九州7県の面積や人口などの比較から九州について学ぼう

皆さんは、九州についてどのようなことをご存知でしょうか。

九州は、北海道と比較すると約半分程度の面積ですが、7つもの県に分かれています。

そして、県ごとにいろいろな特徴があります。

今回は、この九州について、いくつかの点で県ごとの比較を交えながら、その特徴を勉強していきましょう。

九州は面積も人口も日本全体の1割強である

九州は、本州、北海道に続いて広い国土を持つ地域で、総面積は約42,000?あります。

これは、日本の国土全体から見ると1割強の広さといえます。

その中に、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島という7つの県があり、1つの都道府県で約83,000?もある北海道とよく比較されます。

ちなみに本州は約231,000?で、その中に34都府県があることから、九州は1つの県当たりの平均の面積がやや狭いことがわかります。

ところで、交通はというと、山口県下関市と福岡県北九州市の間に関門海峡があり、本州とは関門橋や関門国道トンネルでつながっています。

また、東海道新幹線、山陽新幹線で東京、新大阪から福岡県の博多まではつながっていましたが、2011年には九州新幹線も開通しました。

これにより、博多-長崎間、博多-鹿児島間が新幹線で結ばれ、九州の東西と南北それぞれの交通が大変便利になりました。

また、2016年度の国の統計によると、九州の人口は約12,966,000人で、これは日本の総人口の1割強になります。

日本全体から見ると、九州は面積も人口も1割強で、全体としてはバランスの取れた地域といえそうですね。

しかし、7つの県で見比べてみると、明確な差異があるといえるでしょう。

それはどのような差異なのでしょうか。

九州の面積比較では鹿児島県がトップ!ただ離島の存在が大きい

まずは九州各県の面積を比較してみましょう。

福岡県は約4,986?、佐賀県は2,440?、長崎県は4,132?、熊本県は7,409?、大分県が6,341?、宮崎県は7,735?、鹿児島県が9,187?です。

このうち、長崎県には対馬や壱岐、五島列島、平戸諸島、西彼諸島などの島々が含まれています。

また鹿児島県には、甑島列島や薩南諸島から奄美諸島の最南端、与論島までが含まれています。

このように九州地方は、九州本島と大小さまざまな島々からなっています。

そして、全国1位の約2,500?にもなる離島面積を持つ鹿児島県が、九州7県の中で最大の面積を誇っているのです。

ちなみに、長崎県も全国2位の約1,550?の離島面積を持ち、沖縄県の約1,020?をしのいでいます。

一方、九州本島のみの面積で見ると、宮崎県が最大で、続いて鹿児島、熊本、大分の各県、そして福岡県と続きます。

次に離島を除いた長崎県がきて、面積が最小なのはどちらの場合でも佐賀県です。

最大の宮崎県と最小の佐賀県の間には3倍以上の面積の差があります。

このことから、九州は、多数の島々と大小7県が集まる個性豊かな地域といえるでしょう。

九州の人口比較では福岡県がダントツの1位

次に、各県の人口を見ていきましょう。

2016年度の国の統計で、県別に多い方から列挙すると、福岡県は5,104,000人、熊本県が1,774,000人、鹿児島県が1,637,000人で、ベスト3を構成しています。

