世界の政治・経済の行方が心配される昨今、金への投資が注目を集めています。
そこで、金を購入することのメリットやデメリット、海外での購入についてお話します。
金をご自身の資産にしようとお考えの方は、参考にしてみてください。
金の価値は海外でも共通の資産
金は古くから美しく、希少なものとされ、世界共通の資産として扱われています。
1970年代までは金本位制が取られ、海外の紙幣も、金と結びつけて価値を決めていました。
このことから、日本円を海外のお金に交換できるようになったのも、金の価値が、各国で共通していたからです。
現在でも、資産として、世界中の中央銀行で金が保有されていています。
国がもしも破綻して、その国の紙幣が紙切れの価値になってしまっても、金の価値が紙切れになることはありません。
金本位制が終わった現在も、金の価値は変わらないのです。
しかし、近年は世界各地の紛争やテロ、世界同時株安など、世界情勢は不安定な状態です。
この状況で金を持つことは、正しい選択と言えるのでしょうか。
投資目的に金を保有する、メリットとデメリットを見ていきましょう。
また、海外で金を購入するときの注意点をお伝えします。
金を購入するメリットとデメリット
まず、金に投資をするメリットからお話します。
金は鉱物です。
埋蔵量には限りがあるので、金が無価値になることはありません。
そして、発展途上国であろうと先進国であろうと、金の価値は共通です。
世界情勢が不安定な状態でも変化に強い金ですので、海外で紛争やテロ、株安などが起こると、金を購入する人が多くなります。
こうなると、金の価値が上がるケースも多くあります。
つぎに、金に投資をするデメリットです。
まず挙げられるのは、為替変動リスクがあることです。
金の取引は、米ドルで行われます。
そのため、日本国内における金の価格は、米ドルに対する為替の影響を受けるのです。
1ドル100円のとき、10,000円分の金を購入した場合。
1ドル110円のとき、10,000円分の金を購入した場合。
前者のほうが、金の獲得量が多くなります。
ほかにもデメリットとまでは言いませんが、ほかの金融資産のように、預貯金の利息や株式の配当といった利益は、金にはないことも挙げられます。
金投資の種類
金投資とは、毎日変動する金の価格によって、金を売買しながら利益を得る方法です。
この金投資、さまざまな種類があることをご存知でしょうか。
金投資といっても、種類によって異なった性質があります。
★純金積み立て
月1,000円から購入ができます。
リスクも低いですが、リターンも低めです。
★金地金
いわゆる金の延べ棒(ゴールドバー)のことです。
複数のバーサイズがあり、5g単位から購入することができます。
500g未満の売買だと手数料(バーチャージ)がかかるので注意です。
★地金型金貨
収集型金貨と地金型金貨の2種類が、金貨にはあります。
個人の嗜好などで売買される収集型金貨は、金地金価格よりも高く、売買されたりしています。
地金型金貨は、金地金の時価に、上乗せ金を少額加算して売買されます。
★金ETF
金価格に連動した上場投資信託です。
株取引に近い金投資で、5,000円ほどから購入可能です。
★投資信託
金などを採掘する企業に、投資することです。
海外の企業に直接投資する、為替リスクなどを不安に思う方のために、金鉱株ファンドがあります。
金に投資するのではなく、世界各地の金鉱山の株式に投資する方法です。
リターンも大きいですが、リスクも大きいです。
★金CFD
商品先物取引と似た投資です。
買い付け時よりも、相場が上がっていたときに売買すれば、利益が発生します。
ハイリターンが期待できますが、逆にハイリスクであるため、豊富な投資経験が必要になる投資です。
金を購入するときはマイナンバーが必要?
