お庭のDIYに欠かせない「モルタル」は、レンガやブロックを積み上げるときの接着剤としても使えますし、コンクリートを流すときの基礎部分にも捨てコンとして利用できます。
また、最近では、さらに工夫を凝らした「モルタル造形」というものも出てきています。
モルタルは使い方次第でさまざまな工夫ができます。
それでは、モルタルの使い方についてご紹介しましょう。
モルタルが接着剤として優秀な理由
まずは、基本的なところからご紹介しましょう。
「モルタル」は、DIYやお庭造りが好きな方は耳にしたことがあることでしょう。
似たようなものでコンクリートがありますが、その違いをご存知でしょうか。
モルタルは、セメントに水と砂を混ぜて練ったものを言います。
そしてコンクリートは、そのモルタルに砂利を足したものです。
砂利を足すことで強度が増し、さらに鉄筋と組み合わせることでより頑丈になり、鉄筋コンクリートなどとして建築材料などに使われています。
一方、モルタルはコンクリートほどの強度はありませんが、砂利が入っていない分、滑らかなので接着剤として使いやすいのです。
そのため、レンガやブロックなどを積み上げるときの接着剤が、モルタルのもっともポピュラーな使い方になります。
また、その滑らかさから、仕上げ材としても多く使われています。
ちなみに、強度で言えばセメントに水を加えて練っただけのセメントペーストが一番強いのですが、乾いたときの収縮が大きいので、接着剤としては向きません。
接着剤としてのモルタルの使い方「準備編」
それでは、モルタルの「接着剤としての使い方」をご紹介する前に、モルタルを作る準備をしましょう。
《基本の道具》
・モルタルを混ぜる容器
・モルタルを混ぜる道具
・マスク
・防水手袋
モルタルを混ぜる容器は、使う量によって変わってきます。
それほど多くない場合は、バケツなどでも良いのですが、ある程度大がかりな作業になるときには専用の「タフブネ」があると便利です。
タフブネはモルタル作りの他にも、土を混ぜたり用具洗いに使ったりできるので、DIYやお庭造りに役立ちます。
モルタルを混ぜる道具は、園芸用のスコップでも良いのですが、こちらも専用のクワがあるので、そちらをおすすめします。
また、マスクはセメントの細かい粉末を吸い込まないようにするために必要ですし、防水手袋は手荒れを防ぐために必ず着用しましょう。
《プラスしたい道具》
・コテ
・コテ板
・タガネ、石工ハンマー
・水平器
・ゴーグル
コテ板は、コテを使うときに、モルタルをのせるのにあると便利です。
コテは、モルタルを盛る、塗るといった作業や、また仕上げにも使います。
他にも、積んだレンガやブロックなどは、歪まないように水平器で計って、石工ハンマーで叩き、タガネで余分なモルタルを削り、きれいに仕上がるように調整します。
また、モルタルの粉末が目に入ると失明する恐れがあるので、ゴーグルを着用することをおすすめします。
接着剤としてのモルタルの使い方「モルタル作り編」
準備が整ったら、いよいよモルタルを作っていきましょう。
モルタルは、用途によってセメントと砂の配合が変わります。
《モルタルの配合》
・基準 セメント1:砂3
・接着剤 セメント1:砂2
・造形用 セメント1:砂3~4
このように接着剤としての使い方では、砂を少なくしてセメントの強度を引き出します。
《モルタルの作り方》
①きちんと計量したセメントと砂をしっかり混ぜ合わせます。
②水を少しづつ、数回に分けて加えていきます。
それを練り上げていき、使いやすい硬さにしてください。
モルタルを接着剤として使う場合は、耳たぶくらいの硬さになるようにしましょう。
なお、加える水の量は、季節や天候などで変わってきます。
モルタルは水を加え練り始めると、徐々に固まっていくので、夏の暑い日や乾燥している時期は少しゆるめに練ると良いでしょう。
また、モルタルは作り置きすることはできないので、使う分だけ作ってください。
加えて、モルタルは固まってしまうと後片付けが大変になるので、使い終わった道具はすぐに水洗いをして、モルタルをしっかり落としておきましょう。
その際、道具を洗った水をそのまま排水口に流すと、詰まりの原因となるので注意してください。
