世間一般では、「金ETF」という言葉を聞く機会はほとんどないですが、投資に興味がある方であれば、聞いたことがある方も多いでしょう。
「金ETF」とは、金とETF(上場投資信託)を組み合わせた投資で、金投資の初心者にとってはおすすめの投資方法と言えます。
金ETFで投資する上では、メリットは勿論、特にデメリットについてよく理解しておく必要があります。
この記事では、金ETFの仕組みから、そのメリット・デメリットについてご説明していきます。
投資初心者におすすめされる金への投資
投資と言えば、株やfx、最近では仮想通貨をイメージすることが多いのではないでしょうか。
投資初心者の方にとって、これらの投資に最初から入っていくことは、少し尻込みをしてしまうこともあることでしょう。
そこで近年、欧米諸国や朝鮮半島における政治・経済の動向が目まぐるしく動く中、「安全資産」とも言える「金」への投資が、投資初心者からプロトレーダーの間で注目を浴びています。
世界情勢の動向が不透明な今、投資を始めるにはなかなか思いきりが必要です。
しかし、安定した「金」への投資は、様々な方面からリスクが懸念されるからこそ、将来的な保険としても大いに役立ってきます。
また、投資初心者にとっては入りやすい投資であるため、経済アナリストなどの専門家からもおすすめされている投資の一つです。
金投資を始める上では、金取引の代表格である「金ETF」を通して行うことが一般的です。
ただし、金ETFのメリット・デメリット面についても事前に知っておくことが、金投資を始めるための鉄則と言えます。
金ETFのメリット・デメリットを知る前に!そもそも「金」とは
では、金ETFのメリット・デメリットについて説明する前に、まずは「金」についてご説明していきましょう。
「金」とは、一般的には装飾品として用いられることが多いですが、希少性に優れた実物資産でもあり、世界共通の確たる安全資産として位置しています。
金そのものに価値が認められているため、政治や経済の影響を受けるリスクが少ない傾向にあります。
また、金の価値はインフレによって上昇しますが、デフレによって金の価値がなくなることはありません。
このような金の安定性から、経済不安や金融危機などの有事の際には、「有事の金買い」になる傾向が強くあり、資産全体の価値を安定させる効果にも繋げることができます。
実際に、資産に金を組み入れることで、長期的に資産を保有する人も少なくありません。
しかしながら、運用資金から考えると、純金に対して個人で投資するのは難しいと言えます。
そこで、金投資の方法として注目されているのが「金ETF」です。
では次に、金ETFについて詳しく見ていきましょう。
金投資の金ETFとはどのようなもの?
「金ETF」は、「Exchange Traded Fund」を略したもので、日本語では「上場投資信託」と呼ばれています。
つまり、「金ETF」とは、分かりやすく言えば「金の価格と連動した投資信託」を意味します。
ETFの大きな特徴としては、株式投資と同様にリアルタイムで取引することが可能で、その点は通常の投資信託とは異なります。
普通の投資信託では、一日一回の値決めをされる一方で、ETFでは常に価格の変動が反映されています。
そのため、価格をチェックしながら売買注文を出すことができるので、価格の上下に応じて売買することができるのです。
では、そもそも投資信託とは何でしょうか?
