株式の名義変更について!相続人が死後にやるべきこととは?

  • 2018年8月16日
  • 2019年5月31日
  • 投資,

家族が株式を持っていて、株主が亡くなってしまったら、どのような手続きをしなければならないのでしょうか。

また、土地や家屋のように、相続はできるのでしょうか。

今回は、株主の死後にまつわる、名義変更などの手続きについてお話しします。

株式は相続対象になる?

株を持っている人が亡くなった場合、株式は相続されます。

相続人にあたるかたは、ほっと胸をなでおろしていることでしょう。

しかし、株式の相続は、預貯金や現金の相続と内容が大きく違ってきます。

その違いは、相続分です。

ご主人が亡くなられたあと、妻と子供二人が相続人にあたる場合を例にお話しします。

通常であれば、2分の1は妻、残りの2分の1は二人の子供で分けるため、4分の1ずつになります。

これは、民法で決められている取り分なのですが、株式になるとこの配分通りに従わなくてもよいことになります。

すると、相続人にあたる人同士、遺産分割協議で相続分を決める必要があります。

ご主人の死後、株式だけでなく、預貯金や現金、土地や家屋など、ほかの相続財産がありますよね。

こうしたバランスを考慮して、相続分を検討することが多いようです。

では、株主が亡くなったあとの手続きはどのように行っていくのでしょうか。

また、名義変更についてお話していきます。

株主の死後に行うのは配当金の確認

株主の死後、遺産分割協議で誰が受け取るのかが決まったら、相続人の受け取り手続きとして配当金の確認を行ってください。

なお、しっかりと話し合いが出来て、お互いで理解出来ている環境であれば、遺産分割協議で決めていなくても配当金を受け取ることは出来ます。

しかし、今後トラブルになったときや、相続税に関する申告にも必要になってくるため、遺産分割協議書として残しておきましょう。

遺産が多くても、少なくても、家族間で争う事態は避けたいものです。

死後間もないときに決めるよりも、大切なかたが元気なうちに、「誰に・何を・どのくらい」残すのかを明確にしておきましょう。

いずれにしても、トラブルが起こらないように進めたいものですね。

相続の割合が決定したら、被相続人が取引きしていた証券会社に連絡をして、相続の発生があること、配当金の確認を行ってください。

その後は、名義変更に移ります。

死後にやるべき株式の名義変更

誰にどのくらいの割合にするのかが決まったら、株式の名義変更を行っていきます。

名義変更に関しては、財産を受け取る相続人の口座が必要です。

被相続人とは違う口座でもよいのですが、少々わずらわしくなってしまいます。

特別な理由がない限りは、被相続人と同じ証券会社で口座を作りましょう。

別の口座に移したいときも、一度被相続人と同じ証券会社で口座を作り、そのあとで別の証券会社に移すとスムーズに行えます。

ネット証券であれば、証券口座はインターネットから簡単に作ることが出来ます。

まずは、開設したい証券会社の必要事項に入力して、申し込み書類が届くのをお待ちください。

書類が届いたら必要事項を記入して、郵送で送ります。

必要になる書類は、

●相続人用依頼書

●戸籍謄本、または法定相続情報一覧図の写し

→死後の証明になる

→被相続人と相続人の関係を確認できるもの

●相続人の本人確認書類

→運転免許証や健康保険の被保険者証、パスポート、住民票の写し・印鑑証明書(6か月以内に発行されたもの)いずれかひとつ(コピーでも可能)

だいたい4~5日営業日で口座が開設され、その後1週間ほどで開設完了のお知らせが簡易書留で届くでしょう。

口座の開設案内が届いたら、取引が出来るようになります。

取引き先が分からず名義変更が出来ない場合

名義人が亡くなってからすべての株式を確認し、スムーズに手続きが行われるのが理想的です。

しかし、なかには故人が取引きしていた証券会社が分からないといったケースも少なくありません。

死後間もなく、取引残高報告書などの郵便物が送られてくればよいですが、いつ送られてくるのかこちらでは分かりませんよね。

送られてくるまで待っているのも、時間の無駄になってしまいます。

この場合、信託銀行などから株の配当についてのお知らせが来ていないか、確認してみてください。

もし郵便物が残っていたり、届いたりすれば、連絡先が分かります。

口座が開設してあれば、前項でお話したとおりに、名義変更をすればよいのです。

なお、株式の売却は特別口座からは出来ませんので、特別口座から証券会社の口座に株式を移す必要性が生じます。

何の手がかりもないときでも名義変更できるの?

もうひとつ、取引き先が分からずに、名義変更ができないケースがあります。

それは、名義人の死後、郵便物も届かない、見つからないなど、何の手がかりもない場合です。

大切な人の株式ですから、放置はできませんよね。

このようなケースは、どのように手続きをすればよいのでしょうか。

まず、証券保管振替機構、通称「ほふり」に問い合わせてみましょう。

ほふりに連絡すると、開示請求に必要な書類を一式送ってもらえます。

送ってもらった書類に従って手続きを進めていきましょう。

登録済加入者情報が記載されている書類には、亡くなった名義人が所有している証券会社の口座や、信託銀行などの名称が分かります。

何の情報もない状況から来る不安は、取り除けましたね。

それらの情報を元に、口座のある金融機関に連絡してみてください。

そこから、名義変更を行いましょう。

死後に見つかったタンス株

タンスに眠る株についてです。

株券の電子化が推奨されるなか、株主の死後、こうしたタンス株が見つかることも少なくありません。

電子化されていない株券は、そのままの状態では相続手続きができません。

「死後にタンス株が見つかった」などという事態にならないように、元気なうちに電子化しておきましょう。

なお、2009年以降の上場株については、全て電子化されています。

このことから、先ほどお話した、ほふりが管理することで、名義変更などの手続きが簡略化しているのです。

しかし、電子化されていないタンス株は、特別口座で管理されているため手元にある株券は無効状態にあります。

このままでは相続手続きができないため、相続人名義の一般口座に移しましょう。

株券を発行している信託銀行に問い合わせて、窓口で電子化を行います。

その後、名義変更手続きに進みましょう。

もし、電子化されておらず、株券が見つからないといった場合は、株券発行会社に確認してみましょう。

記録が残っていれば、株券喪失登録簿への株券喪失登録簿記載事項を請求することができますよ。

こうして処理された株券は、登録完了の約1年後に無効化されます。

その間に、遺産分割協議を済ませておきましょう。

事前に焦らないためにも準備を!

大切なかたの株をスムーズに移行するためには、準備が必要です。

あとでトラブルにならないためにも遺産分割協議をきちんと行い、必要になる書類を整備しましょう。

タンスで眠っている放置株がないか、電子化はされているかなど、思い当たるものは日頃から確認しておくことが大切です。