木造住宅を建てる際に気になるのが筋交いの入れ方です。
地震の際、命や財産を守る要となるものなので、しっかりと確認したいところですね。
ところで、自分の家の筋交いの入れ方が正しいかどうかを確認するには、どうすればいいかご存知でしょうか。
この確認の仕方としては、家を建てる際の「検査済証」が交付されていれば正しく入っていることになります。
では実際、どういう基準で筋交いを入れているのかを、この記事でご説明していきます。
木造住宅の筋交いの入れ方は法律で決まっている
木造住宅の筋交いの入れ方は建築基準法で決まっています。
法律で決まっていることなので、守らなければ違法建築となり家を建てることすらできません。
それだけは避けたいですね。
法律で決まっていることは大きく分けて2点です。
全体のバランスと量(建築基準法施行令45条、46条)、そして筋交いの取り付け方と材料(同施行令第45の3)です。
建築基準法で決まっているのは最低限の基準です。
より地震に強い住宅にするには、住宅性能評価やフラット35の規則によって筋交いを入れていきます。
これにより、地震により強い家ができ上がります。
この規則や建築基準法を踏まえた上で、より頑丈な家を作るように決められているのです。
また、建築基準法も制度改正で、より強固で自由度の高い住宅へと変化しています。
そのため、以前家を建てたことがある場合、そのときとは違っているかもしれません。
ですが、今家を建てる際は今の法律に従わなくてはなりません。
筋交いの入れ方においても、今の基準に合ったものを適用します。
木造住宅の筋交いの入れ方は、全体のバランスと個々の取り付け方、2つの要素に分けることができます。
木造住宅の筋交いの入れ方はバランスが大切
地震で家が壊れないように耐えるのが筋交いの役目です。
木造住宅の筋交いも、家全体でバランスのよい入れ方をしなければ、家がねじれて壊れてしまいます。
筋交いの入れ方は、バランスが何よりも大切なのです。
この考え方は、小さな倉庫から超高層ビルまで幅広く適用されています。
ここで一度、天秤を思い出してください。
天秤は左右の重さが釣り合っているからこそ、崩れずに形を保ち続けます。
これが偏っていると、たちまち崩れてしまいますよね。
地震に対する強さも同じです。
偏っていると弱い方から崩れてしまうのです。
したがって、むやみに筋交いの量を多くすることはできません。
多くすればその部分は強くなりますが、その分他への負担が大きくなってしまいます。
着工する前、図面を見てバランスよく筋交いが入っている場合「確認済証」が発行されます。
バランスの計算方法は法律できっちりと決められており、この計算方法を壁量計算と言います。
鉛筆と電卓で計算するには少々複雑ですので、ほとんどパソコン上で計算されています。
壁量計算で出された数値が基準に適合していると、確認済証が発行されるのです。
自分の家の筋交いの入れ方が気になる場合は、確認済証が発行されていることを確認すると良いでしょう。
木造住宅の筋交いの入れ方①位置・太さ
木造住宅にバランスよく入れた筋交いも、入れ方を間違えると効果を十分に発揮できません。
また木材で入れる場合、最低限の太さも決めてあります。
取り付けは筋交いの上端が柱と梁(又は桁)、下端が柱と土台(2階の場合は梁や桁)に接していることが重要です。
また、専用の金物を使用して地震の際に外れるのを防止しなければなりません。
古い基準では釘だけで止めてあったりしますが今は違います。
筋交いの入れる位置や太さは図面上で指定があります。
筋交いは頬杖のように突っ張ることで地震に耐えることができるので、上下の向きに指定があるのです。
片方に突っ張っていては、反対側から押されたときに耐えることができません。
バランスよく上下の入れ方を検討して入れていきます。
また、木材で入れる場合9cm×4.5cm以上のものを入れなければなりません。
一般的に使用される木材は、粘り強い米松やヒノキなどが挙げられます。
