アパートやマンションを経営する大家さんにとって、物件の管理には気を遣うものですよね。
入居者から苦情や連絡が来れば、入居者が住むお部屋だけでなく、駐車場のトラブルなどにも対応しなければなりません。
今回は、駐車場のトラブル、特にコンクリートのひび割れ補修が必要になった場合に、大家さんが取るべき行動をご紹介します。
賃貸住宅の大家さんの業務は多岐にわたる!
アパートやマンションを経営している大家さんにとって、トラブルの対応も管理業務のひとつです。
入居者の方からの苦情に神経を尖らせている大家さんも、多いのではないでしょうか。
大家さんの業務には、下記のようなものがあり、多岐に渡っています。
・資金の管理
家賃の入金を確認し、管理費や維持費、税金の支払い、入居者の退去時には敷金の精算をします。
また、リフォームの費用などは、大家さんのほうで用意しておく必要があります。
・入居や退去の管理
家賃設定から入居者の募集、入居や退去の対応などを行います。
・物件の管理
人が「住みたい」と思う物件でなければ、入居希望者は見つからず、見つかっても入居してもらえません。
それでは、空き部屋が多くなり、赤字になるばかりです。
安定したアパート経営には、物件の管理状況が大きく関係しています。
そして、物件の管理では、お部屋以外の通路や駐車場の管理なども含まれます。
駐車場のコンクリートのひび割れ補修などがそうで、入居者から連絡があれば、対応する必要があります。
また、お部屋で起こるトラブルは色々なものがありますが、駐車場で起こるトラブルにもいくつか種類があります。
次項は、そのトラブルについて、見ていきましょう。
賃貸住宅の駐車場で想定されるトラブルは?
では、アパートやマンションの駐車場で起こるトラブルには、何があるでしょうか。
●車両に関係すること
駐車場に車を停める際に、入居者同士で起こる、擦った・擦られた・ぶつけた・ぶつけられた、というトラブルです。
●盗難被害
「駐車場に停めておいた車のガラスが割られ、中に設置していたカーナビが盗まれた」というように、入居者の方が被害を受けてしまうことがあります。
●駐車場の利用に関すること
自分の駐車場に誰かの車が停められていたら、自分が停められなくて困ってしまいますよね。
入居者の知り合いが空いていた所に勝手に停めて、トラブルになることが多いです。
車のキズなどについては、保険会社や警察、盗難被害についても、警察にお願いするしかありません。
また、駐車場の不正利用については、勝手に停めた人への毅然とした対応が必要です。
証拠を押さえるためにも、駐車場にも監視カメラを設置しておきましょう。
一方、大家さんが対応すべきものもあります。
●駐車場のメンテナンスに関すること
駐車場は大抵、コンクリートで舗装してありますが、時が経つと少しずつ、ひび割れてきてしまいます。
この、ひび割れたコンクリートの補修などは大家さんの仕事に含まれます。
次からは、「駐車場のコンクリートのひび割れ補修」に絞って、詳しく見ていきます。
駐車場のコンクリートがひび割れる原因と予防法
先ほど、大家さんが対応すべきことの中に、「駐車場のコンクリートのひび割れ補修」もあるとお伝えしました。
では、駐車場のコンクリートがひび割れてしまうのは、一体何が原因なのでしょうか。
実は、賃貸住宅でも建売住宅でも、駐車場のコンクリート舗装がひび割れるのは、普通のことです。
それは、駐車場に使われている「土間コンクリート」に原因があります。
土間コンクリートは、固まるときに縮む性質があるので、ひび割れしやすいです。
また、どんなものでも使い続けていれば、経年劣化しますが、それはコンクリート舗装も同じです。
よくタイヤで踏まれる場所は、ひび割れしやすいです。
また、ひび割れを防ぐ方法には、以下の2つがあります。
①目地を付け、シーリングを入れる
コンクリートが大きく割れそうな部分には、あらかじめ目地(継ぎ目)を付け、そこにシーリング(弾力性のある充填剤)を入れておきます。
もちろん、対策してもひび割れますが、大きくひび割れるリスクは避けられます。
②鉄筋の入ったコンクリートを使う
これも、大きくひび割れるのを防ぐ方法として有効ですが、それでも、ひび割れていきます。
駐車場におけるコンクリートのひび割れ補修は必要?
