株式投資を行ううえで、気になる銘柄の注文の入り具合に役立つといわれている「板情報」。
この中で度々、「特」の文字を目にすることが多くあります。
特とは何を示しているのでしょうか。
この記事で、板情報の見方とともに詳しく解説していきます。
まずは株価の決まり方を知ろう!
株式投資で重要な板情報や特とは何を示しているのかをお話しする前に、まずは株価がどのように決まるのかを知っておきましょう。
X社の株式について、2人は以下のように希望しているとしてお話を進めます。
・Aさんは「100円で100株買いたい(買い希望価格100円)」
・Bさんは「150円で100株売りたい(売り希望価格150円)」
もしここの市場の参加人数がAさんとBさんのみの場合は、X社の株式はずっと取引がされないままになってしまいます。
なぜなら、2人の売買希望価格が合っていないからです。
ここで、Aさんが「売り注文が少ないので、買い希望価格を125円までにしよう」と考え、またBさんも「買い注文が少ないので、売り希望価格も125円まで下げよう」と考えたとしたらいかがでしょう。
このとき両者の希望が一致し、X社の株には125円という値がつき、100株の取引が実現したことになります。
以上ご説明したように、買い注文と売り注文が一致することで、株取引は成立するのです。
ですから、株価が決まるには需要と供給で一致することが必須といえます。
気になる銘柄の株に投資するか考えた際に、株の買い注文と売り注文の価格と株数を見ることできるものを、「板情報」といいます。
株で重要!板情報って何?
前の項でもお話をしましたが、板情報は株の買い注文と売り注文の価格と株数を見ることができるものです。
簡単にいえば、価格ごとの買い注文と売り注文の一覧表のことです。
一覧に表示されているため、買い希望株数や売り希望株数が一目でわかるようになっています。
ですから、株式投資で売買する際は、この板情報を見てから注文を出すことが多く、株における重要な情報ともいえます。
ちなみに、板情報には「売気配株数(売り注文数)」「気配値(株価)」「買気配株数(買い注文数)」の3つが主になっています。
ですから、前の項のお話を当てはめると、
・Aさん 気配値:100円、買気配株数:100
・Bさん 売気配株数:100、気配値:150円
成立しないことが見込まれると、両者が希望価格を変えましたね。
・Aさん 気配値:125円、買気配株数:100
・Bさん 売気配株数:100、気配値:125円
以上が、板情報の各欄に表記されるわけです。
なぜこれが、株式投資を行ううえで重要なのかというと、板情報がないと「その株の需要と供給がどういう状況なのか」が判断できず、今の実勢価格も判断できないからです。
もし、判断できないまま取引を行ってしまえば、合理的な取引もできにくく、意図と反する損失を生み出す恐れもあるのです。
これを回避するためにも、板情報は株を行う上でとても重要な役割をしていることがいえます。
ですから、株をまだはじめたばかりの方は、板情報を見ることが重要です。
板情報を見ていくと、売気配株数や買気配株数に「特」と表示されていることがありますが、特とは何を示しているのでしょうか。
板情報にある特とは何のこと?
株式投資の重要なものでもある「板情報」の中で、「特」と表示されていることがあります。
この特とは何を示しているのでしょうか。
これは、「特別気配」を指しています。
株の板情報における特別気配は、買いもしくは売りのどちらか一方に注文が殺到していることを意味しています。
特別気配の状態になると、通常の取引時間中の取引方法であるザラ場方式での取引が一時停止されます。
そして、取引開始時の方式である板寄せ方式へと約定方法が変更されます。
売買が成立されるまで気配値段は少しずつ更新されます。
株をよく行っている方は慣れていると思いますが、まだ株をはじめたばかりの人であれば注意して見るべきものです。
「特」が表示された場合の見方は、次項でご説明していきます。
特とは特別気配のこと!板情報ではどのように見る?
