賃貸物件を借りた場合、家賃は通常1ヶ月単位で金額が設定されています。
しかしながら、退去する際、締め日ちょうどに引っ越しができる方は少ないと思います。
では、月の途中で退去する場合、家賃を日割り計算し、住んでいた期間の分だけ支払うことはできるのでしょうか。
ここでは月の途中で退去する場合の家賃についてや、退去にまつわるお金の問題についてお話しします。
賃貸物件を退去するとき事前に行う手続きの流れ
まずは、時系列に沿った、引っ越しが決まって退去完了までの手続きの流れを簡単にご説明します。
1.解約予告時期の確認
引っ越しすることが決まったら、まずやるべきことは賃貸契約書の確認です。
賃貸物件を契約する際に交わされる契約書には、「借主からの解約予告は1ヶ月前が原則です」というように、解約予告の時期についての記載があります。
確認の際には、退去に伴う家賃に関する取り決めも記載されている場合があるので、併せて確認しておきましょう。
2.管理会社への連絡と退去届の提出
解約予告時期を確認したら、退去の報告が必要です。
報告が済めば退去届の用紙を渡されますので、内容を漏れなく記載します。
書き漏れがあるとスムーズに手続きが行われず、余分な家賃を払うことにもなり兼ねないので気を付けましょう。
引っ越し先の住所や清算口座も記入する必要があり、家賃が日割りで払い戻される場合には清算口座に振り込まれる形になります。
3.光熱費など支払い清算手続き
電気、ガス、水道は、引っ越しの1週間前になったら、順に料金の清算や、利用停止手続きをはじめましょう。
賃貸物件の家賃を口座振替にしている場合は、口座振替停止の手続きも行わなければいけません。
4.住民票の移動手続き
引っ越し前日までに居住地の管轄である役所に出向き、転出届けを出す必要があります。
それにより転出証明書が発行されますので、引っ越し後、転居先で転入手続きを行うまで大切に保管しておきましょう。
賃貸物件を退去する時の当日以降に行う手続きの流れ
賃貸物件を退去する時は、当日以降にもやらなければいけないことがあります。
1.退去立会い
部屋から全ての荷物を運び出した後に、管理会社もしくは大家さん立会いの元、部屋の状況を確認します。
原状回復を行わなければいけない箇所を確認し、補修費用がどれくらい必要なのかを大まかに算出します。
確認が終わったら書類に印鑑を押して、立会い終了です。
2.鍵の返却
立会い終了後は、管理会社もしくは大家さんに鍵を返却します。
自身で合鍵を作っていた場合は、全ての鍵を返却する必要があります。
3.敷金清算
後日、管理会社もしくは大家さんより、敷金清算の書類が新住所に送られてきます。
借主が負担するもの、貸主が負担するものがチェックされ、借主が払う必要のある補修費用が算出されています。
一つ一つ確認し、本当に借主自身が払わなければいけないものだけが対象になっているかを確認しましょう。
敷金の範囲内の金額であれば、そこから支払われ、残った場合は清算口座に返金されます。
家賃が日割りで計算され、返金がある場合もこの清算口座に返金されます。
もし、補修費用が敷金で賄いきれない場合は、追加で支払わなければならない場合もあります。
賃貸物件退去月の家賃は日割り計算される?