材料に切り欠きや抜け節があったりするのもNGです。
図面と実物、それぞれを見比べてみましょう。
木造住宅の筋交いの入れ方②チェックポイント
建物を建てる際、「中間検査」という項目があります。
この検査で木造住宅に入れた筋交いの入れ方が正しいか検査します。
正しく入っていれば「検査済証」が発行されます。
中間検査では検査員が図面と照らし合わせて、筋交いが正しく入っているかどうかを全数検査します。
検査内容は筋交いの入れ方のほかにも、筋交いの位置、本数、上下の向き、金物の取り付け、欠き込みや抜け節がないかなどがあります。
見えない箇所は写真を提出して検査します。
もし検査した筋交いに不備があれば、手直しや交換をして入れ方を直します。
すべて直して再検査を受けなければ「検査済証」は発行されません。
建築会社によっては社内検査が実施されるところがあります。
社内検査は自主的な検査のため合格したからといって、中間検査を省くことはできません。
社内検査は中間検査前に行われることがほとんどです。
中間検査は建物を建てるにあたり大事な検査となりますから、その前に社内検査も行う会社であれば、より家の安全面に期待できますよね。
木造住宅の筋交いの入れ方に疑問を持った場合
木造住宅に限らず、自宅を建てている最中は中の様子が気になるものです。
現場見学に行き「おかしいな?」と思ったら、現場監督か設計士、営業の方に確認してください。
特に現場監督と設計士は、建物がきちんと建つように管理する義務があります。
もし疑問に思うところがあれば、十分に説明してもらいましょう。
筋交いの入れ方が違う、金物が取り付けていない、節がある、傷がある等々、気になるところは確認してください。
工事の順番で取り付けできなかったたり、問題のない節だったりと、疑問に対する解答を得ることができます。
説明を受ける際は、その根拠も一緒に提示してくれる会社だとより良いですね。
ただし、「社内規則で○○となっています」だけでは根拠として不十分です。
「社内規則」はあくまでその会社のみ通用するのであって、公的なものではありません。
筋交いの入れ方は法律で決められているので、公的規則が重要です。
ちなみに、よく筋交いで気になる点で挙げられることが、「筋交いの数が少ない」と感じることです。
2018年時点の基準では、筋交い以外に構造用合板という面材料も使用することが認められ、木造住宅に筋交いと一緒に構造用合板を用いることも多いのです。
そのため、筋交いの数が少なく感じることがあるようです。
とはいえ、確認済証が発行されていれば筋交いなどに関しての問題はありませんので、まずは確認済証の確認を忘れずにしておきましょう。
木造住宅の筋交いは木材以外でもOK
木造住宅の筋交いには、木材以外に鋼製ブレース・鋼製ワイヤー・特殊繊維なども使用できます。
近年は材料の選択範囲も広く、見栄えも兼ねた筋交いが多く出回っています。
しかしながら、筋交いの入れ方や考え方は基本的に同じです。
地震の際、命や財産を守る要となるものです。
一般住宅では、筋交いを意匠的に見せる際に鋼製ブレースを選択することがあります。
細身のシルエットが邪魔にならず、ヴィンテージ感を演出できる素材として利用されます。
また、群馬県の「富岡倉庫」では耐震補強改修に炭素繊維とプラスチックを混ぜた特殊繊維材が木製の筋交いの代わりに使用されています。
細くて強い特殊繊維が古い木造倉庫にマッチした意匠になっています。
このように、建築においての技術も日進月歩ですが、木材の筋交いも捨てがたいものです。
木造住宅で正しい筋交いの入れ方なら検査済証が発行される!
木造住宅を建てる際に気になる筋交いの入れ方をご紹介しました。
正しい筋交いの入れ方なら「検査済証」が発行されているので、これを確認しましょう。
検査では筋交いの入れ方以外にも様々な項目の確認・検査を行います。
確認済証・検査済証は建築基準法の基準が満たされ、正しく工事されている証明になります。