投資を始めようと考えている人の中には、FXに興味がある方もいることでしょう。
FXは、外国通貨を売買することにより為替差益を目指す投資方法です。
投資にはたくさんの種類がありますが、FXをするメリットやデメリットはどんなところがあるのでしょうか。
また、FXに関してよく聞かれる「溶かした」とはどういうことなのか、詳しくみていきましょう。
そもそもFXとはどんな投資なのか
FXとは「Foreign Exchange」から作られた造語で、「外国為替証拠金取引」のことを指します。
正確な英語表記は「Foreign Exchange Margin Trading」で、「Forex Trading(外国為替取引)」の方が意味が通じやすいようです。
FXを一言で表すと、異なる通貨の売買のことです。
通貨のレートは常に変動していて、FXはこのレートの動きを利用して利益を出します。
基本的には2つの通貨の取引で行われます。
例えば、日本円で米ドルを買ったとすると「ドル買い」「円売り」となります。
1ドル=100円のときにドルを買いその後1ドル=120円になったとすれば、20円の利益が生まれます。
100万円分のドル(1万ドル)を買っていたとすれば、利益は20万円となるのです。
FXの最大の特徴は「レバレッジ」があることで、少ない資金で大きな取引が出来るところです。
レバレッジは「てこの原理」のことです。
現在国内では最大25倍までのレバレッジをかけることが出来るので、25倍の資金を取引することも可能になります。
例えば、10万円の資金にレバレッジを10倍かけると、100万円分のFX取引が出来ます。
レバレッジを10倍かけたことで、わずか1%の値動きでも10%の利益を得られるのです。
しかし、レバレッジには注意が必要です。
レバレッジをかけて利益が出た場合は利益が大きくなりますが、損失が出た場合は損失も大きくなるのです。
FXがハイリスクハイリターンな投資であるのは、このレバレッジによるものです。
FXについてみていくと、「溶かした」という表現をよくみかけます。
これはどういった意味なのでしょうか。
投資に関する用語「溶かした」とは?
「溶ける」「溶かした」とは、投資に関するスラングの一種で、資金を失ったということを意味します。
レバレッジによって、利益を大きくあげることも出来ますが、リスクも大きくなるのもFXの特徴です。
ハイリスクであるFXによって、数百万・数千万円を一瞬のうちに溶かした人も少なくありません。
損を止めることが出来ず、まさにお金が溶けてしまう感覚がこの言葉を生み出したのでしょうか。
出来れば味わいたくない感覚ですね。
この「溶ける」という言葉に関連して、「FXで有り金全部溶かす人の顔」もインターネットの世界では有名な絵です。
これはギャグマンガ「あいまいみー」のアニメ版で、登場するキャラクターが見せた表情が元ネタとなっています。
資金だけでなく、表情まで溶けてしまっています。
FXで資金を溶かしてしまった人は、本当にこのような顔になってしまうのかもしれませんね。
気になる方はぜひ検索してみてください。
FXで資金を溶かした原因「ハイレバレッジ」
では、FXで失敗してしまった人は、どんなことが原因となって資金を溶かしたのでしょうか。
原因として挙げられるのが、ハイレバレッジをかけていたということです。
先ほどご説明した通り、少ない資金で大きな金額のFX取引が出来る仕組みです。
どんなに少ない資金でFXを始めたとしても、レバレッジを高くしていれば大きな金額を動かしていることに変わりはありません。
レバレッジが高ければ高いほど、利益も大きくなりますが、損失のリスクも高くなっていくのです。
日本ではレバレッジが最大25倍という規制がかけられるようになりましたが、海外の口座ではレバレッジが数百倍~数千倍などという口座もあります。
日本では最大25倍のレバレッジに対し、海外口座では400~2000倍のレバレッジをかけることも出来ます。
このレバレッジによってFXトレーダーは資金を溶かしてしまうことがあるのです。
しかし、これが直接的な「破産」に結びつくことは多くはありません。
なぜなら、「強制ロスカット」というシステムがあるからです。
