インテリアの印象を決めるといっても過言ではない床や外壁。
ご自身のこだわりが光る部分でもありますよね。
そんな床や外壁をモルタルで仕上げる方法が、人気を集めています。
モルタル仕上げの床や外壁の良い面や、知っておきたいひび割れの原因や補修方法についてお話しましょう。
職人だけじゃないモルタルの使い道
建物の土台になる場所など、強度を高めたい場合はコンクリートが使われますが、接着剤や仕上げ材として使うのであれば、モルタルでも十分に仕上げることができます。
コンクリートとモルタルは見た目に差はありませんが、コンクリートはセメントに砂や砂利、水を加えて練っていくのに対し、モルタルは砂利を加えません。
セメントに砂と水を加えて練っていきます。
接着剤になるモルタルは、レンガとレンガをも接着することができますよ。
その手軽さから、さまざまな仕上げ材や外壁など、DIYで使用するかたも増えてきています。
職人が使うモルタルから、日曜大工や趣味に使うものに変化してきているのです。
モルタルの配合は難しいとされていますが、こうした一般のかたも使いやすいように、あらかじめセメントと砂が配合されている、インスタントモルタルも販売されています。
すでに適正に配合されているので、あとは水を加えるだけという手軽さです。
では、モルタルを床で使うメリットと、デメリットを次項で解説します。
ひび割れになる原因も、併せてご覧ください。
モルタル仕上げで床をスタイリッシュに!
モルタルは、砂利を加えていないことからコンクリートよりも施工しやすく、スタイリッシュに仕上げることができます。
そんなモルタルを床に採用する際に気になるのは、良い面と、気をつけたい面です。
まず、モルタルのメリットですが、何といっても施工のしやすさです。
モルタル造形で、和にも洋にも合う模様に仕上げることができます。
幅広いインテリアに対応できるということは、モルタルのメリットといっていいでしょう。
また、コンクリートほどではないにしても十分硬質があるため、玄関や土間での使用に適しています。
生活感がでてしまう場所でも、モルタル床でおしゃれに演出することができるのです。
業者さんにモルタル仕上げで床施工を依頼する場合は、1平方メートルあたり1,500~4,000円位が相場でしょう。
もちろん、使う下地や塗料によっては価格が変動するため、依頼するときには見積もりをもらって確認してください。
続いて、モルタル床のひび割れなどの、デメリット面を見てみましょう。
モルタルの乾燥によって床がひび割れてしまう
良い面もあれば、気をつけなければいけないところもあります。
モルタル仕上げで床を施工するデメリットは、ひび割れしやすいことです。
ひび割れの主な原因は乾燥によるもので、下地が乾燥してしまうと収縮を起こし、ひび割れに繋がります。
このことから、木造住宅は湿気や乾燥による影響を受けやすいため、モルタル床にした場合にひび割れを起こしやすくなるでしょう。
また、防音性に欠けることから、マンションでは施工自体に許可が下りないケースもあるようです。
そして、断熱性の低さから、気温の低くなる時季は床がとても冷たくなります。
長くいることが多いリビングでモルタル床にしたい場合は、床暖房と合わせて施工することが望ましいでしょう。
しかし、ひび割れに関しては、強度が見込める床用のモルタルを使うと防止することもできます。
業者さんに依頼する際には、仕上がりに自信があり、ひび割れや剥がれに強い素材を使っているところに頼みましょう。
ヘアークラックによるひび割れの補修方法
下地の乾燥による収縮によって、モルタル床にひびが入ることをお話しました。
乾燥による原因のなかに、ヘアークラックというものがあります。
細く浅いひび割れをヘアークラックというのですが、幅にして0.2~0.3mmと細く、深さ4mm程度の浅いひび割れのことをさします。
ヘアーとはその名のとおり髪の毛のことで、クラックはひび割れや亀裂のことです。
ヘアークラックが起こる現象としては、施工不良や塗膜の経年劣化、西日がよくあたることで起こります。
本数が少なく、深さがなければ基本的には対処しなくてもよいとされますが、本数も深さもあるとなると、雨水などの水分が侵入してしまいます。
塗り替え時期のタイミングに、下塗り材で対処していきましょう。
しかし、浮き出てきそうなヘアークラックを発見した場合は、モルタルのひび割れを埋めるのを目的にした下地調整材で補修ができます。
補修方法は、まずディスクサンダーなどで汚れを落とし、ワイヤブラシなどを使って清掃します。
補修用プライマーをひび割れに沿って塗布しましょう。
塗布したところをコテを使ってしごき塗りすれば完成です。
モルタル外壁がひび割れる原因とは?
乾燥による床のひび割れの原因をお話ししましたが、ひび割れの原因になるのは、乾燥だけではありません。
縁切れクラックといって、モルタル施工をしている最中でありながら、途中で休憩を挟むなど、時間を置いてから施工を開始してしまうとひび割れやすくなってしまいます。
一度目に施工したところと、二度目に施工した部分に境目ができてしまい、その箇所からクラックするのです。
境目を「縁」ということから、縁切れクラックと呼ばれています。
補修する際は、シーリング材などを使いましょう。
また、モルタルは外壁として使うこともあります。
外壁のひび割れの原因は乾燥もありますが、建物の構造自体が原因で起こる可能性もあることを覚えておきましょう。
施工欠陥という許しがたい問題から、地震による揺れや振動によって構造がゆがむとひび割れが見られます。
こうした構造クラックは構造自体を見直したうえで、シーリング材で補修しましょう。
床も壁もひび割れを放置してはいけない
モルタル床や外壁のひび割れ原因は、乾燥や構造、施工方法によるものでした。
では、こうしたひび割れを発見し、放置してしまった場合はどうなるのでしょうか。
モルタルの構造を見てみると、仕上げ材の下に金属網、そして防水紙です。
仕上げ材よりも深くにひび割れが生じてしまうと、やがて水分が侵入してモルタルが吸収します。
すると、酸化や劣化して被害は防水紙に到達し、雨漏りとなってあらわれて大規模な被害に見舞われる可能性があるのです。
そうならないためにも、適格な補修を行いましょう。
最も簡単にできる補修方法を最後にご紹介します。
それは、チョーク式です。
ヘアーラックの状態であれば、チョーク式で補修できます。
学校で使用されるチョークのような固形の補修材を使って、ひび割れに埋め込んでいくだけです。
早めにひび割れを発見すれば、大掛かりな補修をしなくてもよいのです。
日頃から、変化はないか、チェックすることが大切ですね。
空間を演出するモルタル施工
スタイリッシュで、インテリアとも相性抜群のモルタル仕上げですが、ひび割れが気になるところです。
しかし、ひび割れたところを早期に発見して補修できれば、モルタルでしか出せない魅力ある雰囲気を維持することができるでしょう。
施工次第では、ヴィンテージ感にも、あたたかな温もりのある仕上がりにもなるモルタルは、これからも人気は衰えないことでしょう。