現役の不動産会社の社員です。
時折、アパートに入居中のお客様から保証人を変更したい旨の連絡をいただくことがあります。
何故そういったことが起きるのでしょうか?
アパートの保証人を変更する理由は様々ですが、そもそも保証人の変更って可能なのでしょうか?
また、その際の手続きはどうすればいいのでしょうか?
今回は、この点を詳しく解説していきましょう。
アパートの保証人を変更する理由は?
アパートの保証人を変更する理由は様々です。
一番多いのは、入居者が滞納を起こしてしまいその督促が保証人に行ってしまったが為に、契約者と保証人の信頼関係が崩れ、保証人が「アパートの保証人を辞めたい」となった場合です。
よく保証人本人から「保証人を辞めたいが、どうすればいい?」と連絡を受けます。
このケースでは、契約者と保証人の関係は知人・友人・会社の同僚といった関係がほとんどで、血縁関係者はあまりいません。
また、保証人が知人・友人で契約者と性別が異なる場合、アパートでこっそり同居している可能性があります。
本来、同居人は保証人にはなれませんが、別れてアパートを出て行ったので「保証人を変更したい」というケースもあります。
そのときに連絡をしてくださればまだ良いのですが、結局家賃の滞納を起こして、保証人代行会社が問い詰めて発覚するというケースがほとんどです。
そして、夫婦が離婚したという場合もあります。
この場合の保証人は、どちらかの親御さんがなっているケースがほとんどで、離婚後一方がアパートに残る場合に、保証人が残る方の親御さんでない場合に変更となります。
これは仕方無いですよね。
そもそも保証人の変更は可能なのか?
基本的には、アパートの保証人は変更ができないと思っておいてください。
何故なら、契約者本人と保証人の情報を基に入居審査を行い、それに通過したのでアパートの契約ができたのであって、保証人を変更すると、一からやり直しということになるからです。
一からやり直しならまだいいですが、やり直すが為に費用を請求されることもあります。
今の時代、どこの不動産会社も保証人代行会社と業務提携し、そこに入居審査も委託してます。
そのため、一から入居審査をするということは、再度保証会社との契約料が発生するのです。
また、その審査もきっちりとされるので、入居審査で「保証人を変更してください」という指示があることも珍しくありません。
そうやってせっかくパスした審査を、わざわざもう一度、一から受けなくてはならないのです。
アパートの保証人の変更は手間も費用も掛かるので、可能な限り避けた方が良いでしょう。
アパートから出ていかなければならないことも!
先ほどは、やむを得ず保証人の変更をする際は、入居審査をもう一度受け直す必要があるとお伝えしましたが、保証人の規定について、とても厳しい不動産会社もあります。
保証人の変更はそもそも受け付けず、保証人がいなくなった場合には即解約となってしまうのです。
実際に、契約書にもそういう文言が明記されてます。
不動産会社がいくら説明をしても、契約書の内容を細かく確認する方は実際にはほとんどいませんし、入居時には保証人がいなくなるとは思わないので確認しませんよね。
しかし、保証人について確認しておかないと、アパートから出ていく羽目になる場合があるのです。
居住権を主張し、裁判をすれば契約続行はできるのでしょうが、誰も面倒でそんなことはしません。
ましてやその理由が「同棲の中止」や「離婚」であれば、負い目があるため絶対に外部に漏らさないでしょう。
不動産会社も、家賃の充てのない方をアパートに住まわせる程甘くはありませんし、アパートから出て行ってくれるなら「むしろ助かります。」というスタンスだと思います。
人気のあるアパートなら、当然次に入居する方はすぐに見つかるので、一人や二人追い出しても全然問題ないのです。
保証人の変更に掛かる費用は?
さて、無事に新しい保証人も見つかり、再度、入居審査を受けることになりました。
では、アパートの再契約はいくらぐらい費用が掛かるのでしょうか?
そして費用が掛からない方法はあるのでしょうか?
最悪の場合ですが、仲介手数料と保証会社契約料くらいは必要かもしれません。
仲介手数料は「家賃+駐車場(税抜)」×消費税です。
保証会社契約料は、保証会社や不動産会社によって異なりますが、大体月額の総賃料の50%から100%が多いようです。
合計すると、多めに見て、月額賃料の2ヵ月分位は掛かると思っておいた方が良いということです。
最初に契約して継続して住んでいるのに、途中で2ヵ月分の出費が発生するのは、もったいないです。
可能な限り、保証人の変更で無駄な出費を発生させることは、避けたいですね。
アパートの保証人の変更手続きはどうするの?
アパートの保証人の変更手続きは簡単です。
以前に経験した契約手続きを、もう一度行えばいいのです。
契約者自身の情報は変わってなくても、保証人の情報に変更があれば再審査となります。
そしてそこで審査に落ちれば、「退去」、もしくは「保証人を替える」という結果になり、審査にパスしても、再度契約書を作成し、保証会社と再契約を結ぶという結果になります。
つまり、「退去する」か「お金を払う」ということですね。
現実は冷たいのです。
心しておきましょう。
契約書の再作成自体にも費用が掛かるケースがありますので、その点は確認してみてください。
このように、アパートの賃貸借契約は慈善事業ではありません。
「アパート経営」というだけあって、商売です。
商売は利益を出さないといけないので、不動産会社や大家さんは、「家賃を払って下さる方に住んでいただき、それ以外の方には住んでもらわなくていい」というスタンスです。
不動産会社やこのご時世の大家に、情けは効きません。
国の施策として「生活保護」という言葉がありますが、民間の賃貸業を行ってる大家と不動産会社には「生活保護」という概念はありません。
とにかく、「優良な入居者求む!」そして「滞納は悪!」という意識で経営を行ってるのを忘れずにいてください。
アパートを変えた方が費用が安くなることも!
では、保証人がいなくなって、それを不動産会社に知られてしまった場合、どうすればいいのか考えてみましょう。
今の時代、初期費用がとても安い物件がたくさんあります。
そして、ここからが重要です。
大手の管理会社の場合は、「保証人不要」という物件もたくさんあるのです。
もちろん契約者自身がしっかりと仕事をし、しっかりと収入を確保し、身元がしっかりとしていなければなりません。
そうして審査にパスすれば引越し費用は掛かるものの、仲介手数料0円、敷金0円、家賃1ヵ月分0円(フリーレント)等様々なサービスがあるので、逆に安くなる場合があります。
今時、各不動産会社はいろんなサービスを準備し、管理物件に入居してもらおうと必死です。
様々なアプローチから、アパート探しを行ってみましょう。
意外に、保証人を変更するより費用が掛からず、「逆にいいところに引っ越しできた」という事例があちこちにあるかもしれません。
保証人の変更手続きは複雑!引っ越しも検討しよう!
今回は、アパートの保証人の変更についてお伝えしました。
アパートの保証人の変更は、基本的には難しいと考えた方が良さそうですね。
仮に変更できたとしても、再審査が必要だったりと手続きが煩雑です。
思い切って、新しいアパートを探した方が費用が抑えられることもあるので、保証人の変更が必要になった場合は、そちらも検討してみて下さい。