アパートなどの経営で家賃収入を望んでいるのであれば、まず建物自体が必要です。
土地は所有しているのか。
建物は新築で建てるのか、中古なのか。
新築でアパートを建てる費用は、どのくらい必要なのかなどをお話しします。
アパート経営をお考えの方は、参考にしてみてください。
アパートを建てる土地選び
まず、アパートの経営をするには、建物を建てる場所があるかどうかです。
ご自身が土地を所有していない場合は、土地物件を探し、購入することから始まります。
土地の費用は、地域や何坪かで大きく変わりますが、「どのくらいの敷地があれば、アパートが建てられるのか」疑問ですよね。
30坪ない小さな敷地やコの字型のような変形敷地でも、どのような敷地であっても、きちんとしたプランさえあれば、アパートを建てることは可能です。
ただし、建設において、建築基準法というルールがあります。
【接道義務】
都市計画が決定されていない区域を除き、建築物の敷地は、建築基準法上の道路に2m以上接する義務があります。
道路幅が4mを満たさないケースは、道路の中心から2m後退したところが敷地になります。
これを「セットバック」と言います。
●建ぺい率と容積率
建ぺい率とは、敷地面積に対して、建築面積はどのくらいの大きさなのかということです。
容積率とは、敷地面積に対して、建築の延床面積(階数の合計)で、建ぺい率と容積率は大きく影響してきます。
割合ですが、用途地域や接している道路の状況で変わり、建ぺい率は30~80%、容積率も50~1300%と、かなり開きが生じます。
アパート周辺の環境を調べてから建てる
建築基準法をクリアしても、アパート経営を成功させなくてはなりませんよね。
成功の近道になる、アパート経営のポイントがあります。
それは、ニーズがあるかどうかです。
現在、日本では、人口の減少が問題視されています。
土地が見つかりプラン通りのアパートを建てることができたとしても、入居者が集まらなければ、家賃収入は見込めず、経営は行き詰まっていくばかりです。
人口減少と言いましたが、大都市圏に目を向けてみると、まだまだ人口は増えています。
単身者向けにするのか、ファミリー向けにするのか、立地の環境をチェックして、プランを考えてみましょう。
学校は近いか、最寄の駅まで距離はどのくらいなのか、スーパー・コンビニ・大きな公園などは近所かを、事前に調査してみましょう。
立地環境から入居者のニーズを判断して計画を立てれば、アパート経営の安定化を図ることができます。
次では、アパートを建てるための費用について、お話します。
賃貸アパート建築費用に工事は含まれるのか
周辺環境やニーズを考えたうえで、土地が決まったら、アパートを建てます。
アパートを建てるために必要になる、費用を見てみましょう。
・建物本体
・外構などの付帯工事
・各種申請手続き費用
・各種税金
などです。
こうした費用は、敷地条件や建物の構造や工法、設備のグレードや規模、間取りのタイプによって変わってきます。
また、賃貸アパート建築費用については、定義が曖昧です。
どこまでが賃貸アパート建築費用に含まれるのかは、実際のところ、建設業者によって異なる場合があります。
そのため、見積書を提示してもらったら、どこまでの工事が料金に含まれるのかを確認しましょう。
いくつかの建設業者に見積もりを依頼して比較すると、同じプランでも、掛かってくる費用に差が出るかもしれません。
賃貸アパートなどの建築費用を表示する単位は、「坪単価」になります。
1坪あたりの建築費用を表示すると比較しやすいので、こうした単位が統一されています。
床面積が何坪になるのかは、設計段階で分かります。
その坪数を元に計算してみると、アパートを建てる全体像が見えてきます。
構造によって坪単価が変わるため掛かってくる費用も変わる
建物を建てる構造は、ひとつだけではありません。
木造・軽量鉄骨・RC造(鉄筋コンクリート)と、大きく分けて、この3パターンがあります。
そして、どの構造を選ぶかで、先ほどお話した「坪単価」の相場が変わってきます。
☆木造(2~3階建て) 50万円前後/坪
☆軽量鉄骨(2~4階建て) 50~70万円
☆RC造(主にマンション) 70~100万円
