株取引をするということは、給与所得以外の所得を得るということです。
損失が出る可能性もありますが、利益が出れば税金を支払わなければなりません。
今回の記事では、どのような人か確定申告が必要なのか、不要なのかをご説明します。
また、株取引によって損失が出た場合は確定申告によって税金の還付が受けられるかもしれません。
どのような場合は還付が受けられるのでしょうか。
株取引を行うなら確定申告をしよう
資産運用として、株取引を行なう人が増えています。
FXやNISAなど、株をやったことがない人も取引に手を出しやすくなりましたね。
ところで、株で利益が出るとその利益の分だけ税金を払わなければなりません。
税率は約20%と高いのですが、税金を払わなければ税務署から追徴課税を受けることになるため必ず確定申告は行いましょう。
また、利益が出た場合でなく損失が出た場合には、確定申告をしたほうがメリットがあることがあります。
税金の還付を受けられる可能性があるのです。
ところが、会社員には確定申告はあまりなじみがありませんよね。
会社勤めの場合、ほとんどの税金は天引きされますので、確定申告を行なう必要がありません。
やったことがないという人もいるでしょう。
確定申告は、基本的に毎年2月16日~3月15日の間に申告を受け付けます。
お住まいの地区の税務署で受け付けてくれますが、忙しい場合は郵送でも受け付けてくれます。
3月15日までの消印があればOKなので、どうしても行けない場合や税務署が混んでいてとても待つというような場合は郵送も利用しましょう。
ご自分で確定申告を行なう自信がない場合は、税理士に依頼することもできます。
個人の確定申告の場合数万円程度は掛かりますが、わずらわしい手続きをやりたくないという場合は利用するという手もあります。
NISAは確定申告不要だけど還付もない
前項では、株取引をしているのであれば確定申告が必要とお伝えしました。
しかし、実は株をやっていても、確定申告が必要ないこともあります。
例えば、NISAです。
NISA口座のみで取引をしている人は、確定申告は必要ありません。
NISAで得られる利益は、基本的には非課税だからです。
しかし、損失が出た場合でもほかの所得の利益と相殺する損益通算を行うことができませんし、損失を翌年に持ち越す繰越控除も行なうことはできません。
NISAの場合は、税金がかからないけれど税金の還付もないのです。
そのため、確定申告を行なう必要がないということです。
NISA口座で確定申告が必要なのは、保有している株から得られる配当金を、郵便局の口座や銀行口座で受け取った場合です。
これは課税対象となります。
会社員でしたら、利益が20万円以下であれば確定申告をする必要はありません。
しかし、20万円を超えている場合は配当金も申告しなければなりません。
個人事業主でしたら確定申告を行なうのが一般的なので、配当金の申告をその際に行ないます。
利益も損失も含めて源泉徴収してくれる特定口座
ほかにも確定申告を行なう必要がないパターンがあります。
源泉徴収ありの特定口座のみで運用をしている人です。
この場合は、証券会社が源泉徴収して税金を税務署に収めてくれるため、確定申告をする必要がありません。
株で損失を出した場合も、損益通算をして源泉徴収してくれますので、確定申告しなくても良いのです。
つまり、税金については何もしなくても良いのです。
確定申告をすると、損益通算が3年間繰越できますので、確定申告をすることも選択肢として覚えておきましょう。
また、この特定口座には不利益な部分もあります。
会社員で売却益が20万円以下の場合は税金が掛からないはずですが、この口座ですと税金がとられてしまいます。
年間の利益が20万円以下であることがわかっているのであれば、源泉徴収なしの特定口座の方が良い場合もあります。
税金の仕組みは複雑です。
取り戻せる税金は還付してもらいましょう。
そのためには、ある程度税金の知識が必要であることに間違いありません。
会社員は要注意!株取引で確定申告が要・不要な人
さて、ここで確定申告が必要である人と不要である人をまとめてみましょう。