強制ロスカットとはその名の通り、一定割合の損失が出た場合に強制的に決済をして、損失を証拠金以内におさめるシステムのことです。
このシステムがあることで、大きなレバレッジをかけて損失が大きくなってしまった場合でも、口座がマイナスになる可能性は少なくなるのです。
FXで資金を溶かしたうえに破産にまで繋がるケース
強制ロスカットというシステムがあることで、莫大な金額を借金して破産するとう可能性は低くなります。
しかし、強制ロスカットが追いつかないという事態が発生することもあります。
それは、市場が急変動した場合です。
記憶に新しいものが、2015年1月15日のスイスフランショックです。
それまでスイス中央銀行は、「スイスフランが対ユーロで1.2を割る下落があれば永続的に介入を行う」と宣言し、レートがキープされていました。
1.2を割らないことが分かったので、トレーダーにとってはとても美味しい話だったのです。
ところが、2015年1月15日にスイス中央銀行は、「介入コストが国として負担出来る状況を超えたため、介入を中止する」と発表したのです。
これによりユーロスイスフランは暴落し、スイスフラン高が急速に進んでいきました。
暴落が始まってからわずか20分の間に41パーセントも変動してしまったのです。
あまりの変動にFX業者も取引停止に追い込まれてしまい、本来履行されるべきレベルでのロスカットが履行されませんでした。
これにより、資金を溶かしただけにとどまらず、証拠金以上の損失が出てしまったのです。
これはごく稀なケースですが、FXを行っている以上は市場の大暴落などのリスクは頭に入れておかなければなりません。
FXで取り返しのつかない事態になるケースとは
ここまででみてきたように、FXには強制ロスカットというシステムがあるため、FX自体で破産するという可能性はそこまで大きくありません。
では、FXで取り返しのつかないような状況になってしまうのは、どのような場合なのでしょうか。
それは、使ってはいけないお金をつぎ込んでしまったり、FXの損をFXで取り返そうとして借金をしてしまう場合です。
FXとはあくまでも投資です。
余裕資金をFXの運用資金とすることが前提となります。
生活費を全額使ったり、結婚資金や子どもの学費、ましてや会社のお金を使ってFXをしてしまっては、もはや投資ではなく博打になってしまいます。
また、使ってはいけないお金を使い損を出してしまった場合、その補填をするために借金をしてしまう可能性もあります。
さらに、FXのために借金をしてしまえば「次は絶対に損を出せない!」と損切りをする冷静さを失ってしまうことにもなりかねません。
繰り返しになりますが、FXは投資です。
「使ってはいけないお金を溶かした」ということにならないよう、余裕資金を運用していきましょう。
FX初心者はレバレッジ1倍ではじめよう
FXの魅力はレバレッジをかけることで、少ない資金で大きな取引が出来ることです。
しかし、リターンが大きければリスクも大きくなっていきます。
いくら余裕資金で運用しているとはいえ、出来れば「溶かした」という事態は避けたいものですよね。
そこでFX初心者におすすめなのが、レバレッジ1倍でFXを始めることです。
レバレッジ1倍であれば、リスクをかなり抑えることが出来ます。
まず、高レバレッジに比べて強制ロスカットのリスクが少ないことが魅力の一つです。
市場が大変動した場合は強制ロスカットが履行されることが命綱となりますが、通常であればロスカットになりたくないものです。
ロスカットはレバレッジに比例してかかりやすくなるため、レバレッジ1倍だとロスカットになりにくいのです。
また、FXはスワップポイントと呼ばれる金利があります。
レバレッジを1倍にしておけば、強制ロスカットの可能性が低くなりますので、長期保有して毎日スワップポイントを受け取るのも一つの方法です。
FXのリスクとリターンをよく考えよう
FXはハイリスクでハイリターンな投資です。
リスクをしっかりと考えておきましょう。
しかし、資金を溶かしてしまうことがあっても、FX自体で破産にまで追い込まれるような状況はレアケースです。
余裕資金で冷静な投資を行ってくことが大切です。
FXに慣れていない方はレバレッジなしから始めてみてはいかがでしょうか。