日本人は欧米人に比べて投資を好みません。
日本人の個人資産における預貯金の割合は50%を超えており、残りを貯蓄性のある保険商品に回し、株や債券、不動産、リートに回される分は僅かしかありません。
投資をリスクと考えている人もいますが、知らないことがリスクになることがあるのです。
不動産と株式・債券、リートを含む投資信託などについて、少しでも知識を持つことが大切です。
今回は自分の資産を増やすため、あなたにも合う投資先を考えていきます。
日本人の投資感と株、債券、不動産、リート
多くの富裕層以外の日本人は、預貯金を資産運用と考えても投資とは考えていないことがほとんどです。
しかし、実は投資も資産運用も同じものです。
投資は社会を中心に見た中でのお金の動きを、資産運用は自分を中心に見たお金の動きを表しているだけです。
しかし、日本人の感覚で言えば株は投資、債券は資産運用、リートを含む投資信託も資産運用と捉えられていることが多いです。
そして、不動産(家)は単に自宅として住むものとしか考えない人が多いです。
「投資」「資産運用」と分けられるボーダーラインは、おそらく運用先のリスクの大きさでしょう。
リスクが大きいものほど投資と捉え、小さいものほど資産運用と捉えるのです。
しかし、預貯金は銀行にお金を預け、銀行はそのお金を企業や個人のローンに、株式は投資家から集めたお金を事業に、国債などの債券も同様に人から集めたお金を事業に使います。
預貯金も、株や債券、リートと同じように金融投資商品なのです。
リートとは?
「株」や「債券」は、実際に投資していない人でもテレビや新聞の報道などで言葉としては一度は聞いたことがあるでしょう。
しかし「リート」はあまり聞いたことがないでしょう。
もしかしたら、初めて聞く人も多いかもしれません。
リートは、REIT(Real Estate Investment Trust)の頭文字を取った言葉で、不動産投資信託という意味です。
日本の国内法に則るものは『日本版リート』または『J-REIT』(ジェイリート)といいます。
リートは、投資家から集めた資金を不動産に投資し、その不動産からの賃料収入などから得られた利益を投資家に分配する投資信託のひとつです。
不動産投資は一般の人の場合、自宅を買うだけでも多額の住宅ローンが必要です。
自宅以外に不動産投資をするには多額の資金が更に必要になるため、とてもハードルが高いです。
しかし、J-REITなら10万円くらいから、海外リートなら10万円以下からでも投資が可能なものもあります。
また、投資信託のひとつなので、投資先の不動産の選択などは専門家が行いますし、複数の不動産に分散投資しているのでリスクも軽減されています。
しかし、リスクは軽減されているとはいえゼロではありません。
現在日本は少子高齢化で空き家の増加などの問題もあり、不動産に関するリスクはしっかり存在していることも認識する必要があります。
預貯金も株、債券、リートも同じ投資
株式という言葉を最初に耳にしたのは、中学の社会の授業だった、という人も多いのではないでしょうか。
株式の起源はオランダの東インド会社設立に遡り、船の建造などで多額の資金を集めるために作られたシステムだということを歴史か公民で習います。
株がどのような歴史を持つのかを授業で習うことはあっても、現在どのように社会で運用され貢献しているのかまで、教えてもらえることは少ないかもしれません。
そのため、リスクだけが独り歩きし、株のことをまるでギャンブルのように思っている人もいます。
株は企業の将来性に先行投資するもので、企業活動が好調ならそれに応じて配当が支払われます。
出資した企業の業績にもよりますが、配当で年間2~10%のリターンを得ることも可能です。
現在の銀行預金よりも遥かに優れた利率ですよね。
株や債券、不動産、リートを含む投資信託は決して危ないギャンブルではありません。
むしろ、知らないリスクのほうが大きいでしょう。
例えば、株や債券、リートが危ないからとひとつの銀行に全資産を預けておいたとします。
もしその銀行が倒産したら、1千万までは守られますがあとは保証されません。
また、現在の銀行預金の利率ではお金は増えません。
インフレにより物価が上がれば相対的にお金の価値は低下し、資産が預貯金だけの場合、資産は減少してしまいます。
