修繕積立金には値上げがある!払えないとどうなるの?

都市部では、一戸建てよりもマンションにお住いの方も多いですね。

一戸建てよりも安く都心の住宅に住めることから、人気を集めています。

マンションには、住宅ローンの支払いのほかに修繕積立金という管理費がかかります。

この修繕積立金について、知らないと大変なことになる可能性があります。

修繕積立金の値上げで、払えないという人も多く存在するのです。

マンションにはローンのほかに修繕積立金がかかる

分譲マンションは、高層階であれば景観も良く、利便性も高いため、都市部では人気です。

しかし、ローンを払い終えたとしても、毎月の支払いがなくならないということに注意しなければなりません。

マンションには、ほかの人と共有して所有している部分があります。

廊下やエレベーター、階段、駐車場などが該当します。

これらの部分の清掃や点検など、メンテナンスのために「管理維持費」が必要になります。

また、建物というものは年を経るごとに老朽化します。

老朽化したマンションの補修工事を行うために、分譲マンションでは「修繕積立金」という積立金を支払うのが一般的です。

維持管理費と修繕積立金、これらをまとめて「マンション管理費」となりますが、分譲マンションに住み続ける限り、これらの支払いは続きます。

このマンションの修繕積立金にお悩みの方も多いと聞きます。

老朽化に伴う値上げや、大規模な修繕費が発生すると、払えないというケースも見受けられます。

払えない人も!修繕積立金の値上げ

維持管理費や修繕積立金は、「区分所有法」という法律で定められており、居住者の義務です。

この管理費の設定は、お住まいのマンションの設備や地域によってさまざまになります。

数千円~数万円まで大きな差があります。

数万円も管理費として支払わなければいけないのは、大きな出費です。

ある調査によると、マンションの管理費の平均は15,000円程度でした。

さらに、修繕積立金の平均額は、12,000円程度であったとのことです。

合計すると30,000円弱になります。

ローンや生活費などを考えると、毎月支払う額としてはかなり大きな額を占めるといえます。

しかし、それでも足りないため、大規模修繕のタイミングで、追加で修繕費が必要になるというマンションも出てきています。

費用が足りないため、修繕積立金の値上げをせざるを得ないのです。

先ほども出てきた通り、修繕積立金の支払いは生活を圧迫します。

払えないという居住者が出てきても不思議ではありません。

ちなみに、修繕積立金は、マンションの共用施設や供用設備を最適な状態に保つために必要な資金です。

これは、例えマンションを売ったとしても、払い戻されることはありません。

これは、区分所有法でも定められています。

マンションを維持するために必要な修繕積立金

修繕積立金が払えないのであれば、修繕をしなければ良いと考える方もいるかもしれません。

しかし、それは出来ません。

修繕積立金は、先ほども出てきた通り、マンションのメンテナンス費用として使われます。

新築の時はそこまで考えないかもしれませんが、建物は必ず劣化します。

特に、風雨にさらされる屋根や外壁、バルコニーなどは劣化が早く進みます。

屋根や外壁が劣化すると建物が傷み、最終的にマンションの価値を下げてしまうことにもなるのです。

マンションの修繕が必要な箇所は、屋根や外壁だけではありません。

それ以外にも細かい部分で修繕が必要になるのです。

▽屋根
補修:12年
露出屋上防水の撤去・新設:24年
傾斜屋根の撤去・葺替:24年

▽外壁
コンクリート補修:12年
塗装の塗替:12年
タイルの補修:12年
塗装の除去・再塗装:36年

▽バルコニー
鉄部の塗替:4年
床防水の修繕:12年

▽開放廊下階段
床防水の修繕:12年

▽給水管・排水管
更正:15年
取替:30年

▽貯水槽
取替:25年

▽ガス管
取替:30年

▽エレベーター
補修:15年
取替:30年

このように、年数が経つにつれて、大規模な修繕が必要になります。

そのため、段階的に修繕積立金を値上げするマンション管理組合も多く存在します。

段階式に値上げするマンションがほとんど

