建物の構造にはさまざまな種類があります。
そして、建物には法定耐用年数と呼ばれる使用可能な年数が定められています。
今回は、住宅の中でも近年人気が高い「軽量鉄骨」についてくわしくお話ししていきましょう。
また、軽量鉄骨には法定耐用年数が「19年」と「27年」の2つあると言われていますが、どのような違いがあるのでしょうか。
以下でご紹介していきましょう。
軽量鉄骨の住宅とは?
まず、軽量鉄骨がどのような建物なのかご紹介していきましょう。
日本の建物は大きく分けると、「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」「鉄骨・鉄筋コンクリート造」の4つに分けることができます。
一般的な住宅は、木造や鉄骨造が使われることが多く、鉄筋コンクリート造や鉄骨・鉄筋コンクリート造は、ビルやマンションなどの大きな建物に使われています。
また、鉄骨造は「軽量鉄骨」と「重量鉄骨」に分けることができます。
その違いは「鋼材の厚さ」によって決まり、厚さ6mm未満のものは軽量鉄骨、6mm以上のものは重量鉄骨となります。
鉄骨造は、耐火性・耐震性・耐久性・遮音性すべてにおいて、木造と鉄筋コンクリート造の間に位置していると言われています。
木造よりも機能性に富んでいることから、近年では住宅に使用することが増えてきています。
特に、狭小住宅などで3階建ての木造住宅を建てると、耐震性が心配されていました。
しかし、鉄骨造であれば、木造よりも優れた耐震性を誇ります。
一般家庭の住宅では、重量鉄骨ではなく軽量鉄骨を使うことが多いですが、現在は震度7に耐えられる住宅でなければ建築ができないため、耐震性に関しては問題はないでしょう。
続いては、法定耐用年数についてお話ししていきましょう。
法定耐用年数とは?
住宅などの建物には「法定耐用年数」というものがあります。
これは国税庁が定めたもので、減価償却費の計算をする上で必要な1つの基準となります。
減価償却については、のちほどくわしくご説明します。
法定耐用年数は建物の寿命とは関係なく、税務上設けなければならない建物の使用可能年数です。
ここで、各建物の法定耐用年数を見てみましょう。
【法定耐用年数】
・木造…22年
・軽量鉄骨…19年・27年
・重量鉄骨…34年
・鉄筋コンクリート造…47年
・鉄骨・鉄筋コンクリート造…47年
このように、法定耐用年数は建物がどのような素材で作られているかによって差が出ます。
上記を見ると分かるように、頑丈な素材で作られた構造に関しては、法定耐用年数が長くなっていることが分かりますね。
しかし軽量鉄骨を見ると、法定耐用年数が19年と27年、2つあることが分かります。
これは一体どうしてなのでしょうか。
軽量鉄骨住宅の法定耐用年数は「19年」?「27年」?
軽量鉄骨の法定耐用年数は19年と27年の2つになっています。
この8年の違いは、鋼材の「厚み」がどのくらいかによって変わってきます。
軽量鉄骨の中でも、鋼材の厚みが3mm以下のものは法定耐用年数が19年となります。
一方、鋼材の厚さが3~4mmのものは法定耐用年数が27年となるのです。
鋼材の厚さが6mm以上のものは重量鉄骨となりますので、法定耐用年数は大きくのび、34年となります。
このように、鋼材の厚さが増えれば増えるほど、法定耐用年数も上がっていくのです。
しかし、法定耐用年数とはあくまで「法律上の寿命」となります。
先ほども少しお話ししましたが、建物の寿命ではありません。
そのため、法定耐用年数が過ぎたからといって住宅に住めなくなったり、耐震性に問題が出るわけではないのです。
減価償却について知りたい
ここでは先ほど少し触れた、減価償却についてお話ししていきましょう。
減価償却とは、時間とともに価値が下がっていく固定資産を購入した場合、法定耐用年数を基準として、負担費用を考慮するといったものになります。
そして、購入した不動産の種類によって、考慮される金額に開きが出てきます。
軽量鉄骨は法定耐用年数が2つありますので、まずはそれぞれの償却率を見ていきましょう。
【償却率】
・軽量鉄骨の厚さ3mm~4mm……0.037(=1/27)
・軽量鉄骨の厚さ3mm以下……0.052(=1/19)
例えば、2,000万円の軽量鉄骨の住宅を購入したと仮定しましょう。
この時、土地代が1,000万円、建物代が1,000万円だったとします。
減価償却の対象はあくまで「建物のみ」となりますので、土地は対象となりません。
これを踏まえて計算すると、次のようになります。
1,000万円(住宅代)×0.052(軽量鉄骨の厚さ3mm以下)=52万円
この52万円という金額を、住宅名義人の所得から差し引いたものが「課税の対象」となるのです。
うまく利用すれば、節税対策として大いに活用できるでしょう。
軽量鉄骨住宅にかかる費用はどのくらい?