2016年1月以降、日本に住民票を置く全ての人が、マイナンバー(個人番号)を持つことになりました。
マイナンバーは、複数の機関に存在する個人の情報を、まとめて確認をするために活用されています。
所得税法等の改正によって、支払額が200万円以上の場合、支払調書にマイナンバーを記載することが義務付られています。
これに伴い、200万円以上の金地金や金貨の売却取引を行う際には、マイナンバーの提示が必要になります。
マイナンバーの提示が必要になるか、ならないかは、金を売買する際の金相場によって変わります。
そのため、従来の主流は1kgバーの金地金でしたが、現在は100gバーが人気を集めています。
しかし、みなさんが100gのバーを購入して、個人資産を表向きにせずにいると、当局も動き出す可能性もあります。
さらなる所得税法等の改正によって、100gのバーでも、マイナンバー提示を求める時代になるかもしれません。
それでしたら、gにすると割高にはなりますが、小口で1toz金貨を購入するといった方法もあります。
金貨を購入するデメリットとしては、金貨に傷や汚れなどがある場合、地金再生価格の買取になります。
つぎでは、海外での金の購入について、お話します。
金は海外で購入できるの?
日本国内で、金地金と金貨は購入できますが、海外でも購入することができます。
金を購入するときの手数料を考慮して、手数料が安い香港での購入方法について、お話します。
金地金や金貨を香港で購入する場合、おすすめなのが、「恒生(ハンセン)銀行本店」です。
おすすめの理由は、金の実物を買えるのは4店舗のみで、本店以外ですと、口座開設が必要になってくるからです。
また、パスポートや身分証明書がなくても、現金で取引できるのも本店のみになります。
金貨の在庫が常にあるとは限りませんので、事前に確認をしておきましょう。
1日で購入できる金額は、HKドル120,000までと制限があります。
1HKドル=14.3円だとすると、
HKドル120,000×14.32=1,718,400円
これが、1日あたりの購入限度額になります。
日本円にして500万円の予算で、1toz(約34枚=約1,057g)の金貨を購入した場合には、帰国の際に
・支払手段等の携帯輸出・輸入申告書
・携行品・別送申告書
の税関提出が必要になります。
そして、金を購入するときは消費税なしですが、日本に持ち込むとなると、輸入消費税の支払いが必要になります。
こうした消費税の部分と手数料の面や、マイナンバーを気にせずに購入できるというメリットがあります。
そのため、品質が確かならば、香港で金を買うといった手段も、一考の価値があると言えるでしょう。
日本円の持ち出し(100万円以下)、1toz以下の金貨1枚など、20万円以下の少額取引でなければ、税関に申告する必要があります。
一気に高額購入するとなると、資産内容が記録に残るところは、気になる点と言えるでしょう。
金を購入するためだけに、何回も香港に行くことは、あまり合理的とは言えません。
ビジネスとするなら、毎月1回は必ず行き、毎回1toz金貨の購入がベストです。
安く購入できるのはどっち?!日本と海外で違う金の単位
為替の影響を受ける金価格ですが、円高や円安でどう変わるのでしょうか。
まずは、円高の場合です。
円高の場合、日本国内の金価格が下落します。
そして、円安の場合は、金価格が上昇するのです。
このことから、金は円高になると安くなりますが、円安以上に金価格が上昇してしまうケースもあります。
円高は米ドルに対して、円が高くなるということですから、円高=ドル安を表します。
つまり、ドル安になると米ドルの手放しが起こり、通貨や資産に移動し始めるのです。
この移動の一部は金に向かい、円高によって大量に金の買いが入ると、金の価格が上昇する現象が起こります。
すると、円高でも、金需要が高くなれば、金価格は下がらないこともあるということになります。
ちなみに、日本で金などの重さを測るときはグラム(g)を使いますが、国際的に使う単位はトロイオンス(toz)を使います。
前項の、海外で金を購入するときに、出てきた単位です。
1tozは、31.1034768gです。
日本の金は、日本円とグラムで計算し、欧米の金では、米ドル建てとトロイオンスで計算します。
海外と日本の金は、重さと為替、この2つの計算をしないと、金が高いか安いかのかが比較できません。
少々ややこしく感じますが、日本国内と海外とでは、金の単位が異なることを、覚えておきましょう。
リスクを伴うことを忘れずに
金投資には、種類があります。
ローリターンのものもあれば、ハイリターンのものまであります。
しかし、リターンが大きい投資であればあるほど、リスクも大きくなることを、忘れてはいけません。
金を購入するときは、こうしたメリットデメリットを考えたうえで、購入してみましょう。