「オオカミ少年」というお話をご存知でしょうか。
「オオカミが来た!」と叫んでは村人を脅かしていた少年が、本当に狼が来ても信じてもらえずに大変な目にあったというお話です。
今回、ご紹介したいのは非常ベル誤作動の場合の止め方と対処法です。
「オオカミ少年」のような迷惑な誤作動が頻繁に起きないように、しっかり対処しましょう。
非常ベルの誤作動は多い?非常ベルが鳴ったら
学校に通っていた時に、急に非常ベルが鳴り始めて驚いた、というご経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
筆者も経験があり、そのときはきちんと点検された施設の非常ベルの場合ですので、原因はおそらくいたずらかと思いますが、犯人が見つからず七不思議現象として噂されることもありました。
また、過去の例には、あまりに頻繁に鳴ってしまうため学校側が「間違いでした」という放送をしなくなり、生徒も平然としている、というケースもあったとの話もあるのです。
そういう学校では、先生が止め方を覚えてしまい、消防隊が到着する前に止まっているということもあるようです。
あの赤い物体を見ると、「なぜか押したくなる」、そんな子供心も分かりますが、これはとても危険なことですよね。
まさに「オオカミ少年」状態です。
本当に火事だったら、逃げ遅れた生徒が命を落とすかもしれません。
所有している賃貸アパートで非常ベルが誤作動してしまうというのも、軽く受け流さずにきちんとした対応をし、対策を行うことが重要です。
それでは、誤作動かどうかにかかわらず、非常ベルが鳴ったらどう対処されているのかということをご説明していきます。
あるメンテナンス会社の手順ですが、まず、建物内に設置された火災受信機の地区確認をします。
発報した地域が特定できたら、その時点では非常ベルを止めず、その地域に向かいます。
(次項に続きます。)
火事ではなく誤作動の場合の非常ベルの止め方
発報地域に到着したら、煙があがっているか、燃えている箇所はあるのかを現地確認しながら、近くの消火器を持ち、火災受信機の操作を行います。
もし、誤作動ではなく本当に火災が発生していたら、速やかに消火活動を行い、119番通報し、避難の誘導をします。
ここで、どれだけ速く的確な対処ができるかがカギになってきます。
〇非常ベルの止め方
・火災受信機の音響スイッチを押すか下げる
・地区音響スイッチを押すか下げる
多くの場合はこの簡単な方法で止まりますが、最新機種などの場合、いったんベルを止めても、また再鳴動することもあります。
このときに、火災報知機の復旧ボタンを押すと、原因特定が難しくなるようです。
では、誤作動の原因は、どういったことが考えられるのでしょうか。
次項から見ていきましょう。
本当に誤作動?原因の特定
非常ベルの誤作動の原因はさまざまです。
料理していて発生した煙の感知、感知器に何かが当たったこと、漏水などが考えられますが、中にはイタズラ行為の可能性もあります。
冒頭で触れましたが、非常ベルを押すイタズラはよく起きることです。
犯人は子供だけとも限らず、大人の可能性もあります。
魔がさして一度だけ、というのならまだ許せますが、何度も続いたりすると苛立ちがこみ上げてくることでしょう。
入居者にとっても大きなストレスになります。
また、「オオカミ少年」のお話のように、「またイタズラだろう」と思い、避難や対処が遅れてしまうかもしれません。
火事はどれだけ速く消し止められるか、避難できるかということが最も大切です。
もし、イタズラが続くようなら、監視カメラを設置して犯人を特定するようにするのも一つの手です。
警察にパトロールをお願いするのも、もちろん対策の一つですが、警察もずっと見張っているわけにはいきません。
暗かったり遠かったりして、監視カメラでは犯人を特定しにくいこともあります。
しかし、だいたいの検討が付いている場合は証拠として提出できますし、その時間帯に警備を強化するという工夫もできます。
それでは次項では、迷惑な止め方をする人がいるということを取り上げます。
止め方の注意点と復旧方法
非常ベルの誤作動時の止め方について前述しましたが、間違った止め方をすると故障してしまいますので絶対にやめましょう。
例えば、ドライバーで機械をこじあけて、設備器ごと壊して止める、といった荒業はいけません。
「まさかそんなことをする人はいないだろう」と思うかもしれないですが、実際に起きたことなのです。
また、受信盤が管理人室などにある場合、無断で入ってスイッチを止めてしまう人もいるかもしれません。
こうした勝手な行為については、厳重に注意することが必要です。
非常ベルを壊すというのは「器物損壊罪」に当たりますし、消防法では「みだりに火災報知機等を損壊してはならない」ということが定められています。
罰則がありますし、常識から考えても壊してはいけないことは明らかです。
もし、隣人が目の前で非常識な止め方をしたら、しっかり注意しましょう。
「関わりたくない、怖い」と思ったら、匿名で管理会社に話すのもいいかもしれません。
誤作動の場合でも確認は消防隊の仕事!止め方が分かっても安心しないで
非常ベルが鳴ったら、例え誤作動だったとしても、無理やり止めてはいけない、ということをご理解していただけたでしょうか。
また、絶対に火事ではない、と確信できる場合を除いて、止め方を知っている場合でもすぐに止めることはおすすめできません。
特に、先ほども触れましたが、「復旧ボタン」まで押してしまうと、どこの感知器が反応したのかを表示するランプも消えてしまいます。
それだけは注意したいですね。
非常ベルの誤作動ですが、それによって通報され消防隊が到着したとしても、文句を言われたり罰金を払ったりすることはありません。
隊員は誤作動の場合の適切な対応についても学んでいますし、原因特定や現場確認などの対応をしてくれます。
感謝の気持ちを持つことはいいことですが、遠慮したり不安に思う必要はないでしょう。
誤作動を防ごう!非常ベルの点検は大切
非常ベルの誤作動の場合、どのように対処されるべきなのか、ご説明してきました。
最後に、誤作動を防ぐための日常的な点検の必要性についてお伝えします。
こちらについては、管理会社や大家さんが行うのは難しいので、「消防設備士」「消防設備点検資格者」などの資格がある人がいるメンテナンス会社にお願いするかたちになります。
消防法で定期点検は義務付けられていますので、ご確認ください。
実際に、どのようにメンテナンスが行われるのか調べてみました。
〇機器点検(半年に一回以上)
・作動点検
非常電源や動力消防ポンプなどの作動が正常か確認
・外観点検
機器の配置、傷の有無の確認など
・機能点検
簡単な操作で正常に機能するか確認
〇総合点検(年一回以上)
消防設備の全体、または一部分を作動させてみて、正常に通常通りの付き方、止め方で機能するのかを確認することです。
機器点検も総合点検も、それぞれ告示で定める細かい基準があり、しっかり点検を受けていれば安心ですね。
非常ベルは危険を知らせる大切なもの!
非常ベルを止められるのは、消防隊やメンテナンス会社だけではありません。
止め方を知っていて、火災受信機の場所に行ければ誰でも止めることはできます。
所有しているアパートの非常ベルが何度も誤作動するようなら、原因追及に努力しましょう。
イタズラの場合もありますが、警察や管理会社と連携して、速やかに犯人を見つけて下さい。