修繕積立金を積み立てる方法は、大きく3つの方法があります。

▽均等積立方式:均等に積み立てる
▽段階増額積立方式:段階的に積立金を値上げする
▽一時金方式:修繕時に必要な額を一括で徴収する

安定していておすすめなのは、「均等積立方式」です。

途中で値上げをすることもなく、毎月の支払い額が定額のため、資金計画も立てやすくなります。

しかし、実際にこの均等積立方式で修繕積立金を積み立てているマンションはほとんどありません。

これには、マンション販売のからくりがあります。

新築マンションを購入するとき、誰しも「毎月いくら支払うのか」に注目しがちです。

そのため、修繕積立金が安いマンションの方が販売しやすいのです。

同じような金額のマンションが2つあるのであれば、修繕積立金が安い方を選ぶ方が多いのです。

しかし、修繕積立金が安い設定ですと、その後修繕積立金は不足します。

実際に修繕が必要になる10年後に、管理組合が不足していることに気づき、修繕積立金を値上げするということになるのです。

つまり、段階増額積立方式です。

それでも修繕金が足りないとなると、まとまった金額を一括で請求する一時金方式をとらざるを得ません。

急にまとまったお金が必要となると、払えないという方も出てきますよね。

払えない場合、どのようになるのでしょう。

払えないとどうなる?

マンションの修繕積立金は、平均で12,000円程度とお話しました。

しかし、老朽化の進んだマンションですと、修繕の頻度が増え、それだけで済まないことも多いのです。

毎月払えなくなり、滞納が続いてしまうとあっという間に数十万に膨らみます。

修繕積立金を滞納すると、一般的にこのような流れで請求されます。

①2~3ヶ月で、滞納理由の問い合わせ

②「返済計画書」の提出を要求される

③督促状

④裁判所からの支払い申し立て

⑤差し押さえ・競売

これは、最悪のケースです。

悪質だと判断されると、強制執行などの法的措置が取られる可能性があることを覚えておきましょう。

値上げなどによって、修繕積立金が払えないと、家や財産を失ってしまうことになるかもしれません。

そのようなことにならないために、修繕積立金が払えないときは早めに相談することをおすすめします。

管理者、もしくは管理組合に「払えない」ということを伝えます。

滞納してしまうよりも、早めに相談しておくことで管理者も対応策が取れます。

分納の案内や支払期日の延長などの提案などをしやすくなるのです。

払えないことにならないよう、値上げに備える

マンションには、修繕積立金が必ず必要です。

新築マンションを購入する際は、新築でキラキラした物件を目の前にして気持ちが高ぶっています。

その時に冷静な判断をすることは難しいものです。

このキラキラした物件が、10年後には修繕が必要になることなど想像できないかもしれません。

しかし、それを含めて資金計画を立てていかなければなりません。

先ほどお伝えした事情があり、ほとんどの新築分譲マンションは段階増額積立方式です。

現在の収入ギリギリで住宅ローンを組むことは危険です。

修繕積立金は値上げするものとして、考えておきましょう。

修繕積立金が安いからという理由でマンションを決めるのは、危険です。

なぜ修繕積立金が必要なのかを考えると、当然のことなのです。

これを読んで、やはり一戸建ての方が良いと考える方もいるかもしれませんが、修繕が必要なのは一戸建ても同じです。

だた、強制されないというだけです。

分譲マンションの場合は、払えないとなると強制的に徴収されますが、一戸建ては家主の貯蓄のみにかかっています。

しかし、建物が老朽化することに代わりはなく、修繕にお金がかかることにも変わりありません。

マンションであっても一戸建てであっても、メンテナンスにはお金がかかるものなのです。

修繕積立金も含めて計画する

マンションでも一戸建てでも、修繕が必要であることは同じです。

しかし、マンションでは自分の意志に関わらず修繕積立金を支払わなければなりません。

分譲マンション購入時には、住宅ローンに加え、修繕積立金の値上げにも備える必要があります。

そのことも含めて計画をしていくことが大切です。