いつどこで起こるか分からない自然災害。
家を地震などの自然災害から守るには、家の重要な部分でもある「土地」に重点を置きたいものです。
土地にはそれぞれ「地目」というものがあります。
今回は地目の中でも「畑」に焦点をあてて、地盤の強度や改良工事のことなどを解説していきます。
地目が「畑」の土地は地盤が弱い?
家を新築する際、土地を探していると地目が「宅地」「畑」「田」などを目にする機会があるでしょう。
それぞれ土地には地目が定められています。
例えば、
●宅地:建物の敷地、およびその維持、もしくは効用を果たすための土地
●畑:農耕地で用水を利用せずに耕作する土地
●田:農耕地で用水を利用して耕作する土地
と、具体的に項目が分けられているのです。
一般的には、「水」が近くにある土地、つまり河川や沼などが近くにあるような土地は地盤が弱いと言われています。
また、その土地の地名に「水」に関する文字が含まれていると、もともと沼だったような場所を埋め立てた土地であるという場合もあります。
その他に、耕作用の土地であった地目が「畑」や「田」も地盤が弱いことが多いようなのです。
地盤が弱いとされる地目が「畑」の土地に家を建てるには?
それでは、周辺環境や価格などが気に入った土地が「畑」である場合、家を建てても大丈夫なのでしょうか。
土地の地盤が弱ければ、大きな地震が起きることを想定するととても心配ですよね。
しかし、例えば地目が「宅地」の土地でも、もともとは「畑」や「田」であったということもあるのです。
ですから、いずれにせよ「地盤調査」が必要になるのです。
家を建てる場合、地盤調査をするケースがほとんどです。
その調査の結果が思わしくないと、地盤を強固にするために改良が必要になります。
地盤の改良がきちんと行われていないままに家を建ててしまうと、暮らし始めてしばらくしてから問題が出てきてしまうことにつながります。
事前にしっかりと行うべき地盤調査の方法は、一般的に2種類あります。
「スウェーデン式サウンディング試験」と「ボーリング調査」というものです。
次の項では、地盤調査についてもう少し掘り下げていきます。
地盤調査はどう行う?
家を建てる際は地盤調査を行うことになりますが、調査方法は先述したように一般的には2種類あります。
●スウェーデン式サウンディング試験
鉄でできている棒の先にネジのようなものを取り付け、それを土地に垂直に立てて回転させながら地中に入れていきます。
その際の沈み方で、地盤の状態を調査します。
つまり、棒がスムーズに沈んでいく場合はその土地の地盤が弱いということになるのです。
ただし、土質の調査ができないのが難点です。
●ボーリング調査
土地に円柱状の穴を開けて、そこに鉄の部品を入れて土を掘っていきます。
その鉄の部品の上からハンマーを打ち、それをどれぐらい行ったかで地盤の強度を調査します。
その際に、土を採取することで、地盤の強度とともに土質の調査をすることができます。
データの信頼性が高いのが特徴ですが、その分費用が高いことが難点です。
土地の地目が「宅地」や「畑」にかかわらず、これらの調査を行うことで、その土地の地盤の強度を測る必要があるのです。
地盤改良はどう行う?
土地の地目が「宅地」や「畑」にかかわらず、地盤調査を行って改良が必要という結果が出れば地盤改良工事をしなくてはなりません。
改良工事には費用が多くかかるので、「本当に必要なの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし、家自体相当な重量がありますので、地盤が軟弱であるといずれ何らかの問題が起こってしまう可能性があるのです。
さらに、大地震が起きてしまうと、その土地の状態によっては液状化が発生してしまうことも十分に考えられます。
ですから、地盤調査で改良が必要と出たならば、自分の家を守るためにも地盤改良工事を行うようにしましょう。
地盤改良工事の工法は主に下記の三つあります。
●表層改良工法
●柱状改良工法
●鋼管杭工法
それでは、それぞれの工法についてもう少し詳しく解説していきましょう。
地盤改良工事のそれぞれの工法の違いとは?
地盤改良工事を行うには、主に三つの工法があります。
それぞれの工法の違いをみていきましょう。
●表層改良工法
その土地の土とセメント系の固形材を混ぜて転圧し、地盤を強化します。
地盤改良工事の中では費用が安いことが特徴です。
しかし、その土地の地表から2m以内の深さまでしか対応できないのがデメリットです。
また、勾配がある地盤では施工が難しいことがあります。
●柱状改良工法
一般的な戸建住宅の地盤改良工事で一番多く採用されていると言われています。
セメント系の固形材を地盤に入れてその土地の土と混ぜ合わせ、柱状の地盤を造ります。
それにより、地盤を強固にするという工法です。
ただし、その土地の地表から2~8mくらいの深さ以上にも軟弱な地盤があれば、対応は難しくなります。
また、土地に杭が残ってしまうことから、土地を売却するときに価格が下がってしまうことがあります。
●鋼管杭工法
表層改良工法や柱状改良工法とは大きく異なる点が、地表から30m以内の範囲であれば地盤改良できるというところです。
この工法はその名のとおり、強固な地盤に達した金属製の鋼管で建物を支えるというものです。
強度が高いのが特徴ですが、他の工法より費用が高くなります。
地目が「畑」や「田」の場合は地盤が軟弱というケースがよくありますから、地盤調査により改良が必要という結果が出れば、やはり地盤改良工事が必要となります。
地目が「畑」の土地を購入する前に知っておきたいこととは?
家の新築には、もともと土地を持っている場合を除き、土地代と建物代がかかります。
土地を購入する際、特に地目が「畑」である場合は、地盤改良工事が必要になることケースが多くあります。
(地目が「畑」でも、改良工事が不要のケースももちろんあります。)
そのため、その地盤改良工事の費用も予算に入れておく必要があるのです。
もちろん、その他にも地鎮祭費用や火災保険の加入費用、住宅ローンにかかわる銀行の保証料などの諸費用はたくさんあります。
しかし、地盤改良工事の費用は、地盤調査を行ってからでなければ金額が分からないのが難点なのです。
さらには、地盤調査を行うには、その土地を購入してからでなければならないので、土地の購入は一か八かとも言えます。
「地盤改良」は実際に目で見てはっきりとわかる類のものではないので、そこに費用をかけることに納得がいかないこともあるかもしれません。
しかし、たびたびお伝えしていますように、土地の地盤を強固にすることは建物を守ることにもつながります。
もしも、地盤調査で改良しなくてはならないということであれば、しっかりと改良工事を行ってもらうようにしましょう。
家の土台部分である地盤の強度は重要!
それぞれの土地には「地目」が定められています。
その地目が「畑」である場合は、地盤が軟弱であることがあります。
もちろん、地目が「宅地」でも、もともとは畑だったということはよくあるので、どのような地目だとしても地盤調査は必要だと言えるでしょう。
いつ起こるかわからない自然災害に備えるという意味でも、地盤調査で改良工事が必要という結果が出たならばそれに従うようにしましょう。