普通、銀行などからお金を借りるときは、保証人か担保が必要ですよね。
住宅ローンは一生で一番というぐらい高額な借り入れですが、あいにく保証人になれそうな人が身近にいないという場合があります。
兄弟は無職だし、両親はリタイヤしているし…などという場合、あきらめるしかないのでしょうか。
それとも、なにか方法があるのでしょうか。
保証人がいない場合、住宅ローンは組めないのか
実は大丈夫です、心配はいりません。
実際に住宅ローンの申し込みをした人ならご存知かと思いますが、ほかの借り入れと違って、基本的に住宅ローンには、保証人はいりません。
例外的に、仮審査や審査の結果、連帯保証人が必要であるといわれる場合もありますが、一般的に保証人がいないと借りられないものではないのです。
意外に思われるかもしれませんが、正社員として3年程度勤めて、年収も300~500万円程度あれば、2,000~3,000万円程度なら保証人なしで借りられます。
では、どのような場合に保証人が必要なのでしょう。
それは、たとえば年収に対して、借り入れ額が異常に多い場合です。
年収が200万円しかないのに、5,000万円の物件を全額ローンで購入したいといわれても、月々の返済額が収入でまかなえそうにありません。
そのような、銀行の判断基準にそぐわない場合に、保証人を立てるようにいわれます。
ほかにも、勤務年数が短い、正社員でないなどの信用上の不安要素がある場合には、保証人を立てるよう求められる場合があります。
なぜ住宅ローンは保証人がいない場合でも借りられるのか
では、なぜ大きな金額なのに保証人がいない状態で借り入れできるのでしょうか。
それは、銀行で住宅ローンの借り入れをする場合、子会社の保証会社に保証をさせるからです。
その利用料として、住宅ローンを借りる際には、保証料を支払わなければなりません。
そしてその金額は、非常に大きな金額になります。
契約時に諸費用などといわれるものがありますが、その中に保証料があり、諸費用の大半が保証料なのです。
たとえば、みずほ銀行の場合、35年ローンで借入金額100万円に対して、20,611円~72,147円かかります。
2,000万円の借入の場合を考えると、412,220円~1,442,940円にもなりますね。
三井住友銀行では20,620円~82,437円、UFJ銀行は一例として20,612円という金額ですので、どこの銀行でもほぼ同様といえます。
この金額の幅は、保証会社の審査基準によって、借入する人の査定をして決められます。
つまり、信用度が高いほど保証料は少なくて済むということになります。
また、借入期間が短いほど、少なくてすみます。
ただ、一般的な条件を満たしていれば、35年ローンで100万円に対して2万円強が相場といえます。
そして、たとえば繰り上げ返済などで、借入金額が減少したり、残額を一度に返済してしまった場合など、一定の基準に従って保証料が返金されます。
これは、最初の予定と比べて、ローンの金額自体や、返済期間、つまり保証期間が短縮されるためです。
保証人のかわりに保証会社がしてくれること
では、このような高額な保証料を支払うことで、保証会社はなにをしてくれるのでしょう。
もちろん、保証会社は一般的な借り入れの保証人と同様の役割があります。
万が一債務者(ローン契約者)が返済不能となった場合、債務者に代わって銀行に残額を返済してくれます。
このような契約があるため、銀行は高額な住宅ローンを個人に貸してくれるわけです。
では、銀行への債務を滞らせた債務者と財産である住宅はその後どうなるのでしょう。
もちろん保証会社は、そのままほおっておいてくれるわけではありません。
これまで銀行に対して支払っていた債務が、今度は保証会社に対する債務にかわるだけで、なくなるわけではないのです。
保証会社は、このような業務のプロですから、徹底して債務の回収を行ないます。
そして、回収が不可能であると判断した場合、住宅を差し押さえ、競売にかけるなどして債務の穴埋めをします。
住宅ローンの契約をする際、住宅の名義こそ購入する人の名義になりますが、その住宅には抵当権が設定され、ローン完済まではいわゆる担保となります。
返済ができないのであれば、担保を換金して返済する、そのために抵当権が設定されるということです。
住宅ローンは、単に保証人がいない人でも借りられるというわけではなく、実はもっと厳重に保証体制がとられているというわけですね。