特とは特別気配のことだとご説明しましたね。
そして、特別気配には「買い気配」と「売り気配」の2つがあります。
買い注文が殺到すれば買い気配、売り注文が殺到すれば売り気配の、特別気配であることを意味します。
板情報でどのように見るかというと、板情報には「売気配株数」「気配値」「買気配株数」の欄があるとお伝えしましたが、「特」が表示されるのは「売気配株数」もしくは「買気配株数」の数値の前です。
例えば、売気配株数が100株で気配値が130円のときに、買気配株数が125円で1000株だとします。
買い注文が殺到していることがわかりますよね。
このときの見方としては「125円買い気配」とされ、板情報の買気配株数の欄には「特1000」と表示されるようになります。
「特」が表示されれば、特別気配が起こっていることを投資者たちは把握できます。
注意しなければいけないことは、特別気配が起こった状態では、株の売買はすぐに成立させることはできません。
ここでの場合は、1000株の買い注文に対応する売りが出てくるまでの間は、注文は留保されるようになります。
5分ほど経っても売り注文がない場合は、気配値をきり上げていき板寄せしていきます。
成行注文をまず優先し、次に高い買い注文と安い売り注文をつき合わせて、数量的に合致する値段を決めていくのです。
ストップ制限のところまで、5分おきに板寄せが出るまできり上げ続けられます。
ここでは買い気配を例に挙げましたが、売り気配も同様になります。
「特」がつくのは珍しいことではなく、出来高の少ない銘柄の株では、少し多めの注文が入っただけで特別気配となることがよくあります。
とはいっても、特別気配になればすぐに株の売買を成立させることはできませんので、板情報で「特」と表記されている場合は、注意してみるようにしましょう。
特とは表示のことだった!他の表示も知っておこう
板情報における特とは「特別気配」の表示だということをお話ししてきましたが、ほかにも様々な表示があるので一緒にみておきましょう。
「S」
ストップ高やストップ安になった場合に、板情報に表示されます。
ストップ高は値幅制限いっぱいまで株を買われたことを意味し、ストップ安は値幅制限いっぱいまで売られたことです。
特に個人投資家では、馴染みのあるマークといえます。
「前」
取引開始前の気配のことを指します。
こちらも「特」と同様の表示形式で示されます。
「連」
連続約定気配のことを示しています。
直前についた値段から、更新値幅の2倍の値段を超えて買い上がったりもしくは売り下がったりした注文数量が出された場合に表示されます。
「連」ではなく「K」と表示されることもあります。
「over」「under」
overは「それより上の価格での売り注文の総数」、underは「それより下の価格での買い注文の総数」を示しています。
板情報の気配値の欄に表記され、相場の強弱の判断材料にもなります。
板情報で株価の動きを予測!投資の判断材料に役立てよう
特とは何を示すか、またほかの表示についてもお話をしたところで、板情報でどのように読み取るかをお話ししていきましょう。
板情報では「売気配株数(売り注文数)」「気配値(株価)」「買気配株数(買い注文数)」の3つが示されていますね。
基本的には、売り数と買い数は各10の株価が表示されています。
先ほどもお話ししましたとおり、表示されている株価より上の価格帯はoverへ、下の価格帯はunderのところでまとめられています。
もちろん、overやunderのところにも注文は出ているのですが、10の株価と株数がわかることで、その株がこの先どのように動向するか予測を立てることができるのです。
もし、今見ている板情報の株数が買いよりも売りのほうが多くなっていれば、この先売りの圧力が強まることが予測できるので、株価が値下がりする可能性があることを読み取れます。
簡単にいえば、板情報で買い注文が多い場合は「株価は上がり」、売り注文が多い場合は「株価は下がる」ということが予測できるというわけです。
あくまでも予測ですので、必ずそうなるとはいい切れませんが、そうなる可能性があるということを頭に入れておき、投資するうえでの判断材料に役立てみると良いでしょう。
まずは板情報を眺めることから!
「板情報」は、株の注文数や株価が一覧で表示されていて、「特」などのマークが表示されていることもあり、一目でこの株がどのような状態であるかがわかるようになっています。
また、この先の株価の動きを予測することもできるため、投資を行ううえでは重要な役割にもなり得ます。
まだ株をはじめたばかりであれば、板情報にも慣れていないと思いますので、まずは気になる銘柄の株の板情報を眺めてみることからはじめてみましょう。
そして、この先どのように株価が動くかを予測し、投資するかしないかを判断することに役立ててくださいね。