道具を洗い終わった水は、お庭の隅に穴を掘って埋めるようにしましょう。
接着剤としてのモルタルの使い方「実践編」
それでは、練ったモルタルを使ってレンガやブロックを積み上げていきましょう。
積み上げるときのポイントは、あらかじめ「レンガやブロックに水分を吸わせておく」ことです。
なぜなら、レンガやブロックが乾いた状態でモルタルを塗ると、モルタルの水分が吸い取られてしまって、接着剤の役目を果たせなくなってしまうからです。
したがって、積む前のレンガやブロックには、水を充分に吸わせておきましょう。
《レンガやブロックの積み上げ方》
①接着剤として作ったモルタルを土台にのせます。
②その上にレンガやブロックをのせ、石工ハンマーで軽く叩いて密着させます。
そのとき、水平器を使って歪みがないか確認し、調整します。
③同じようにして2段目以降も積んでいきます。
モルタルのはみ出しを気にせず、素早く積んでいきましょう。
④積み終わったら、余分なモルタルを取り払い、目地を整えます。
レンガやブロックに付いてしまったモルタルは、スポンジを濡らして拭き取りましょう。
⑤モルタルが乾くまでシートを被せて養生させます。
モルタルは乾くまでに、1日~数日かかります。
そのとき、急速に乾かしてしまうとモルタルにひびが入ってしまう場合があるので、シートなどを被せて養生させる必要があるのです。
つまり、ゆっくり乾燥させるのが目的なので、シートがないときは、湿らせた布でも代用できます。
以上が、モルタルの接着剤としての使い方です
モルタルの使い方「平面に塗る」
これまでは、接着剤としてのモルタルについてご紹介してきましたが、他にも違った使い方があります。
それは、仕上げ材としての使い方です。
レンガやブロックを積み上げたあとに、表面をきれいに仕上げたい場合には、モルタルを塗れば、きれいに仕上がりますし、強度も増すので一石二鳥です。
《平面の塗り方》
①レンガやブロックの汚れを落としておきます。
②水をかけて、レンガやブロックに水を充分吸わせておきます。
③コテ板にモルタルをのせ、コテを使って塗っていきます。
利き手と反対の上から塗りはじめましょう。
また、コテは塗り進める側を少し浮かせると塗りやすく、きれいに仕上がります。
④全体を塗り終わったら、コテを浮かさないようにして全体をならします。
全体をならすときには、大きくコテを動かすと、コテの跡が残りにくくなります。
このやり方をマスターすれば、お部屋の壁をコンクリート打ちっぱなし風に仕上げられますし、地面を平らに塗れるので、玄関までのアプローチをDIYするなど、工夫次第でいろいろ応用できますね。
モルタルの使い方「モルタル造形を楽しむ」
さらに、モルタルの接着剤としての使い方以外の楽しみ方を紹介しましょう。
それは、「モルタル造形」です。
テーマパークなどで見かける、アンティーク風な壁などがそれです。
先ほどご紹介したやり方で壁にモルタルを塗るときに、わざと凸凹にしたみたり、重厚な質感を出したりすれば、オリジナルのモルタル造形のでき上がりです。
さらにあとから色を塗れば、かなり本格的な仕上がりになります。
また、立水栓などに加工しても良いでしょう。
もっと手軽なもので言えば、余ったモルタルを好きな形にして乾かせば、ペーパーウエイトになります。
ビーズや貝殻を埋め込めば、さらにオリジナル感を出せるでしょう。
また、植木鉢などにモルタルを塗って、凸凹とした質感にしてみたり、乾く前に模様を書いたり、ガラスや石を埋め込むのも楽しいですね。
他にも、型にモルタルを流し込めば、同じ形のモルタル造形をたくさん作ることができます。
このようにアイデア次第で、大きなものから、小さなものまで、モルタル造形を楽しむことができます。
モルタルの使い方は接着剤としてだけじゃない!
レンガやブロックを積むときに、モルタルは優秀な接着剤として使われています。
扱い方も簡単で、DIYの強い味方と言えるでしょう。
また、これまでご紹介してきたように、DIYで余ってしまったモルタルで小物を作って楽しむなど、工夫次第でさまざまな使い方ができます。
お庭のDIYに便利なモルタルを、あなた好みに使ってみてください。