住宅ローンの保証人が必要になる場合とは
さきに、年収に対して借り入れ額が大きい場合や、信用上の不安要素がある場合は、保証人が必要になる場合があると述べました。
よほど信用度が低い場合は、保証人がいるいないに関わらず、もちろん借り入れを断られることがあります。
しかし、保証人を立てれば借り入れができる場合があります。
借り入れができないと、一生自分の家が持てないか、あるいは現金を用意できるまでは、借家住まいということになってしまいます。
それが、保証人を立てれば借り入れができ、住宅を購入することができるのですから、なんとかしたいと考えますね。
そこで、どんな場合に保証人を求められるのでしょうか。
まずは、夫婦で夫の年収だけでは信用が不足しているという場合、妻も働いていれば、夫の収入に妻の収入を合算することができます。
この場合、夫が債務者になりますが、妻はその連帯保証人になる必要があります。
また、夫の単独の名義にするのではなく、夫婦の共同名義で購入する場合など、共有者は連帯債務者となります。
この場合は、保証人よりも責任が課せられる「債務者」という扱いですね。
また、土地は親の名義で、住宅ローンを借りて家のみを建てる場合など、担保となる土地と建物の提供者が異なります。
この場合は、親に連帯保証人になってもらわなければなりません。
妻が夫の住宅ローンの保証人になる場合注意が必要
このように、家族や身内が保証人になってくれれば、借り入れができる場合が多々あります。
ただひとつ、気を付けておかねばならないことがあります。
それは、夫婦で債務者とその連帯保証人になる場合です。
親と子は一生縁が切れることはまずありませんね。
しかし、夫婦は残念ながら離婚することもあります。
この場合、連帯保証人の契約を解除できるかといえば、実は簡単にはできないのです。
銀行や保証会社は、総合的に判断して、債務者と保証人の信用度で貸し付け額を査定しています。
離婚したからといって、連帯保証人を外れるというのは、契約違反になってしまいます。
つまり、離婚して購入した住宅を出ていったとしても、住んでいない住宅の債務の連帯保証の責任だけが残るということになります。
住宅を購入しようというときは、夫婦同じ将来を見ているわけですから、連帯保証人もいといませんね。
しかし、離婚するという段においては断ち切れない足かせになってしまいます。
住宅ローンは人生の大きな借金です。
離婚も人生の一大事です。
両方同じように、安易に考えす、熟考してから決断する必要がありそうですね。
保証人が必要かも、もしいない場合はどうする
さて、一般的に住宅ローンは、保証人がいない場合でも、保証会社に保証料を支払うことで借り入れを行うことができるとのべました。
しかし、審査の結果、万が一連帯保証人が必要と判断されてしまった場合、保証人の書類の手続きが完了しなければ契約ができません。
新築分譲マンションなどを購入する際は、契約から順を追って、マンションのオプションの決定や合同説明会などがあります。
また、駐車場や駐輪場の抽選など、さまざまなスケジュールとその締め切りなどが決まっています。
契約が完了しないと、もちろんそのスケジュールに参加できず、場合によっては入居時に不利益を被ることもあります。
そのようなことも考慮して、住宅ローンの審査を申し込む前には、念のため保証人になってもらえそうな人の目星をつけておくべきといえます。
また、どうしてもそのような人が見つからない場合には、審査の前に販売担当者に話しておくべきでしょう。
販売担当者は、できる限り物件を販売したい立場ですので、保証人なしでローン審査が通りやすい銀行を紹介してくれます。
また、金融公庫などとのセットのローンなど、なんとか顧客が住宅を買える方法のアドバイスもしてくれます。
銀行があくまで中立的な立場であるのに対して、販売担当者は顧客の立場で動いてくれる人でもありますので、まずはこちらに相談することが大切です。
住宅ローンの計画だけでなく将来設計も大切
住宅を購入する際に、キャッシュで全額という人は少ないと思います。
ほとんどの人がローンを組んで、必死に返済しているのが実情でしょう。
保証人がいらないからといって安易に考えず、将来の設計をきっちり立てて住宅を購入することが大切です。
みなさんが、少しでもスムーズな住宅購入ができるよう応援しています。