物件を見ていると、建物の詳細の部分に「rc造」「s造」「w造」などと記載されています。
これは建物の構造を意味し、売買ではとても重要な部分となってきます。
しかし、構造は通常見えない部分ですので、それを見分けるのは一般の人には難しいですよね。
今回の記事では、建物の構造がそれぞれどのような意味を持ち、どのような特徴があるのかを見ていきます。
また、その見分け方も併せてご紹介します。
建築構造はw造・s造・rc造・src造の4つ
建物の売買において、建物の構造は重視しなければならない大きなポイントです。
また、購入した建築物をリノベーションしたい、というときにもその構造は重要になってきます。
売買だけでなく、賃貸物件においても構造を気にする人もいます。
構造は耐震だけでなく、防音にも関わっており、日常生活においても重要な役割を果たします。
外観が同じような建物なのに、価格が大きく違うという場合、それは構造の違いであることがあります。
建物の見た目でなく、構造によって価格は大きく変わるのです。
構造が価格に反映されているといっても、それは外から見ても見分け方がよくわかりません。
まず、建物の構造にはどのようなものがあるのか見てみましょう。
建物の構造は、大きく4つに分けられます。
・w造(木造)
・s造(鉄骨造)
・rc造(鉄筋コンクリート造)
・src造(鉄筋鉄骨コンクリート造)
下に行くにつれて、強固な構造となり価格も上がります。
w造にも種類がある
w造(木造)は、日本で主流な工法です。
多くの住宅が木造によって建てられています。
2階建てで、勾配のある屋根の住宅はほとんどが木造住宅といえます。
s造やrc造などに比べても建築費が安く済むため、多くの住宅や2階建ての賃貸住宅に採用されています。
しかし、構造という点で木造をひとくくりにしてはいけません。
木造にも大きく分けて2種類あるのです。
まずは、在来工法と呼ばれる昔からの工法による構造です。
「木造軸組工法」と呼ばれます。
柱・梁・筋交いで骨組を作って家を組み立てていく工法です。
木は鉄骨と比べると加工が簡単なので、設計の自由度も高いです。
リノベーションを考えたときは融通が利く構造でもあります。
もし、住宅を購入後にリノベーションを考えているのであれば、在来工法で建てられた住宅をおすすめします。
しかし、木造にはもうひとつの工法があります。
その見分け方が重要になりますが、もう一方の工法についてもご説明します。
在来工法と2×4工法の見分け方
もう一方の構造は、2×4工法です。
2×4工法は「木造枠組壁工法」とも呼ばれます。
2インチ(5.08cm)×4インチ(10.16cm)の角材と合板を接合してパネルを作り、そのパネルで柱や床・天井・屋根を構成していきます。
同サイズのパネルを使って箱状の空間を作っていくのです。
高度な技術を必要としないため、工期が短く済みますし、面で作られているため、耐震性・耐風性が強いのが特徴です。
しかし、パネルで箱を作って家を支える工法のため、リノベーションは難しいです。
箱の一部をくりぬくと、途端に強度が落ちることはお分かりになりますよね。
間取りの変更や窓を大きくするなどの変更はほとんどできないと考えましょう。
在来工法と2×4工法の見分け方は専門家でなければ難しいのですが、一般の人でもできる見分け方はハウスメーカーを見ることです。
・三井ホーム
・住友林業
・スウェーデンハウス
・一条工務店
・セキスイハイム
上記のハウスメーカーは2×4工法を採用しています。
そのため、上記のハウスメーカーであれば2×4工法で建てられている可能性が高くなります。
ただ、在来工法も取り扱っているハウスメーカーもありますので、この見分け方は絶対とはいえません。
購入の際は、専門家に見てもらうことをおすすめします。
木造のいちばんのメリットは、価格の安さです。
また、木は大昔から日本の住宅に使われてきており、日本の風土とも調和しています。
rc造やs造とは違った魅力があることは確かです。
s造は重量鉄骨と軽量鉄骨がある!見分け方はある?
