新築したり、不動産の売買を行うと、必要となるのが「登記」です。
不動産会社の指示で申請書を書いたり、確認書類を用意したりしますが、登記の内容までくわしく把握している方は少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、新築の不動産登記とはどのようなものなのか、わかりやすくご説明していきます。
どのような種類があるのか、内容も一緒にご紹介しましょう。
わかりやすく解説!不動産登記とは?
まず、不動産登記とはどのようなものなのか、わかりやすくご説明していきましょう。
不動産登記とは、その不動産が誰の所有なのか、どのようなものなのか、どこにあるのかなどを細かく記録したものです。
登記がまとめられたものを「登記簿」と呼び、登記簿は法務局で管理されています。
最近では紙から電子化され、「登記記録」などと呼ばれ、誰にでも不動産情報を閲覧できるようになっています。
では、登記を行うのはどのような場合なのでしょうか。
・建物の新築、増築、取り壊し
・不動産の売買、相続、贈与
・住宅ローンの利用、借り換え、完済
上記のような場合は、不動産登記が必ず必要となります。
そして、登記を行う場合は「登録免許税」という税金を一緒に支払わなければなりません。
この登録免許税の金額はさまざまで、登記の内容によって異なります。
例えば、土地の売買の際の税率は、不動産の価格の「1,000分の20」と決まっています。
そのため、1,000万円の不動産なら、20万円が登録免許税として支払わなければならない金額です。
不動産相続の場合は価格の「1,000分の4」、贈与の場合は価格の「1,000分の20」などですが、いずれも基準となる価格の高い不動産の世界ではそれなりの金額になります。
新築した際の登記についてわかりやすく解説!
これから新築する方、または現在工事中という方は多くいらっしゃるでしょう。
それらの方は、新築の完成の際に不動産登記が必要となりますので、わかりやすく解説していきましょう。
まずは「表題登記」についてです。
表題登記とは、新築などの建物が新しく完成した時に行う登記で、「建物表題登記」と「土地表題登記」の2つに分けることができます。
登記簿の中の「表題部」という部分に情報がすべて記載されており、建物の所在、家屋番号、種類、構造、床面積、新築年月日、所有者の名前と住所が記されています。
表題登記は建物すべてに該当するというわけではなく、一定の条件を満たす必要があります。
・外気分断性……建物が壁や屋根などで外気と完全に遮断されているか
・定着性……基礎がしっかりしており、その土地に定着しているか
・用途性……居宅としての用途を満たしているか
以上のように、外気分断性、定着性、用途性が住宅として登記するための一定条件となるため、倉庫やプレハブ小屋などはこれに該当しないことが多いです。
表題登記を行うには、登記の表題部に記載されている情報の証拠となる書類をすべて揃える必要があります。
どのような書類があるのか、次項でご説明しましょう。
表題登記の必要書類とは?
表題登記に必要な書類とはどのようなものがあるのか、わかりやすくご紹介していきましょう。
まず、表題登記は7~9万円ほどの費用で、土地家屋調査士に代理申請してもらうことができます。
代理申請ならばすべてお任せで登記は完了しますが、表題登記はそれほど難しいものでないため、費用を節約するためにも自分で書類を集めてみましょう。
【表題登記の必要書類】
①所有権証明書
所有権の証明をするために必要な書類は「建築確認通知書」、「工事完了引渡証明書」、「検査済証」となります。
これらはすべてハウスメーカーから受け取ることができるでしょう。
②住所証明書
新しい建物に住む方、全員の住民票の写しが必要となります。
家族であれば1枚の住民票に全員の名前が載りますので、その1通のみで大丈夫です。
③建物図面・各階平面図
建築確認通知書を元にして、土地のどの場所に建物が建っているかを調べます。
公図はインターネットや法務局で取得し、それを元に土地の境界から建物までの距離を測り、作成します。
④表題登記の申請書
申請書には新築年月日や床面積、種類、構造、所在地などを記入します。
⑤建物の位置がわかる地図
手書きか地図を使い、建物が建っている位置に印をつけたものを用意します。
⑥写真
建物の全体写真を撮っておきます。
以上が、表題登記に必要な書類の一覧となります。
これから行う方は、参考にしてください。
所有権保存登記も新築の際に必要?わかりやすく解説!
先ほどは、新築の際に必要な登記として、表題登記についてくわしくお話ししました。
ここでは表題登記と同じくらい重要な、「所有権保存登記」についてわかりやすく解説していきます。
登記簿の構成で、1番上に記載されるのが先ほどご説明した「表題部」です。
表題部の下には「権利部」があり、その権利部に所有者として名前を登記されることを所有権保存登記といいます。
表題登記とは「不動産の状況を記録」する登記ですが、所有権保存登記とは「不動産の権利を主張」する登記とされており、所有者の住所や名前、登記の目的を記すこととなります。
所有権保存登記は新築の際に行う登記となりますので、中古物件を購入した際は所有権保存登記は必要なく、代わりに「所有権移転登記」を行う必要があります。
これは、すでにある権利の主張を、新しい所有者に移すということになります。
所有権保存登記の必要書類とは?
所有権保存登記もそれほど難しくない登記のため、土地家屋調査士に依頼せず、自分で行うことができます。
必要書類を以下でわかりやすくご紹介しましょう。
【所有権保存登記の必要書類】
①住所証明書
表題登記と同様、新しい建物に住む方全員の住民票の写しが必要となります。
家族であれば1枚の住民票に全員の名前が載りますので、その1通のみで大丈夫です。
②住宅用家屋証明書
住宅用家屋証明書とは役所で入手できる書類で、一般的な新築であれば発行できます。
減税するための大事な書類なので、必ず用意しておきましょう。
なお、表題登記の完了後でなければ取得できないため、注意してください。
③所有権保存登記の申請書
例にならって、必要事項を記入してください。
以上となります。
表題登記よりも書類の数が少なく、取得しやすい傾向があるため、これから所有権保存登記を行う方は参考にしてください。
住宅ローンは抵当権設定登記が必要
新築するとともに住宅ローンを組む方は多いですよね。
住宅ローンを組む際には、「抵当権設定登記」という登記が必要になります。
抵当権設定登記とはどのようなものなのか、わかりやすくご説明していきましょう。
住宅ローンのように大きな金額を借り入れする際、支払いが滞った際に差し押さえるための「不動産の設定」が必要になります。
この不動産を担保として、ローンの支払いが滞った際に、担保を競売にかけてお金を回収する権利を「抵当権」と呼びます。
抵当権設定登記とは、不動産に抵当権をつけることをいい、住宅ローンを借りる際に必ず行う登記です。
抵当権設定登記は、先ほどお話しした登記簿の「権利部」の部分に記載されることとなります。
基本的に、抵当権設定登記は住宅ローンの実行日に行うことが多く、こちらも土地家屋調査士に代理申請してもらうことが可能です。
その際の費用は3~5万円となります。
また、住宅ローンが完済した際には「抵当権抹消登記」が必要となりますので、こちらも忘れないよう注意する必要があります。
不動産登記は新築の際に必要
今回は、新築の際に必要となる不動産登記を中心にご説明してきました。
新築の際の登記は、土地家屋調査士に代理申請してもらう場合でも、どのような登記なのか事前に知っておきたいものです。
また、自分で表題登記申請などをする場合は、必要書類を揃える必要がありますので、漏れのないように注意しましょう。