木造の家に住むと不思議な音がして怖くなってしまったり、どこか壊れているのではないかと疑心暗鬼に駆られてしまうかたが少なくないようです。
さらに木造のアパートではこれに加え、隣人の生活音が丸聞こえで気になって仕方がないという声が多数あります。
今回はこうした木造の家にまつわる音の問題を取り上げ、なぜ音がするのか、どうすればいいのか、原因と対策を探ってまいります。
どうして木造の家は音がするの?
木造の家は音がするといいます。
「ピキッ」「ミシッ」「ギシッと」いった音が響き、このまま住み続けて大丈夫かと心配になるほどです。
どうして木造の家は音がするのでしょうか。
木材は鉄骨と違い天然素材のため、まるで呼吸をするように、暑くて湿気があると伸び、冷えて乾燥すると縮みます。
そのため木造の家では冬場の寒い時期によく音がします。
夏場に吸った水分で伸びた木材が、冬に水分が放たれることで縮み、乾燥するからです。
音がするのは乾燥の際に繊維が切れたり裂けたりするためで、木材の呼吸に伴い生じる「生の証」といえます。
また、1日のうちでも夜になると音がするのも、昼間熱せられた空気が夜になって冷えたために木材が縮むからです。
こうした音が鳴る現象は、木材を使った家の特徴なので全く心配ないといえます。
しかし、一度断裂した繊維は元には戻らないため、木造の家は築年数が進むと隙間や歪みが生じ、扉や引き戸の立て付けが悪くなったり、窓枠に誤差が生じて締まりが悪くなることがあります。
木造であれば新築の家でも音がする!
木造の家であれば、築年数が古くても新しくても音がします。
これから木造住宅を建てる予定の方には意外に思えるかもしれませんが、新築直後はかなり音がするようです。
これは使われた木材どうしがまだ馴染んでいないためで、湿度や温度の差による収縮で擦れ合うことにより音がするといいます。
家に使われる木材が、時間をかけて乾燥させたものだと収縮率が低くなり、音がなる率が少なくなります。
それでも新築の場合はまだ多くの水分が含まれており、柱や梁など基礎となる部分にしっかりとした木材が使われているほど音がするようです。
馴染むに従い軽減していきますが、数年は続くといいます。
音がしても決して超常現象などではなく、木が生きて呼吸をしている証拠だと思い、楽しむようにしてみてはいかがでしょうか。
木造の家の音を緩和させる対策は?
木造の家で音がするのは、温度や湿度の差により木材が伸び縮みするからです。
少しでも音を緩和させるには、この差を少なくすればいいのです。
たとえば次のような対策を取ってみるのはいかがでしょうか。
・昼間は窓を開けてできるだけ換気を良くする
・冬場に暖房で室内の温度を上げすぎない
・少し早めの時間から暖房を切り、暖房の温度を徐々に下げていく
・夏場の冷房も外気との差をつけすぎないようにする
・冬の乾燥で音がひどいときは加湿器で加湿する
こうした対策をとっても、完全に音がゼロになるかどうかはわかりません。
また、音がするのは無垢の木材で建てた、良い木造住宅の証拠です。
集成材で建てた家の場合、音はそれほどでもありませんが、乾燥させて貼り合わせてできた木材を使っているため耐用年数が無垢材より劣ります。
千年の歴史を持つ法隆寺を見るまでもなく、何代にもわたって生き続ける木造の家はみな無垢材で作られています。
音がするだけではなく、歪み、軋み、隙間、暑さ寒さ等の不便さはありますが、そうした点を含めたうえでなお呼吸し続けている一個の生命体のようです。
鉄筋とは根本的に異なる木造の家を愛し、慈しみたいですね。
木造の家で音がしたら修理が必要なこともある
木造の家の音がするのは、使用されている木材の膨張・収縮によるものだけとは限りません。
お風呂場からドスンという何か重いものが落ちるような音がする場合は木材ではなく、給水管の音で特に問題はありません。
歩くと特定の場所がミシミシと大きな音がする場合、単に木材の膨張・収縮が原因ではない気がするときがあります。
そのような時は、念のため住宅会社に相談してみましょう。
まれに基礎工事等で使うボルトやネジが緩むことがあるそうです。
閉めればすぐに解決する問題ですが、原因を業者に特定してもらう必要があります。
自分で修理しようとせずに専門家に見てもらいましょう。
特に緩みがないようでしたら、しばらく時間はかかりますが何年か後には自然に鳴りやみます。
新築の家でも音鳴りが激しく、特に場所が限定される場合には気になりますよね。
いずれ何とかなるとわかっていても、不快な気持ちのまま過ごせばストレスになりますから、気になるようでしたらまず施行会社の人に相談してみましょう。
その結果、木造住宅に特徴的な音であると判明すれば、後は気を楽に、木造はそのようなものだとおおらかに構えてみましょう。
木造アパートの音は騒音問題になることも!