確定申告【必要】
・一般口座で取引している人
・源泉徴収なし特定口座で取引している人
確定申告【不要】
・NISA口座のみで運用している人
・源泉徴収あり特定口座で運用している人
・年間の利益が配当金のみの人
・年収2000万円以下の会社員で、譲渡所得が20万円以下の人
年収2000万円以下の会社員は譲渡所得が20万円以下であれば確定申告は不要ですが、これは細かくいうと、「譲渡所得を含め、給与所得以外の所得」が20万円以下である場合です。
株の譲渡所得以外に何らかの所得があり、それらを合わせて20万円を超えた場合は確定申告が必要です。
確定申告が不要ということは所得税を納めなくて良いということですが、住民税については申告が必要です。
譲渡所得が20万円以下だったとしても、住民税についてはお住まいの自治体に申告しなければなりません。
確定申告の必要な人と不要な人についてお話ししましたが、不要な人でもした方が良い場合があります。
年間を通して損失が出た場合です。
税金が還付されるだけでなく、損益通算と損失の繰越控除ができるからです。
次項でご説明します。
株取引で損失が出た場合は確定申告で税金が還付される
株取引で損失が出た場合、損益通算と損失の繰越控除ができます。
これで税金を軽減することができるのです。
まず、損益通算についてご説明します。
損益通算は、
・譲渡損+譲渡益
・譲渡損+配当金
などで通算できます。
株取引での損失と利益を相殺するのが損益通算です。
例にしてみましょう。
譲渡損+譲渡益の場合です。
①社と②社で取引口座を持っているとします。
年間の損益が、
・①社の口座で200万円の損失が出た
・②社の口座で200万円の利益が出た
という結果になりました。
利益と損失が同額のため、相殺して0円ですから確定申告すると税金がかかりません。
譲渡損+配当金でも見てみましょう。
年間の損益は、
・配当金が100万円
・譲渡損が80万円
だったとします。
配当金100万円にかかる税金は、本来20万ほどです。
しかし、譲渡損が80万円出ていますので、損益通算によって、
100万円-80万円=20万円
となり、税金がかかるのは20万円の部分だけになります。
税金は4万円ほどです。
確定申告を行うと、このように払い過ぎた税金が還付されるのです。
節税効果は還付だけじゃない!損失を次の年に繰り越せる
次に、繰越控除についてご説明します。
損益通算によって損失と利益を相殺できることがわかりましたが、損失が利益を上回ることもあります。
相殺したあとに、損失が残ってしまうのです。
例えばある年の株取引で、
・譲渡益100万
・譲渡損200万
だったとすると、損失は100万円です。
このような場合、この損失を繰り越すことができます。
そうすると繰越控除が使えるのです。
繰越控除は、譲渡損が出たらその損失を3年間繰り越せるという制度です。
つまり、損失を繰り越すと次の年に利益が出たときに、前年の損失を差し引いて課税されることになります。
・前年の損失100万円
・翌年の利益100万円
だとすると、翌年の税金は0円です。
翌年に出た利益にかかる税金を安くすることができます。
損失の繰越は、3年のみです。
毎年確定申告する必要がありますが、損失を補填することができますし、節税効果もあります。
せっかく投資で得た利益ですから、少しでも減らしたくないですよね。
確定申告は難しいと思われるかもしれませんが、還付だけでなく減税されることもあります。
投資をするのであれば、税金についての知識はぜひ持っておかなければならないのです。
確定申告による節税効果は大きい
一部には確定申告が必要ないという人もいますが、確定申告をした方が節税になる場合があることがわかりましたね。
特に、損失が出た場合は確定申告をするメリットが大きいです。
損益通算や損失繰越などが出来れば、税金を安くすることができるからです。
譲渡益・配当金にかけられる税金はおよそ20%ととても高い税率になっています。
特に、大きな金額を動かすのであれば、節税効果は大きなものになるでしょう。
確定申告で還付・減額される仕組みをしっかりと活用することが大切です。