投資信託とは、投資家によって投資されたお金からさらに利益を生むことで、それを出資した投資家に分配する仕組みになっています。
従来、このような投資信託は窓口でしか行うことができませんでしたが、これを有価証券化することで、株式投資のように証券会社での取引を可能にしました。
したがって、今までに株式投資で取引を行ってきた方にとっては、非常に入りやすい投資とも言えます。
では、金ETFのメリット・デメリットについて、次項で詳しく見ていきましょう。
金ETFのメリット・デメリット!3つのメリットを知ろう
まずは、金ETFのメリットについて、3つに分けてご説明していきましょう。
①株式投資と同様な取引が可能
前述しましたが、金ETFは株式投資と同じように取引ができます。
これは、投資信託とは異なり、金ETFが上場していることが背景にあります。
リアルタイムでの取引が可能なため、投資家にとって常に有利な売買を行うことができます。
また、希望の価格で売買できる「指値注文」を利用することができるので、損失のリスクを減らすことにも繋がります。
このような理由から、投資初心者にとってもおすすめされています。
②コストが安い
通常の投資信託と比較した場合、金ETFにかかるコストは割安です。
と言うのも、通常の投資信託には販売会社が介在している一方で、金ETFは市場で直接取引を行っているからです。
そのため、介在する販売会社に手数料を支払う必要がないため、コストを安く抑えることができるのです。
また、投資信託の運用費である「信託報酬」においても、ETFの場合は0.07~0.08%となっており、通常の信託報酬と比較しても、およそ3倍も低コストになっています。
③少額から投資ができ、分散投資できる
株式投資の場合、分散投資することが難しく、複数の銘柄に対してそれぞれに投資する必要があります。
そのため、多額な運用資金が必要になるため、まとまった資金がないと投資できません。
しかし、金ETFであれば、複数の債券や株式に分散投資をしているので、少額の資金で投資をすることが可能になります。
金ETFの中には、1口4000円台で購入できる銘柄もあるため、少額投資をしたい方にとっては、大きなメリットになります。
以上が、金ETFのメリットになります。
続いて、デメリットについて詳しく見ていきましょう。
金ETFのメリット・デメリット!3つのデメリットを知ろう
前項で述べたように、金ETFには様々なメリットがありますが、デメリットについてもよく理解しておく必要があります。
では、3つのデメリットについて見ていきましょう。
①基本的に配当金や優待がない
金ETFの特徴には、配当金や優待が出ないデメリットがあります。
分配金を出すためには、その原資が必要になるのですが、上場投資信託である金ETFの場合、配当や利益を生み出すことができません。
そのため、基本的には大半の銘柄において分配金が0円になっています。
②積極的なリターンは薄い
投資で利益を上げるためには、「安く買って高く売る」ことが鉄則です。
しかしながら、金ETFの場合、金そのものの価格が安定しているために、短期的に大きなリターンを望むのは難しい、と言えます。
金の価格は長期的に上昇する傾向にあるため、その傾向に合わせた長期的な投資スタイルが必要です。
③倒産リスクがある
現物で裏付けられた金ETFであれば、運用会社が破綻しても、基本的には投資金額が返済されます。
しかし、現物の裏付けがない銘柄の場合、投資金額が戻らない可能性もあるので、そのリスクについても理解しておくことが大切です。
以上が、金ETFのデメリットになります。
これらのデメリットをよく理解した上で、金ETFで投資していきましょう。
金ETFの銘柄選びのポイントは?
これまでに、金ETFの仕組みやメリット・デメリットについてご説明してきました。
では、実際に金ETFを選ぶ場合、どのようなポイントを比較して銘柄を選べば良いのでしょうか。
現在、国内市場に上場している銘柄は、以下の5つになります。
・ETFS 金上場投資信託
・純金上場信託(金の果実)
・One ETF 国内金先物
・SPDR ゴールド・シェア受益証券
・金価格連動型上場投資信託
これらの銘柄は、基本的には金価格に連動するようになっていますが、ロンドンの値決めに連動するものや、国内金価格に連動するものなど、それぞれに特徴があります。
金ETFを選ぶ上でのおすすめは、以下3つのポイントに着目することが大切です。
・金1gあたりの価格との連動性が高い
・金の裏付けのある銘柄
・1日の出来高が高い
上記3つのポイントは、金ETFを選ぶにあたっては非常に重要と言えます。
例えば、世界的にブランド力の名高いSPDRゴールド・シェアは、5つの銘柄の中でも信頼感が高く、取引が活発に行われている銘柄です。
また、純金上場信託(金の果実)も、1日の出来高が高く、1gあたりの価格との連動性が高いため、多くの投資家から高い評価を得ています。
金ETFを始めるためには、まずは銘柄選びのポイントをしっかり抑えた上で行っていきましょう。
デメリットもよく踏まえた上で挑戦しよう
世界情勢の動向が不透明な近年、金ETFは将来的な資産に対するリスクヘッジとして注目されています。
株式投資と同様に取引が可能で、少額投資もできるため、投資初心者にとって入りやすい投資です。
ただし、リターンの小ささや配当金がないデメリット面なども無視することがないように、よく検討した上で金投資を始めましょう。