管理会社目線で、今回は皆さんの周りに必ずある、火災報知器についてご紹介します。
マンションの火災報知器について、点検がなぜ必要なのか?
点検の仕方や火災報知器の仕組みから、入居者(または区分所有者)にとって、火災報知器がどのくらい重要なのかについて、じっくり思いつく限りご紹介いたします。
マンションに設置されている火災報知器とは
賃貸マンションにしても、分譲マンションにしても、大体のマンションには火災報知器が設置されています。
火災報知器とは、消防設備と言われるもので、大体天井についています。
大きく分けると、煙感知器と熱感知器があります。
火災報知器は、火事を察知し、火災受信機へと信号を飛ばす役割をもっています。
この信号を火災受信機で受け取り、音響装置で建物内へいる住人へと知らせます。
これを、自動火災報知設備と言います。
火災報知器は、この自動火災報知設備の一部と言えます。
火災受信機は一般的に、管理室や防災センターに設置されています。
感知器からの信号を受信すると、音響装置でベルを鳴動させるほかに警備会社へ通報したり、防火シャッターを作動させたりと、様々な機能を持っている場合が多いです。
そして、消防法にて、点検が義務付けられています。
火災報知器の種類
前項にて少し触れましたが、マンションに設置されている火災報知器には、大きくわけて2種類あります。
ひとつめが「煙感知器」です。
煙感知器の代表的な2種類をご紹介します。
光電式分離型感知器と、光電式スポット型感知器です。
光電式分離型感知器は、普段は送光部から発せられる、目には見えない光を受光部にて受信しています。
この送光部と受光部の間を煙が遮ると、目に見えない光が遮られ、煙を感知するという仕組みになっています。
次に、光電式スポット型感知器です。
通常時は、発光部から出る光が当たらない位置に受光部を配置します。
そして、煙が火災報知器の中に入ることによって、光が乱反射し、受光部で光をキャッチして煙を感知します。
ふたつめに「熱感知器」です。
熱感知器も代表的な2種類を記載します。
差動式スポット型感知器と、定温式スポット型感知器です。
差動式スポット型感知器は、急激な温度上昇に反応し、緩やかな温度上昇では反応しません。
定温式スポット型感知器は、一定の温度に達したときに感知するものです。
どちらの火災報知器も、点検が必要です。
マンションにおける火災報知器の点検は必須?
マンションに住んでいる人のなかでは、できる限り、知らない人は家に上げたくないという人も、多いのではないでしょうか。
しかし、消防設備点検のチラシには、住居内への立ち入りをしますと、記載されていますよね。
最近の建物では、インターホンと連動されているものもあり、住居内に入らなくても火災報知器が正常かどうか見れるものもあります。
しかし、そういった建物でさえ、基本的には住居内への立ち入りを、お願いしている場合が多いです。
自動火災報知設備や消火器などの消防設備は、消防法で点検が義務付けられています。
基本的には、賃貸マンションであればオーナー様に、分譲マンションであれば管理組合にその義務があります。
そして、もし、これを怠って火事が起きた場合には、罪に問われる場合もあります。
しかし、居住者にも注意が必要です。
点検時に毎回点検を拒否して、もし火事が起こった場合は、居住者も罪に問われる場合があります。
結論としては、マンションにおける火災報知器の点検は、必須と言えるでしょう。
万が一、火事が起こったときのことを考えると、自分の身を守るためにも、火災報知器の点検は受けておきましょう。
火災報知器の点検方法
マンションにお住いの方は、火災報知器の点検に立ち会われたことがあるという方も、多いのではないでしょうか。
立ち会われたことがある方は、何やら感知器を棒の先についているもので、覆っているのを見たことがあると思います。
しかし、火災報知器の点検は、ただ単に、この作業を行うだけではありません。
消防設備点検は、まず一人では不可能です。
先ほどもご紹介した通り、火災報知器で火事を感知し、それを受信機へと送っています。
火災報知器と受信機は基本的に離れていますので、お部屋で模擬的に火災報知器に火災を感知させ、火災報知器が正常に受信機へと信号を発信しているか、受信機側で確認しています。
詳細な操作手順は省きますが、まず受信機で操作を行い、作業員がお部屋の火災報知器に熱を加え、発報させます。
受信機側に居る作業員は、発報を確認すると、無線でお部屋の作業員へ受信機で火災報知器の発報を確認できたことを伝え、発報をリセットします。
この作業を、各戸を周りながら行います。
お部屋の作業員は、その作業と同時に、火災報知器の設置状況なども点検しています。
マンションの火災報知器が鳴ったときの対処法
マンションで火災報知器が点検以外のときに鳴った場合、消防に対する知識の少ない方は動揺するでしょうし、パニックを起こし、正常な判断が付かなくなる可能性もあります。
マンションで火災報知器が鳴った場合を想定しておくことで、実際に火災報知器が鳴った場合にも、冷静に対処することができます。
火災報知器が鳴った場合、まずは、本当の火事か誤動作なのかを確認しましょう。
最近の機種では、火災報知器が作動するとモニターに『火元を確認してください』というアナウンスが流れるものもあります。
【本当に火事だった場合】
家の中で本当に火の手が上がっていた場合、火がまだ小さな場合は、適切な初期消火活動を実施しましょう。
これで、大きな火事を防ぐことができるかもしれません。
しかし、火が大きくなり、火が天井まで達していた場合は、自力での消化活動はまず無理です。
初期消火活動は諦めて、避難を優先させましょう。
また、締め切った部屋の火災報知器が作動していた場合は、ドアを開けた瞬間にバックドラフトを起こす可能性があります。
バックドラフトで火事を大きくしてしまったり、自分の命の危険にもなるので、ドアノブが熱くなっていないかなど、慎重に行動しましょう。
【火災報知器の誤作動だった場合】
家中どこを見渡しても火元を確認できず、火災報知器の誤作動が確認できた場合は、次のように対処しましょう。
警報停止ボタンを押すなどして警報音を止め、管理室へ連絡するか、警備会社や管理会社へ連絡しましょう。
火災報知器の誤作動を防ぐためにも点検しましょう
マンションに設置されている火災報知器は、稀に誤作動を起こす場合があります。
火事が起きていないときに発報するという、火災報知器の誤作動でしたらまだマシです。
しかし、もし実際に火事が起きているにも関わらず、発報しないとなれば最悪の場合、人命にも関わります。
皆様のマンションでも毎年2回、普通の点検と総合点検が行われていると思います。
この2回の点検日は、予定を入れずに空けておき、自分の部屋内の火災報知器を、専門の点検業者さんに点検してもらいましょう。
なかなか自分で火災報知器を点検するというのは無理がありますし、有資格者に点検をしてもらうことに意味があります。
自分では、ちゃんとした点検はできませんが、日頃の目視での点検はできます。
天井から浮いていないか、傾いていないなど、日頃からチェックするようにすると良いかもしれません。
また、火災報知器周りのホコリを取り除くことも、非常に大事です。
火災報知器はホコリがたまると、誤動作を起こしやすくなってしまいますので、日頃からホコリ掃除をしておきましょう。
火災報知器の点検は大事
マンションの火災報知器の点検の重要さは、ご理解いただけたでしょうか。
火災報知器が正常に動作しない状況で放置してしまうと、万が一、火事が起きてしまったとき、落とさなくも良かった命が失われてしまうかもしれません。
自動火災報知設備は、火災報知器あってこそのシステムです。
皆さんのマンションに消防設備点検の業者さんが来られたときは、やむを得ない事情がない限りは、お部屋内の火災報知器の点検をしてもらいましょう。