住宅ローンの保証人・連帯保証人の違い!変更手続きの方法

住宅ローンを借りる際には保証人、または連帯保証人が必要であるケースが多いです。

どちらについても、一度契約すると、変更は極めて難しいものです。

新居を建てる前に、ローンについての基礎知識を知っておきましょう。

住宅ローンの保証人・連帯保証人の違い①

多くの金融機関では、お金を借りて住宅ローンを組むときに、保証人、連帯保証人を立てることが条件になります。

単独名義のローンなら連帯保証人はいらない場合もありますが、夫婦などで収入を合算しての購入だったり、共有名義の家だったり、親族の名義の土地に家を建てる場合などには、連帯保証人は必須です。

(連帯保証人ではなく信用保証会社に保証料を払う契約も増えています。)

この2つの立場は似ているので、混同している人も多いようですが、実際には多くの点で異なります。

では、保証人と連帯保証人は何が違うのでしょうか。

どちらも、債務者が返済できなくなった際の保証を行う立場ですね。

しかし、権利においては異なります。

保証人が「催告の抗弁県」「検索の抗弁権」「分別の利益」について認められているのに対し、連帯保証人は、そのすべてが認められていません。

それぞれ、一度引き受けたら変更することは難しいこと、などの共通点はありますが、似ているようでもまったく異なった扱いになります。

住宅ローンの保証人・連帯保証人の違い②

住宅ローンについて知るために、もう少しくわしく両者の違いを紐解いてみましょう。

「催告の抗弁権」とは、例えば「借りた人が返せなくなったから代わりに返してください」と言われた場合に、「まずは借りた本人に請求して」と言える権利です。

また、「検索の抗弁権」とは、借りた人が返せるのに返そうとしない場合に「本人の財産から強制的に返済させること」をうながすことができる権利です。

さらに、「分別の利益」とは保証人が多い場合は、借りたお金をその人数で割って、その分だけしか保証しない、という権利です。

つまり、この3つの権利が認められない連帯保証人は、保証人よりも立場が弱いことになります。

何らかの理由で債務者(借りた本人)が返済できなくなり、金融機関などから請求がまわってきたら、文句を言えずに返済する立場になる、ということです。

そして、連帯保証人になってしまったら、簡単には取り消したり、他の人に変更したりはできません。

連帯保証人の選ばれ方

金融機関にとっては、保証人よりも連帯保証人の方が資金の回収がスムーズです。

そのため、保証人よりも連帯保証人が必要になるケースの方が多いと言われています。

では、住宅ローンの連帯保証人は、どのように選ばれるものなのでしょうか。

それは、借り入れする状況によっても異なります。

例えば、夫婦で収入を合算する場合、もし夫名義でローンを組みたいなら、連帯保証人は妻になるでしょう。

夫婦でなくても、購入する物件が誰かとの共有名義なら、その共有名義相手が引き受けるのが一般的です。

また、ペアローンの場合は、その相手が連帯保証人になるのが普通です。

多くの場合は家族、親族に頼みますが、金銭トラブルに発生するケースも多いので、事前によく話し合うことが大切です。

では、この連帯保証人を変更したい場合はどうするのでしょうか。

住宅ローンで連帯保証人を変更するのは困難

住宅ローンで連帯保証人を変更するのは難しいものです。

夫婦で住宅ローンを組み、妻が連帯保証人になったとしましょう。

もし、離婚や別居などをしても、連帯保証人から抜けることは、金融機関の合意がなければ許されません。

金融機関側からしてみれば、一度審査して決めた連帯保証人が抜けて、別の人を審査しなおすメリットはないのです。

ただ、「かわりに連帯保証人になってもいい」という意志がある人に変更することは可能です。

その場合でも、一定の安定した収入があり、返済していく能力があると認められなければ、変更はできません。

年金を受給しているなら、その年金額を厳しくチェックされることになります。

また、カードの支払いの長期間の延滞があったり、消費者金融に多額の借り入れがあっても、認められない場合があります。

住宅ローンの借り換えで金融機関を変更すれば、連帯保証人も変えられる場合もありますが、審査を受け直したり諸費用がかかったりします。

ちなみに諸費用は、新築なら物件価格の3~7%、中古なら物件価格の6~10%が目安です。

この金額を用意することができなければ、変更はできません。

ただ、借り換えの際に、連帯保証人なしで借り換えられる場合もあります。

住宅ローンの返済が、残り少ないなどの場合です。

この場合は団体信用保険の保証料がかかることが多く、金融機関の変更もしなければなりません。

住宅ローンの連帯保証人の変更手続き

難しい話になりますが、住宅ローンの連帯保証人が亡くなってしまった際に、その相続人が相続放棄したり限定承認の手続きをすれば、借金の支払い義務は事実上、なくなることもあり得ます。

しかし、ほとんどの場合においては、債務者が返済できなくなった場合は、連帯保証人が支払っていきます。

では、この連帯保証人を変更したい場合の、手続き方法を見ていきましょう。

まず、必要なものを説明します。

・印鑑証明
・本人確認書類

※印鑑証明書は、発行期限がありますので、古いものは使えません。

連帯保証人になる意志がある人に、こうした書類を前もって用意してもらい、金融機関の担当者の前で変更の手続きを行います。

必要な書類に自署と実印を押せば、連帯保証人契約は完了です。

手続き方法や発生する費用に違いはありますので、担当者によく相談してから行うといいでしょう。

また、所有権移転登記などの不動産名義の変更手続きも必要になりますので、ご注意ください。

変更できないことも!離婚後に住宅ローンが残る場合の対処法

離婚などで夫婦のどちらかが住宅ローンの連帯保証人から外れたい場合に、考えられる方法として下記のこともあります。

まずは、住宅ローンに相当する分の固定資産を担保にする、という方法です。

住宅ローンに相当する資産があれば、それを担保にして、連帯保証人を抜けられるかもしれません。

厳しい審査や煩雑な手続きを覚悟しなければいけませんが、金融機関にとっても、損はない方法です。

そして、最後の究極の方法は、家の売却をしてしまうことです。

売却してしまえば、うまくいけば住宅ローン自体無くなるわけですから、連帯保証人から抜けることができます。

売却したお金で住宅ローンを完済し、残金を清算する、というわけです。

ただ、売却価格がローンの残積よりも低い場合(オーバーローン住宅)は、損になってしまうこともありますので、慎重な選択が重要です。

また、さまざまな事情で売却できず、夫婦どちらかが連帯保証人のままになる場合は、住宅ローンに関する項目を離婚協議書にしておくことが大切です。

それによって、どちらかが勝手な契約変更をしないように権利の関係を明確にし、後々のトラブルを避けられます。

住宅ローンは計画的に!

保証人と連帯保証人の違いについて、理解していただけたでしょうか。

債務者が返済できなくなれば、連帯保証人のほうが申し立てる権利が無い分、厳しい立場になります。

これは裏を返せば、金融機関にとっては都合がいい、ということになります。

そのこともあり、住宅ローンの変更手続きは難しいものです。

住宅ローンを組む際には、よく話し合いしっかりと資金を用意して、先々まで予測して後悔しないように決断してください。