次に長崎県の1,367,000人、大分県の1,160,000人、宮崎県の1,096,000人ときて、そして最後が佐賀県で828,000人です。

ここで特筆すべきは、やはり福岡県の人口の多さでしょう。

九州7県の比較において、群を抜いて多いことがわかります。

九州全体約42,000?のうち5,000?弱の福岡県に、12,966,000人中5,014,000人強が集まっているわけです。

計算すると、全体の12%弱の面積に、39%の人口が密集していることになりますね。

他にも、データからわかることがあります。

熊本県、鹿児島県の面積に対する人口を基準とすると、宮崎県、大分県は面積の割に人口が少ないといえます。

九州東岸ではなく、西岸の地域に新幹線が通ったのもこのためでしょう。

そして、長崎県は、離島面積を除く2,600?に対して、離島人口を除く1,230,000人もが密集しており、人口密度は福岡県に次ぐ第2位です。

さらに佐賀県は、面積も人口も最下位ですが、人口密度は意外と高く、第3位となっています。

九州の面積と人口の両軸の比較からわかること

このような面積と人口の比較からわかることは、九州では本島北部に人口が密集しているということです。

もちろん、九州中南部の各県の県庁所在地は、いまだそれなりの人口を有しています。

熊本市は約741,000人、鹿児島市では600,000人、大分市は478,000人、宮崎市は401,000人です。

ただ、人口の減少化傾向があることは見逃せません。

対する北部の福岡市は1,539,000人、北九州市は961,000人、長崎市は430,000人で、特に福岡市の人口密集度が顕著といえます。

また、65歳以上の高齢者人口を見てみると、福岡県では26%程度ですが、他県では30%前後を占めています。

つまり、九州の中でも都市部に当たる福岡を中心とした北部の地域に、若い世代の人口が流入しているといえます。

そしてこれは、住宅事情にも表れています。

福岡・北九州市では、中心部で単身世帯が増加しており、借家比率が東京23区と同様で50%を超える高さといいます。

賃貸の相場も、賃貸サイト調べで、ワンルームで4万円弱、3LDKで10.5万円と、東京よりは安いですが、大阪、名古屋と変わらない相場といえます。

ただ、民間賃貸マンションは小規模中心でファミリー向けが少なく、昨今はファミリーに向けての分譲マンションの増加がみられます。

特に福岡市は、このような事情から、全国有数のマンション都市となっているのです。

九州の大部分が過疎に悩む農村、漁村地帯という事実

ところで、都市部ではない、いわゆる自然居住ブロックはどうなっているのでしょう。

こちらは、すでに高齢化、過疎化が急速に進行しており、全国と比較しても5年速いスピードといわれています。

住宅事情を見てみると、都市部より持ち家率が高くなり、65%程度が持ち家ですが、このような過疎化、高齢化で維持管理に問題が出てきています。

国土交通省九州地方整備局でも、これを問題視して取り組みを行っていますが、高齢化に適したまちづくりが追いついていないのが現状です。

また、過疎化の原因は産業構造にもあるようで、自然居住ブロックへのUターンやIターンには、仕事への不安が伴うという調査結果が出ています。

実は、九州の工業や商業は福岡・北九州などが中心で、その生産や販売額は全国シェア7~8%を占めています。

一方、すべての県が海に面している九州では、漁業における漁獲総量は全国の14%です。

そして農業は、広い農地面積を有する各県で行われており、農産物出荷額は全国シェアの2割超を占める九州の一大産業といえるでしょう。

一方、これらの第一次産業は重労働の上に収入が安定しないこともあり、若い世代に敬遠されてしまう傾向があります。

このようなことが、工業、商業主体の九州北部へ、若い世代が流出してしまう要因になっているのです。

これはどの都道府県でも問題となっていることですが、残念なことといわざるを得ませんね。

面積や人口の比較だけではわからない九州の魅力

今回は、九州の面積や人口の比較からわかることを述べてきました。

しかし、数字だけではわからない九州の魅力は数えきれないほどあります。

九州は、他の地域と比較して、気候も温暖で過ごしやすく、豊かな自然とともに核都市が適度に分散する魅力ある地域です。

由緒ある歴史や独特の文化もあり、食文化もかなり豊かといえるでしょう。

温暖な気候を利用した酪農で、良質な国産和牛が育てられ、佐賀牛や宮崎牛、熊本和牛などのブランド牛が多数あります。

また、佐賀の新玉ねぎ、鹿児島のさつまいもやかぼちゃ、熊本のトマト、宮崎のピーマンなどと、農産物の主産地になっています。

他にも、静岡に目が行きがちな日本茶なども、鹿児島、宮崎、福岡、熊本、佐賀などで栽培されており、合わせると全国の4割以上を生産しています。

海苔の養殖もさかんで、佐賀の有明海苔は有名ですが、これも、佐賀、福岡、熊本で行われていて、全国シェアの45%を占めています。

そして、あまり名前の挙がらない大分県ですが、全国の97%を生産するカボスがあり、湯の聖地といわれる由布院や別府温泉があります。

このように、自然や産物、観光資源にも恵まれた九州が、過疎化によって衰退することのないように願います。

そのためには、やはり公的な手段も取り入れ、各産業の後継者を育てていく取り組みが早急に行われることが必要ではないでしょうか。

魅力ある九州をこれからも守っていくために

昨今は、インバウンド政策で各都道府県が外国人観光客の取り込みに躍起になっており、九州も例外ではないでしょう。

しかし、まずは我々日本人が九州本来の魅力を再認識することが大切でしょう。

その上で、過疎地域に観光農業施設や自然回帰体験のできる宿泊施設を作るなどして、若い世代の雇用を確保すべきです。

そしてその中から、次世代の農業後継者などが生まれてくることが、今後の九州の発展のために必要といえるでしょう。