木造→軽量鉄骨→RC造の順番に強度が高くなるので、建築費用も高くなります。
一般的賃貸なアパートであれば、4~6戸規模の木造構造が多く、坪単価50万円前後で建設していることになります。
例えば、土地の広さが40坪程度、戸数が6戸、建ぺい率80%の2階建ての木造アパートを建てるとします。
計算方式は、次の通りです。
【敷地面積×建ぺい率×階数×坪単価=賃貸アパート建築費用】
この計算式を、坪単価を50万円として、当てはめて見てみましょう。
40(坪)×80(%)×2(階)×50(坪単価)=3200(万円)が、アパート建築費用の概算となります。
建物を建てる前に計算してみよう
先ほどお話した坪単価50万円、建ぺい率80%の木造アパートを例に、賃貸アパート建築費用を、坪別・階数別にまとめてみます。
【木造】
・50坪 2階建て 4000万円 3階建て 6000万円
・80坪 2階建て 6400万円 3階建て 9600万円
・100坪 2階建て 8000万円 3階建て 1億2000万円
坪単価60万円と仮定した、建ぺい率80%の鉄骨造の賃貸アパート建築費用も、坪別・階数別も見てみましょう。
【鉄骨造】
・50坪 2階建て 4800万円 3階建て 7200万円 5階建て 1億2000万円
・80坪 2階建て 7680万円 3階建て 1億1520万円 5階建て 1億9200万円
・100坪 2階建て 9600万円 3階建て 1億4400万円 5階建て 2億4000万円
一番強度のあるRC造は、主にマンション向けではありますが、アパート経営の他にマンション経営をお考えの方は、参考になさってみてください。
坪単価80万円、建ぺい率80%のRC造のマンション建築費用と仮定します。
【RC造】
・50坪 5階建て 1億6000万円 8階建て 2億5600万円
・80坪 5階建て 2億5600万円 8階建て 4億960万円
・100坪 5階建て 3億2000万円 8階建て 5億1200万円
これらの一覧は、仮定にすぎません。
【敷地面積×建ぺい率×階数×坪単価=賃貸アパート建築費用】の計算式を元に、どのくらいの費用が掛かるのかを、建物を建てる前に計算してみてください。
建設費用を抑えるポイント
マンション建設と比べると、アパート建設のほうが安いですが、千万円規模になります。
できることなら、少しでも費用を抑えたいとお考えになるのは、自然なことです。
最後に、アパート建築費用を、少しでも抑えるためのポイントを、お話します。
☆建築費用に中間マージンが含まれていないかどうか
アパートの建設工事は、どなたがやるのかを確認しましょう。
大手のハウスメーカーや、建設会社に依頼したとしても、実際に工事を行うのは、別の工務店の場合があります。
この場合、中間マージンが発生します。
中間マージンを抑えるために、工務店と直接やり取りをすれば、コスト削減ができます。
☆シンプルな形状
こだわって建てるのも、もちろん素敵です。
しかし、費用を抑える場合は真四角に近い形の建物のほうが、設計も工事も材料もシンプルになるので、費用を抑えられます。
また、建築業者によっては、構造やデザインを規格化して大量生産し、低コストで請け負うところもあります。
抑えられる費用を見直ししたり、確認することは大切なのですが、何でも低コストで建てることはおすすめしません。
なぜかというと、初期費用を抑えすぎた場合は時間の経過とともに、劣化が目立つようになります。
建築において費用をかけた分、長持ちであることも、視野に入れてみてください。
数十年も所有して経営し続け、老後の収入をお考えであれば、それ相応の費用を掛ける必要があります。
短期間で収入を得て売却するのか、長く経営するのかなども踏まえて、初期費用を考えてみましょう。
スタートが肝心
アパートの経営をお考えになったら、まずニーズのある土地選びから、はじめてみましょう。
坪単価は、地域によって違いがありますので、単価も視野に入れて決めましょう。
ベストな土地が見つかったら、建物の構造を決め、具体的にどのくらいの費用が掛かるのかを、数字にしてみるといいでしょう。
何事にも、はじめが肝心です。
ご自身の納得のいくアパートを建ててください。