盛土は建設において、とても重要な施工です。
盛土を行う際は手順を踏まえて施工することになりますが、その中でも特に重要な「締固め」という工程があることをご存知でしょうか。
今回は盛土について、掘り下げてお話ししていきます。
また、締固めをする目的などについてもご説明していきましょう。
盛土の目的とは?盛土についてくわしく知ろう
盛土とは土を材料にして、建物の土台となる土構造物を作る作業のことを指します。
住宅だけでなく、ビルや道路、空港など、さまざまな建設の現場で行われています。
盛土をする目的は、「建造物を安定させる」ことです。
しかし、盛土の基礎的な地盤が軟弱であると、その上に建設する構造物が安定しないのです。
そのため、盛土は1つずつ手順を踏んで、慎重に施工していく必要性があります。
また、盛土の施工の中で、「締固め」という作業があります。
締固めは必須作業であり、極めて重要な工程であると言えます。
なお、締固めのについては後程くわしくご説明します。
また、盛土は住宅以外に道路建設などにも必要ですが、道路工事における盛土の施工はとても難しいとされています。
盛土は土を材料としますが、道路工事ともなれば大規模な盛土が必要となります。
土とはもともとが均一な材料ではないので、量が大きくなればなるほど、採取問題や施工管理が難しくなってくるのです。
そのため盛土は、土の基本的な管理や性質を理解したうえで作業する、知識と技術を要する施工なのです。
「盛土」と「切土」の違いは?
土を扱う工事には、盛土以外に「切土(きりど)」があります。
盛土は土を盛って高さを上げて造成するのに対し、切土は地面の土を削るようにして平らにします。
主に、山や坂などの斜面を平らにする際に切土を行います。
盛土によって、斜面に平たく土を盛ることもできますが、斜面を利用した造形の住宅やビルを建設する目的の場合は切土の方が向いていると言えるでしょう。
また、斜面造成地において、切土と盛土の両方を行い、地面を平らにして新築をする場合も多くあります。
この場合、切土はもともとある地面を削りとる形で平らにしているため、その土地の地面は固く締まっています。
しかし、盛土は後から持ってきた土を敷いていく形で施工するため、しっかりした工事が行われないと、地面が沈んでしまう恐れがあるのです。
したがって、万が一、盛土側の地盤が緩んでしまうことも考えて、建物は切土側に建て、盛土側は庭にするなどの工夫をすると良いでしょう。
それらを踏まえて、次項からは盛土の手順についてお話ししていきます。
重要である締固めはどのような工程で行われるのでしょうか。
盛土の手順が知りたい!締固めの工程は?
盛土を行う際の、おおまかな手順をご紹介していきます。
なお、ここでは道路工事用の盛土であるとしてお話ししていきます。
盛土施工の主な手順ですが、
①準備工を行う
②草木や異物の除去
③表土処理(排水工など)
④工事用道路を作る
⑤盛土の材料を用意
⑥締固め
⑦方面保護
⑧完成
という流れなります。
地盤とは、土粒子がくっついたものと、その隙間(間隙)により構成されています。
この隙間には空気と水が存在しているのですが、盛土の質を上げるにはこの隙間を少なくしていくことが重要だと考えられています。
盛った土の密度が最大密度になって固まっているのか確認しながら施工を進めていくのです。
そのため、「30センチ以下の厚さ」に層を分けながら土をならし、ブルドーザーなどの重機で慎重に固めていくのです。
盛土をする際は地盤が緩んでしまいがちなので、密度を高めることを目的として、気を付けながら作業します。
続いて、締固めについてくわしくお話ししていきます。
盛土で締固めをする目的とは?
前項では、盛土施工の手順をお話ししました。
その中で、重機を使った密度を高める作業のお話しをしましたが、この作業を「締固め」と呼びます。
ブルドーザーなどで、厚さ30センチ以下の層を1つずつ固めていく工程になります。
締固めをする主な目的は、
・土の隙間を少なくして浸水性を低くする
・外部からの水の侵入による軟化、膨張を抑える
・盛土のり面を安定させて強度を増す
・建設後の圧密沈下などの変形を防ぐ
などがあげられます。
締固めをしっかり行わないと、重量物が通る道路や空港などの場合、沈下が起きてしまう可能性があります。
また、川の堤防などでは、隙間が多く存在すると水密性が保てないため、盛土の目的を達成していないことになります。
そこで、密度を高め、均質量を増し、強度も上がる締固めをしっかり行うことが重要なのです。
締固めの目的は土の密度を高めること!管理はどうするの?
締固めの目的は土の密度を高め、強度を増すことだとお話ししました。
そのため締固めの際、基準となる目的の品質になっているかどうか、管理することが求められるのです。
盛土に使用する土は種類によって与えるエネルギーが異なってきますから、これは重要ですね。
また、管理方法には2通りあり、「品質規定方式」と「工法規定方式」となります。
以下でくわしくご説明しましょう。
●品質規定方式
品質規定方式は3つに分けられます。
1つ目は、現場で固めた土の乾燥密度と、基準となる締固め試験の「最大乾燥密度」との差を規定するものです。
2つ目は、固めた土が安定しているか、飽和度などが一定範囲内にあるかを規定するものになります。
3つ目は、固めた土の強度などを、貫入抵抗や支持力によって規定する方法になります。
●工法規定方式
使用する重機の種類や、締固めした回数を規定する方法になります。
盛土の材料となる土質や、含水比が変化しないような現場に適している方法になります。
盛土の材料の土について知りたい!
盛土をする目的は、建造物を安定させることです。
そして、締固めにより密度を上げて、規定通りにしなければなりません。
そんな盛土に使われる土ですが、さまざまな種類が使用されているのをご存知でしょうか。
土はその種類によって性質が異なりますので、まずは土についての知識を身に付けましょう。
●関東ローム土
赤土(あかつち)とも呼ばれ、水を含むと土質が変化するという特徴を持ちます。
関東ローム土は関東地方の火山の火山噴屑物などの総称になります。
●粘性土・シルト
国土交通省により、固い(N=8~15)やや柔らかい(N=4~8)柔らかい(N=2~4)というように、N値で硬さの目安が決められています。
粘性土、シルトは重機のバケット部分に付着しやすいため、隙間ができやすいという特徴があり、盛土の土としては難しいとの声も聴きます。
●砂・砂質土
砂岩、山砂、川砂、砂礫などたくさんの種類があり、多種多様です。
●土丹(どたん)
蓄積した砂質粘土が、長年にわたって凝固したものです。
岩盤のように固く、色は灰色と青色を混ぜたような色をしています。
●礫(れき)
砕かれた石のような、粗い砂のような見た目になります。
そのため、砕石と単位体積量が同じになります。
以上のように、盛土の土と一口で言っても、さまざまな種類があります。
盛土の中で締固めは最も重要な工程
今回は盛土についてお話ししてきましたが、締固めは盛土施工の中で最も重要な作業であることがご理解いただけたでしょう。
締固めはしっかりと管理を行い、規定通りの基準でなければなりません。
盛土は住宅だけでなく、ビルや道路、空港などにも必要になる重要な基礎です。
これから新築予定の人は、当記事でより理解を深めてください。