賃貸物件を退去する際、月の途中で引っ越しを行うからといって、必ずしも家賃が日割り計算になるとは限りません。
月の途中で退去する場合、今借りている物件は日割り計算されるのか、されないのかは賃貸契約書を確認してください。
賃貸契約書にある『家賃(賃料)』の項目を確認すると、契約終了月の家賃の支払いについて記載があります。
・日割り
このような記載があれば、退去する月の家賃は日割り計算されます。
「1ヶ月に満たない期間の家賃(賃料)は、契約終了月を除き日割計算した額とする。」
・半月割り
このような記載があれば、退去する月の家賃は半月割りになります。
「契約終了月は、日割計算は行わず、半月単位で計算した額とする。」
この場合は1~15日、16~31日で分けて考えます。
退去日が14日だった場合は、家賃の半分を払う必要があり、16日だった場合は1ヶ月分支払わなければいけません。
・月割り
「退去月の家賃は日割り計算しない」と明記されている場合は、何日に退去しても、退去月1ヶ月分の家賃を支払う必要があります。
ほかにも、25日以降に退去する場合は1ヶ月分支払わなければいけないとなっている場合もあります。
もし、契約書に契約終了月の家賃について記載がない場合、一般的には日割り計算されることがほとんどです。
しかし、記載がないことで、いざ退去するときになり月割りを要求されることもあるので、契約の際には確認するよう心がけましょう。
家賃の日割り計算方法とは
賃貸物件を退去するにあたって、契約終了月の家賃が日割りで計算される場合の計算方法は一通りではありません。
例えば、毎月の家賃が60,000円の物件を借りていて、8月10日に退去したとします。
以下の計算は、賃貸契約書において「1ヶ月に満たない月の賃料は、1ヶ月を30日として日割り計算をした額とする」と記載されている場合の方法です。』と記載されている場合の方法です。
・計算式その1
60,000円×20日=1,200,000円
1,200,000円÷30日=40,000円(返してもらえる日割り家賃)
1ヶ月のうち、残り20日を残しての退去になりますので、この30日分のうちの20日分がいくらになるかを計算した式となります。
・計算式その2
60,000円×20日=1,200,000円
1,200,000円÷31日=38,710円(返してもらえる日割り家賃)
2月が退去月であれば28日で割ることになるため、返してもらえる日割り家賃が42,857円となり、30日と固定されている場合より多く返金されます。
退去時に起こり得る日割り家賃のトラブル
賃貸物件の退去に伴って、日割り家賃に関するトラブルが起きることは多々あります。
きちんと知識を得て、トラブルを未然に防ぎましょう。
先ほどもお話ししたように、賃貸契約書の記載内容に基づいて退去月の家賃は決められ、日割り計算をされる場合は多いです。
しかし、日割り計算に該当する期間を思い違いされている方が多くいらっしゃいます。
日割り計算によって返却される家賃は、あくまでも契約終了日後の期間の分を計算して決められます。
ここで大切なのは退去日ではなく、契約終了日が基準である点です。
『1ヶ月前に解約予告をしなければいけない契約なのに、4月15日に解約予告をし、5月5日に退去した。』
この場合、契約上解約予告は1ヶ月前に行うことが決められているため、契約終了日は解約予告をした4月15日から1ヶ月後の5月15日となります。
そのため例え退去したのが5月5日であっても、契約終了日は5月15日ですので、日割り計算で返却される家賃は5月16日~31日の分になるわけです。
『引っ越し日がハッキリせず、余裕をもって5月15日退去予定で4月5日に手続きをしたが、引っ越しが早まり5月5日に退去した。』
この場合、「早まった日の1ヶ月前に手続きはしていたのだから5月5日が契約終了日にできるのでは?」と思われるかもしれません。
しかし借主が解約手続きをする上で予告した退去日が5月15日である以上、その日までは借りますよと約束をしているわけです。
都合で早くなったからといって、5月6日から15日までの家賃も日割り計算で返却してくれるよう求めることはできません。
退去する際加入していた火災保険は解約できる
賃貸物件に入居する際に、火災保険の加入が必須となっていることは多くなっています。
1年もしくは2年契約といった、年単位の契約になっていることが多い火災保険は、大抵の場合入居時に一括で支払いを行なっています。
火災保険は、入居する物件に対して加入していますので、退去に伴い解約の手続きを行うことが必要です。
退去予告時に管理会社から火災保険に関する説明が詳しくされず、掛け捨てだと思われている方は少なくありません。
手続きを行うことで、保険料が返却される場合もあるので覚えておきましょう。
契約時に保険会社から届く証券や封筒に、解約の際の連絡先が記載されています。
加入者本人が連絡をし、解約手続きを行うことで、経過年月に応じた解約払戻金が戻ってきます。
ほとんどの保険会社は、日割り計算ではなく、月割り計算で払い戻しを行います。
知らなかった、忘れていたなどの理由で、手続きをしないまま年月が経ってしまった場合でも、保険会社によっては、退去して3年以内であれば遡って解約手続きを受けてくれる場合もあります。
まずは保険会社に連絡してみてください。
知識を身につけて退去時に損をしない
何かと金銭的負担がかかる賃貸物件退去時には、少しでも損をしないよう、受け取れる返却金は多く受け取りたいはずです。
返却月家賃がどのような契約になっているのか知っておくことで、引っ越し日を調整し、日割り計算を有利にする対策を取ることができます。
火災保険の解約により払戻金が戻る場合もあります。
退去時のコストを少しでも下げられるよう、正しい知識を身につけて、活用しましょう。