軽量鉄骨住宅の法定耐用年数や減価償却率についてお話ししましたが、節税に繋がるための大事な事柄だということが分かりましたね。
では、軽量鉄骨の住宅自体は、一体どのくらいの費用で建てることができるのでしょうか。
一般的に、建築コストで最も安いのは木造になります。
とはいっても、木造の中にも長期優良住宅と認定されるほど良い造りの住宅もあります。
それを踏まえて木造住宅の平均単価を算出すると、1坪あたり約40~60万円とされています。
重量鉄骨の場合は、平均コストは1坪あたり約70~100万円と高額になっています。
軽量鉄骨は重量鉄骨よりも、2、3割程度安くなると言われているため、1坪あたり50~80万円くらいが相場のようです。
しかしこの価格は、地方と都市部では開きがあるため、事前によく調べておくことをおすすめします。
ハウスメーカー別!軽量鉄骨住宅の法定耐用年数
ここでは軽量鉄構の住宅を強みとする、「積水ハウス」と「ミサワホーム」の法定耐用年数やアフターサービスなどを比較していきましょう。
【積水ハウスの法定耐用年数】
・建物の骨組み……20年
・雨水侵入……20年
・防蟻対策……10年
・無料点検……3か月、1年、2年、5年、10年、15年
・延長保証……有償であれば延長保証可能
戸建て住宅のNO1ハウスメーカーと呼ばれることもある積水ハウスは、戸建て販売の実績も数多いとされています。
シーカスという、耐震性に強い軽量鉄骨の構造を開発し、地震の揺れだけでなく、自由の高い設計ができることも人気の1つとなっています。
長期優良住宅に認定されているため、耐久性・安全性は行政にも認められているでしょう。
【ミサワホームの法定耐用年数】
・建物の骨組み……30年
・雨水侵入……15年
・防蟻対策……10年
・無料点検……1年、2年、5年、10年、15年、20年、25年、30年
・延長保証……有償であれば延長保証可能
ミサワホームのアフターサービスは不動産業界で最高と言われており、建物の骨組みは30年もの保証を誇ります。
また、無料点検も30年行っており、経年劣化や耐久性に高い自信を持っていることの表れと言えるでしょう。
この手厚いサービスに惹かれ、ミサワホームで住宅を購入する方も多いようです。
軽量鉄骨住宅の法定耐用年数は鋼材の厚さで決まる
軽量鉄骨住宅の法定耐用年数は「19年」と「27年」の2種類ありますが、使用されている鋼材の厚さによって変わります。
もし、3mm以下の鋼材を使用していた場合、法定耐用年数は19年となるため、木造住宅の耐用年数の22年よりも短いということになります。
法定耐用年数は長ければ長いほど、減価償却の観点で見ると節税へと繋がります。
これから新築する方は、こうしたことも考慮して家を建てると良いかもしれません。