ボーナスにかかる税金の計算方法は? 支給額100万円の場合

ボーナスをもらうときってうれしいものですよね。

あなたの何ヶ月かの頑張りが評価された証です。

でも、明細を見て支給額の割に手取りが…と感じることはないでしょうか。

ボーナスは給料の何ヶ月分かになるわけで、金額がはってくるとその分税金も多くなるからでしょうか。

今回は、支給額100万円の場合を例にとって、税金の計算方法を解説していきます。

ボーナス100万円にかかる税金は以前より増えたのか?

ボーナスは、月給などとは別に、不定期に支払われる特別な給与です。

夏や冬といった時期に支払われることが多く、他にも、決算期に決算賞与などとして、会社の利益の分配をすることもあります。

逆に、会社の利益が出ていない場合は支給されないこともあります。

とはいえ、みなさんも、ボーナスを楽しみにされているのではないでしょうか。

月々の生活費にほとんどが消えていく月給とちがい、全部が余裕資金になるので、使い方を考えるのも楽しみですね。

業績のよい会社で頑張りが認められれば、3桁のボーナスだって夢ではありません。

100万円もらったらどう使おう、と妄想する前にちょっと待ってください。

100万円のボーナスといっても、手取りで100万円がもらえるわけではありませんね。

では、いくらもらえるのでしょう。

実は、ざっと計算して約8割の80万円です。

ちょっとびっくりですね。

それに、以前に比べてボーナスの手取りが少なくなったように思いませんか。

実はそれ、思い過ごしではありません。

税金が増えたのでしょうか。

それとも他に理由があるのでしょうか。

以前はボーナスから社会保険料は引かれていなかった

直近のボーナスの明細を確認してもらえればわかるのですが、月々の給料と同じで、ボーナスからも社会保険料が引かれています。

社会保険料とは、厚生年金保険料、健康保険料、40歳以上の場合は介護保険料、雇用保険料などです。

そして最後に、もちろん税金も引かれていますね。

実は、所得税は以前から引かれていたのですが、2003年3月以前は、ボーナスから社会保険料は引かれていませんでした。

2003年4月を境に、社会保険は総報酬制になり、給料だけでなくボーナスからも引かれるようになったのです。

総報酬制とは読んで字のごとく、1年の報酬の総額に社会保険がかかるということです。

年金も健康保険も、毎月の分は支払っているのに、賞与はいったい何月分として徴収されるのだろうと思いませんか。

根本的に総報酬制は、何月分という概念ではなく、年間の報酬にかかる保険料を定めるものです。

そのため、給与やボーナスの支給があるごとに一定の率の保険料が引かれているのです。

そして、手取りが以前より少なくなったと感じるのはこのせいだったのです。

では実際に、総支給額100万円の場合の社会保険料と税金を求めていきましょう。

ボーナス100万円にかかる社会保険料の計算

税金を計算する前に、まずは社会保険料を計算していきます。

給与の場合は、「健康保険・厚生年金保険料額表」を使用して、標準報酬月額によって定められた等級の保険料を支払います。

この表は、給料計算に使用される、保険料計算を簡易化した早見表のようなものです。

しかしボーナスにおいては、手計算になります。

まずはボーナス総額から1,000円未満の端数を切り捨てて、標準賞与額を出すのですが、100万円の場合は端数が出ないので、そのまま100万円になります。

料率は、地域によって協会けんぽが決定しています。

たとえば大阪府の場合、健康保険料は標準賞与額に10.13%を掛けたものを会社と折半するので、100万円×10.13%÷2で算出します。

結果は50,650円です。

40歳以上の介護保険加入者は、これに介護保険料率1.65%が加わりますので、100万円×11.78%÷2で58,900円です。

厚生年金保険料は、日本年金機構が定めた料率で、健康保険料と同じく標準賞与額に18.3%を掛けた金額を会社と折半で支払います。

計算すると、100万円×18.3%÷2で、91,500円になります。

もうひとつが雇用保険料ですが、雇用保険料は一般の事業では、労働者負担は3/1000です。

こちらは賞与総額に対して掛かるもので、100万円×3/1000=3,000円になります。

これらの社会保険料を合計すると、介護保険加入者の場合で、153,400円になります。

ボーナス100万円にかかる税金の計算

続いて税金の計算をしていきましょう。

給与の場合は、総額から社会保険料を引いた金額に対して、「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」から所得税を算出します。

