また、「価格優先」「時間優先」の原則も約定する順番に影響しますね。

さらに売買方式でも価格が変わってきますので、慎重に注文を出しましょう。

しかし、慎重になりすぎてタイミングを逃してしまうこともあるので、そこが株の難しいところですね。