次に、s造(鉄骨造)の建物の見分け方についてお話しします。
s造にも2種類あります。
「重量鉄骨」と「軽量鉄骨」です。
重量鉄骨は大型マンションやビルなどの建築物に用いられます。
柱や梁が太く、鉄骨の数が少なく済むため間取りのバリエーションが広がります。
建築費用は高めです。
一方、軽量鉄骨は、住宅や小規模の店舗などに用いられ、比較的建築費が安くなります。
柱や梁が細いため、使用する鉄骨の数が多くなり間取りに制限があります。
見分け方は難しいのですが、屋根がフラットな2階建ての建物で、外壁に幅60㎝ほどのパネルが張ってある場合は重量鉄骨の可能性が高いです。
4階程度の賃貸住宅でも見かけます。
軽量鉄骨を見分けるのは、さらに難しいです。
大きな特徴はなく、見た目で判断するのがとても難しいです。
しかし、屋根がフラットな2階建ての建物で、パネルが張っていない場合は軽量鉄骨の可能性があります。
重量鉄骨も軽量鉄骨も、鉄の骨組みを組んで建てるのは同じです。
しかし鉄骨の厚みが違うため、耐震性や耐久性に違いが出てきます。
また、リノベーションを考えたときも自由度に違いが出ます。
重量鉄骨は、自由度がとても高く、あまり制限なく間取りを変更することができます。
しかし軽量鉄骨は壁の中に筋交いが入っているため、間取りの自由度はあまりありません。
同じs造でもこのように違いがありますので、しっかりと見分けることが大切です。
s造はrc造との見分け方も難しいのですが、s造とrc造ではさらに構造が大きく違います。
次項ではrc造についてもご説明します。
s造とrc造の見分け方も難しい
s造とrc造の見分け方はとても難しく、見た目だけでは判断が付かないことがほとんどです。
屋根がフラットでパネルを貼っていない建物はrc造の可能性がありますが、やはり一般の人が見分けるのは至難の業です。
rc造の構造も2種類あり、この構造の違いがリノベーションを考えたときにやはり重要になってきます。
rc造の構造には、「ラーメン構造」と「壁式構造」があります。
ラーメン構造は、柱と梁の接点がしっかり接合されており、耐力壁や筋交いを入れなくても耐震性を確保できる構造形式です。
梁や柱の出っ張りが、室内に出てしまう欠点もあります。
壁式構造は壁で建物を支える構造です。
すっきりとした室内になりますが、リノベーションで変更できない壁があるため間取りの自由度は下がります。
ラーメン構造と壁式構造の見分け方は比較的容易で、室内に柱や梁が出っ張っているのはラーメン構造、壁がすっきりとして柱が1本もなければ壁式構造です。
rc造は多くの分譲マンションに採用されています。
その多くはラーメン構造で建てられていますが、低層マンションとなると話が違ってきます。
例えば、高級住宅街にあるような高級な低層マンションは、壁式構造で建てられていることがあります。
ラーメン構造はリノベーションの時の間取り変更の自由度が高いのですが、柱は動かせないため目立たないようにする工夫が必要です。
壁式構造は間取りの変更が制限されますが、動かせる壁もあるため専門業者に見てもらうと良いです。
主に高層ビルに用いられるsrc造
src造(鉄骨鉄筋コンクリート造)は、s造とrc造の両方の特徴を兼ね備えており、rc造よりもさらに柱を細くすることができる構造です。
7階以上の高層建築に多く用いられています。
しかし大きな問題は価格です。
建築コストが高いため、賃貸物件の場合賃料に影響が出ます。
そのため、低中層の建物にはあまり用いられません。
投資用のワンルームマンションなどはrc造が多いです。
リノベーションの自由度は、rc造とほぼ同じです。
建築構造によって、建物の価値は大きく変わります。
しかし、どの構造にもメリットとデメリットがあり、どれがいちばん良いとはいえません。
コストの面で考えるとw造は魅力がありますし、耐震性の面で考えるとrc造やsrc造が安心でしょう。
優先順位として何がいちばん高いのかを考えて建物を探すと良いですよ。
その際に、建築構造の見分け方は必要な知識になってくると思います。
簡単な見分け方をご紹介しましたが、知っておくのと知らないでいるのとでは大きく違います。
見分けることができない構造ももちろんありますが、見分けることができるものもあります。
ぜひ、今度物件を見るときは構造のことも気にしてみてみましょう。
すべての条件を満たす構造はない
建物を売買する際には、さまざまな面からその建物のメリットとデメリットを検証しなければなりません。
構造は、耐震性や遮音性にも関わる部分ですので、重要な要素であることは間違いありません。
しかしどのような構造であったとしても、すべての要素を満たしてくれるわけではありません。
何を優先するべきかを考え、物件を選択する目を養いましょう。