しかし、ボーナスの場合はちょっと違っています。

賞与総額から社会保険料を引いた金額を基準にするのではなく、前月の給与が基準となります。

まず、前月の給与から社会保険料を差し引いた金額を計算します。

その金額と扶養親族の数で、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」から「賞与の金額に乗ずべき率」を拾います。

たとえば、前月の給与の社会保険控除後の金額が25万円で、扶養親族が配偶者と子供一人だった場合は、扶養2人、133,000円以上269,000円未満の欄を見ます。

左にたどっていくと、2.042%とあります。

この料率が賞与の税率になります。

掛け合わせる金額は、賞与から社会保険料を引いた金額で、支給金額100万円から、上でもとめた社会保険料の合計153,400円を引いた、846,600円です。

賞与の所得税は、前述の例の前月給与の社会保険控除後の金額25万円、扶養2人の場合では、846,600円×2.042%で、17,287円ということになります。

ただし、100円未満は切り捨てとなりますので、17,200円がボーナス100万円の場合の所得税ということになります。

ボーナス100万円、社会保険料と税金を引いた手取り額は

ボーナス100万円から引かれるべき金額がすべて揃ったので、手取り額をみていきましょう。

・社会保険料合計 153,400円。
・所得税17,200円。

以上を100万円から差し引いて、手取り額は829,400円です。

100万円支給でも、約17万円がひかれるわけですね。

内わけを見てみると、税金よりも社会保険料、特に厚生年金保険料の負担が大きいことがわかります。

以前よりボーナスが少ないと感じる理由は、税金が増えたわけではまったくなく、社会保険料が大きく影響していたというわけです。

ただ、社会保険料が総報酬制になる以前と比べると、月々の社会保険料は割安になっています。

実際、総報酬制になる前の社会保険の料率は、健康保険と年金を合わせると17.35%であったものが、2018年現在は15.04%になっています。

つまりは社会保険料をかける範囲が広がって、その分料率が下がったということですね。

ただ、損になるか得になるかは、給与における賞与の比率によってかわるので一概にはいえないところです。

ボーナス100万円というあなたの評価は変わらない

ボーナスが100万円支給されても、手取りは約83万円、差額のうち社会保険料は153,400円、税金が17,200円という結果になりました。

これから賞与の使いみちを考えるときは、金額にもよりますが、約2割減で計画するとよいのではないでしょうか。

また、賞与前月の給与が賞与の税金に影響することを考えると、賞与前月は残業をしないよう注意するなどの節税対策も考えられます。

また、扶養親族の数は給与もそうですが、賞与においても税率にかなり影響します。

たとえはこれまでの例で扶養親族がいない場合の所得税の掛け率は4.084%と倍になり、金額にすると33,800円になります。

扶養親族は会社に届けるだけですから、扶養の事実があった場合は、放置しないで即届け出をしておくことも大切です。

そして、たとえ社会保険料や税金が差し引かれたとしても、賞与の金額が多いに越したことはありません。

すなわち、それがあなたの会社における評価だからです。

評価が高ければ高いほど、多くの社会保険料や税金がかかってきますが、前向きにとらえて頑張りましょう。

それが次の賞与にも関わってくると思ってください。

ボーナスがもらえること自体が幸せ

100万円のボーナスについて述べてきました。

そんなことを考えられるみなさんはうらやましい限りです。

世の中にはボーナスをもらえない会社員も少なくありません。

それだけみなさんが頑張っている証であるとともに、きっと団結力のあるよい会社で、業績もアップしているのでしょう。

それに甘んじることなく、ボーナスを出してくれる会社に感謝して、頑張っていただければと思います。

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