自分の資産を増やし守るために、株、債券、預貯金、不動産、リートなどを含む投資信託などの投資というものを正しく怖がらず理解していきましょう。
債券にもいろいろある
株、リートの次は債券です。
ひとくちに債券といっても、発行体の分類、通貨による分類、利息の支払い方法の分類などにより様々な債券があります。
国が発行すれば国債、地方自治体なら地方債、会社なら社債となります。
このように色々あるなかで、日本人に聞きなじみのあるのは、国債ではないでしょうか。
国債とは簡単に言うと、日本国が国としての事業を行う際、資金が足りない場合に発行し、一般の投資家から資金を集めるものです。
特に日本国債は、安全な投資先として人気が高く、そのため利率は非常に低くなっています。
何故安全で人気の投資先なのかはいろいろ理由がありますが、まず第一に国が利払いを保証していることです。
しかし他方で、それが信用ならないという人もいます。
日本は債務残高が高く、国民一人当たりの借金が約837万円あると報道されています。
日本国債はいつか暴落するから危険というものです。
しかし、日本国債は日本国内の投資家によってその95%が消費されています。
それは日本国債発行残高(日本国政府の借金)の95%は国債所有者である日本人投資家(日本国民)にとって、借金ではなく資産ということになります。
日本国の負債は日本国民にとって837万円の負債ではなく、資産であると考えることもできます。
債券についても、株やリートと同様に魅力とリスクを知ることが大事です。
株と債券の相関関係
預貯金も株、債券、リートも銀行や企業、国などが事業を行うために投資家から資金を集めるという形は同じです。
ところが、実際には違いがあります。
株は企業の将来に対する出資です。
将来の企業の収益のために必要なものとして、投資家がお金を出します。
そのため企業が収益を出せば、投資家はその出資比率に応じて企業から株式配当(インカムゲイン)を受け取ることができます。
また、商品が売れ企業名が上がり企業価値が高まれば、株の価値そのものが上がり、配当だけではなく元本が成長する値上がり益(キャピタルゲイン)を取ることも可能です。
しかし、企業経営がうまくいかず収益が赤字になれば配当はもちろんありませんし、企業価値が下がり上場廃止、倒産などすれば出資したお金は返ってきません。
一方、債券は事業者に貸したお金の証書をいいます。
貸したお金は利子がつきますし、償還期限が決まっているので、債券を購入したお金は基本的には将来返ってきます。
そしてその株式と債券は相関関係にあります。
株式は市中の金利上昇時には株価は上がりますが、債券価格は下がります。
逆に、金利下降時は株価は下がりますが、債券は上がります。
株・債券・リートの特徴をつかみ分散投資
預貯金も、株、債券、リートもすべて金融投資商品だと前の項でもお話しましたね。
預貯金の利率では、お金はなかなか増えません。
しかも、倒産すれば1千万円以上は保証されず、インフレ下ではお金の価値の相対的な低下のリスクに対応できません。
株はインカムゲインやキャピタルゲインを受けることができ、年間リターンも銀行預金と比べものにならず、インフレでは株価は上昇していきます。
しかし、出資した企業業績が良くなければ返ってくるものがありません。
債券、特になじみ深い日本国債(個人向け国債)の現在の利率は限りなく銀行預金に近く、あまりお金は増えません。
景気後退期などの株価が下がるような時、債券は株と逆の動きをするので、株式のリスクを低減してくれる役目を負います。
利率も安定していて、銀行預金の次に安定、安全性が高いといえます。
リートは複数の不動産物件に投資し、賃料収入という定期的な配当収入があります。
多いもので、年に複数回の配当があるリート商品もあります。
しかし、不動産市場での少子高齢化による不動産賃貸、売買への影響、景気の波にも左右されるリスクももちろん存在しています。
それぞれにメリット・デメリットは存在します。
これらの特徴を捉えながら、うまく組み合わせてご自分の余裕資金を投資に回し、資産運用するのがよいと考えます。
投資について知り資産を有効活用しよう
投資は、ギャンブルのような危険なものではありません。
もちろんリスクがないわけではありませんが、投資について学ぶことで、資産運用の選択肢が広がるでしょう。
資産は預貯金という固定観念を捨てて、許容できるリスクの範囲内で投資を始めてみませんか。