賃貸アパートは世帯主と契約者が一致していないといけない?

賃貸アパートに住んでいる方の中には、何かの書類を提出する際に「世帯主」を問われることもあるでしょう。
もし夫婦で住んでいて、その契約者が妻の場合、世帯主も妻でなければならないのでしょうか。

また、賃貸アパートの契約者と世帯主の決め方などについても、ケース別にご説明していきます。

世帯主の定義は?

まずは、「世帯主」についてお話ししていきましょう。

世帯主とはその字の通り、ひとつの世帯の中の「主」になります。

現在の法律では、世帯の中で世帯主になるべき人などは明確には決まっていません。

しかし、厚生労働省による「国民生活基礎調査」においては、世帯と世帯主の定義を設けています。

以下でご紹介しましょう。

●世帯

・生計および居住を共にする者の集まり

・独立して居住を維持している、または独立して生計を営んでいる者

●世帯主

・所得や年齢に関係なくなれる

・物事をとりはかる者として、世帯の者に報告された者

以上が世帯と世帯主の定義になります。

これによると、生計が別であれば、世帯も別ということが認識できます。

例えば、アパートで友人とシェアハウスのような暮らしをする、または二世帯住宅で同じ屋根の下で二家族が暮らす、となった場合を想像しましょう。

これらは同じ家に住んでいますが、世帯は別ということになります。

そして、世帯主は世帯ごとに存在することになるのです。

では、1人暮らしの場合、アパートの契約者と世帯主の関係はどうなのでしょうか。

次項でくわしくご説明していきます。

1人暮らしではアパートの契約者が世帯主なの?

アパートで1人暮らしをしているほとんどの方は、アパートの契約者も本人であることが多いです。

では、アパートの契約者も世帯主になるという認識でよいのでしょうか。

実は、1人暮らしの世帯主の判断は「住民票」をアパートの住所に移しているかどうかが重要になります。

住民票をアパートの住所に移していると、世帯は「自分1人」ということになります。

したがって、世帯主も自分ということになります。

しかし、学生や、実家から距離が近い場合でアパート暮らしをしていると、住民票を実家のまま移さずにいるという方もいるでしょう。

その場合、アパートの世帯主は実家の世帯主と同じになるのです。

自分の父親が実家の世帯主であれば、アパートの世帯主も父親ということです。

これを踏まえると、アパートでの1人暮らしの場合、アパートの契約者と世帯主は必ず一緒ではないということが分かりましたね。

アパートの契約者が妻の場合!夫は世帯主になれるの?

次に、夫婦でアパートに住んでいる場合で考えていきましょう。

夫が自営業で収入に波がある、また、妻の働いている会社から住宅補助が出る、などの理由でアパートの契約者を妻にしている方もいることでしょう。

入居審査の厳しい人気のアパートであれば、一定の収入がある方が契約者になる方が自然ですよね。

また、住宅補助が出るのであれば、利用しない手はありません。

ではこの場合、夫を世帯主にすることはできるのでしょうか。

結論として、夫を世帯主にすることは戸籍上可能です。

冒頭でお話しした世帯主の正義によると、「世帯の中で物事をとりはかる者として、世帯の者に報告された者

」とされています。

住民票をアパートの住所に移し、夫婦2人の世帯ができあがっているならば、問題はないでしょう。

しかし、不動産屋に入居人数を「1人」と伝えていた場合は問題になります。

契約書にもよりますが、入居人数が1人のまま他の人物を世帯主にすることは、入居人物を偽っているということに繋がります。

最悪の場合は契約解除となる可能性もありますので、世帯主を契約者以外にする場合は、前もって不動産屋にも相談しておきましょう。

同棲カップルの場合!アパートの契約者と世帯主の決め方①「2人とも世帯主」

夫婦の場合は2人で1つの世帯をつくり、その中で世帯主を決めることとなります。

ここでは、まだ入籍をしていない、同棲カップルの場合を見ていきましょう。

アパートの契約者が彼だった場合、世帯主も彼になるのでしょうか。

この場合、世帯主の決め方は「3パターン」考えられます。

まずは1つ目の「2人とも世帯主になる」方法をご説明していきましょう。

同棲の段階では、それぞれが仕事をしていて、生計は別であることが多いでしょう。

この考えによると、それぞれが独立した別の世帯であるという見方ができます。

世帯には世帯主が必要ですから、2人ともそれぞれが世帯主になれるということになるのです。

この場合、2人とも住民票をアパートの住所に移していることが前提となります。

また、この場合にメリットとして考えられるのが、同棲していることが分かりづらいという点です。

会社などに提出する書類に世帯主を記入する際も、続き柄の欄に「本人」と、カップルそれぞれが書くことができます。

すると会社などに同棲していることが伝わりにくくなるのです。

同棲カップルの場合!アパートの契約者と世帯主の決め方②「1人を同居人にする」

続いても、入籍前の同棲カップルがアパートに住んだ際の、契約者と世帯主の関係について見ていきましょう。
2つ目の世帯主の決め方は「1人を同居人とする」方法です。

入籍が決まっていれば、先に住民票を1つにまとめてしまうこの方法がおすすめです。

まず、世帯主をどちらにするか決めましょう。

そして、もう1人を「同居人」または「未届けの妻(または夫)」といった形で届け出ます。

何かの書類を記入する際は、上記にならって「同居人」または「未届けの妻(または夫)」と、続き柄の欄に記入しましょう。

住民票を先にまとめることにはメリットが存在します。

それは、住民票が生計をまとめている証拠となり、同居人側が扶養の対象になるということです。

また、委任状不要で住民票をとることができるのもメリットと言えます。

つまり、入籍していなくても、家族のような扱いを受けることができるのです。

しかし、一方でデメリットも存在します。

何らかの理由で同棲を辞めた場合、同じ市内に住んでいると、同居人の名前がいつまでも住民票残ってしまうということになります。

市外であれば新しい住民票を作成できますが、同じ市内であると、住民票は基本的に上書きされていくものとなるためです。

万が一のことを想像し、よく考えてから住民票をまとめるようにしてください。

同棲カップルの場合!アパートの契約者と世帯主の決め方③「1人のみ住民票を移す」

続いても、アパートで同棲カップルが暮らす場合の、契約者と世帯主の関係について見ていきましょう。

世帯主の決め方で、最後にご紹介するのは「1人だけ住民票を移す」方法です。

カップルのどちらかが実家から住民票を移し、1人の独立した世帯を作り、世帯主になるという方法です。

この場合、アパートの住所に住民票を移していない方は、実家の世帯主がアパートの世帯主になることとなります。

それに抵抗がある方や、生活する基盤がほぼアパートである方は、やはり住民票を移した方が良いでしょう。

その場合、同棲カップルの世帯主は、先ほどお話した通り2人それぞれが世帯主ということになります。

いずれにしても、アパートの契約者と、世帯主などの戸籍による決まりは別問題であることが分かりましたね。

アパートの契約者と世帯主は一致していなくても問題ない

アパートの契約者と世帯主は、必ずしも一致していなくてはならないわけありません。

住民票をアパートの住所に移し、世帯を作っているのであれば、その中で世帯主を決めることが可能です。

アパートの契約者が妻の場合も、夫を世帯主をすることができるでしょう。

また、同棲カップルの場合、世帯主を決める方法はさまざまです。

お互いが独立して生計をたてているのであればそれぞれを世帯主とし、間もなく入籍するのであれば先に住民票とまとめてしまっても良いでしょう。