では、賃貸住宅における、駐車場のコンクリートのひび割れについて、もう少し詳しくご紹介しましょう。
ひび割れには、大きく分けて2つの種類があります。
・小さなひび割れ
細い線が浅く、うっすらと入る程度なので、よく見なければ気付かない方も多いです。
そのため、この場合は補修は必要ありません。
クレームに対応しようとして、これをうっかり補修すると、逆に汚くなり、さらにクレームが増えてしまうので注意してください。
心配する入居者には、「普通のひび割れで、建物には影響しない」と伝えましょう。
・大きなひび割れ
ひび割れと言っても深さがあり、パっと見て目立つ場合は、見た目が美しくないので、補修が必要です。
ひび割れの上からコーティングすることになるのですが、セメントミルクやモルタルなどを使って補修すると、また割れます。
そのため、コーティング剤を使って、モルタルを蘇らせるのがおすすめです。
このように、駐車場におけるコンクリートのひび割れ補修は、ケースによって、したりしなかったりです。
ですから、大家さんは、ケースに合わせた判断をすることが重要です。
駐車場のコンクリートのひび割れ補修の方法
ここでは、駐車場のコンクリートが大きくひび割れている場合の、ひび割れ補修の方法をご紹介します。
一般的に、長さ0.3mm以上、深さ0.5mm以上あるひび割れだと、補修が必要になります。
ですが、先ほどもお伝えしたように、駐車場のコンクリートの場合、上からモルタルを塗るのはあまりおすすめできません。
車の出し入れで、すぐに剥がれてしまうからです。
また、パテで隙間を埋めたり、樹脂などを入れる方法もありますが、あまり効果は得られないでしょう。
そこで、コーティング剤を使って、モルタルを蘇らせる方法をご紹介します。
その手順は、以下の通りです。
①補修したい部分に水を撒く
②その部分が乾いたら、「Sクリートアップ」を塗る
「Sクリートアップ」という商品は、ひび割れたコンクリートの中に染み込んでいくので、コンクリートを強化したり、ひび割れた部分を回復させることができます。
塗る場合は、じょうろやローラーを使うとうまくいきます。
③超粒子セメントを、ひび割れた部分に押し込む
ヘラを使いましょう。
④「Sクリートフロアー」を塗る
駐車場の色が白い場合は、③の後に、Sクリートフロアーを塗ると、きれいに仕上がります。
コンクリートのひび割れ補修をして魅力的な駐車場にしよう!
ここまで、賃貸住宅における、駐車場のコンクリートのひび割れ補修についてお伝えしました。
繰り返しますが、駐車場のコンクリートがひび割れるのは、普通のことです。
天災で大きく割れた場合は除きますが、経年劣化による小さなものなら、それほど人命には関わりません。
そのため、小さいひび割れは補修しなくても問題はありません。
しかし、現在はコンクリートのひび割れひとつでも、気にする入居者も多いため、クレームが来ることがあります。
また、ひび割れの少ない駐車場のほうが、賃貸住宅に対するイメージも良くなり、入居してもらえる確率は上がるでしょう。
そして、大きなひび割れはやはり目立つので、できる限り、パテなどで埋めるなどして補修をしておきましょう。
家賃を払って住んでくれている入居者が、快適に気分よく住める環境を整えることも、賃貸住宅を管理する大家さんにとっては、大事な仕事です。
賃貸物件を持つ大家さんには、その現状をよく知り、入居者の声に耳を傾け、適切な対応をしていくことが求められています。
駐車場を綺麗に管理するのも大家の仕事
今回は、駐車場のコンクリートがひび割れた場合に、賃貸住宅を管理している大家さんが、取るべき行動をご紹介しました。
入居を検討している方や、現在入居している方にとって、綺麗で使いやすい駐車場であるかどうかは、重要項目です。
綺麗な駐車場は、「大家さんがきちんと管理している」ことのアピールにもなるので、大きくひび割れた部分は綺麗に補修し、入居してもらえるようにしましょう。