家が戸建てではなくアパートで、しかも木造である場合は、木材の「ミシッ」「パキッ」といった音だけでなく、生活音が丸聞こえの可能性があります。
たとえば次のような音が、隣だけではなく上下の部屋からも聞こえてくることがあります。
・トイレの水を流す音
・咳やくしゃみ
・テレビの音
・排水音
・床を歩く足音
・扉の開け閉め
・話し声
・電話の話声
・いびき
・目覚ましの音
・荷物を置く音
・椅子を引きずる音
これらが気になり、騒音問題に発展することもあります。
これは木造アパートが鉄筋に比べ防音性に劣るからで、遮音材が使われていない築年数の古いアパートでは特に音が響くようです。
木造の壁は空洞が多く、音が筒抜けとなってしまうため、プライバシーの面でも木造の古いアパートはあまりおすすめできませんが、家賃が安いのが魅力です。
木造アパートであるなら、築年数の浅いものには壁に遮音材が入っています。
サッシにも遮音材が入っているので、外の騒音も気にならない場合が多いでしょう。
また、気になる水回りの音に関しては、配水管が居間に接しているとトイレや洗濯機、お風呂などの音がとてもよく響いてしまいます。
できるだけ、風呂周りのそばなどに配水管がある構造のアパートのほうがいいでしょう。
木造アパートの音対策と内見時の確認事項
家が木造のアパートである場合、近隣から発せられる生活音が非常に気になってしまうものですが、自らも同じような音を発していることになかなか気づかないものです。
トラブルを防ぐためにもできるだけ遮音を意識した生活を送りたいですよね。
以下のような対策をとってみてはいかがでしょうか。
・壁に本棚やタンスを配置して音を遮蔽する
・窓際には、ブラインドよりも防音性を高くするため、レースと厚地の二重のカーテンを取り付ける
・床にはカーペット、コルクマットなどを敷き、階下への配慮をする
・椅子の足に足カバーを付ける
・テレビは壁にぴったり付けずに50cm離す
・ホームセンターで吸音パネルを買ってきて、テレビが接する壁に取り付ける
・壁に遮音シートを貼る
・ドスドス歩かない
また、音がどれだけ響くか内見の際に確かめておくことも大切です。
具体的には次のように調べておくといいでしょう。
・配水管がどこにあるか尋ねておく
・電車の線路沿いや幹線道路沿いの物件では、ガラス1枚の単層窓より、ガラスとガラスの間に空気層が設けられた複層窓のほうが遮音性がある
・部屋の真ん中で大きく手をたたいて音の反響をチェック
・壁をノックして軽く高い音がするなら遮音性低く、鈍く低い音がするなら壁が厚いので遮音性がある
・不動産会社の人に廊下を実際に歩いてもらい、ドアを閉めた部屋の中でその音が聞こえるかどうかチェック
・窓を開けて隣との間隔をチェック
納得をしてから契約するようにしましょう。
木造の家に「音」の問題はつきもの
木造住宅では一戸建てであろうがアパートであろうが、木材特有の性質により音の問題がつきものです。
木は生き物であるがゆえに膨張や収縮、歪みや隙間といったものを生じさせます。
そのため木材が発する音や、住む人が発する生活音をダイレクトに伝えてしまうのです。
できる範囲での対策を施し、後はうまく付き合っていきましょう。