現在の外壁は、サイディングが主流ですよね。
多くの建物でサイディングが採用されています。
DIYでサイディングにボードアンカーを打ち込んでいるかたがいらっしゃいますが、なにか注意する点はないのでしょうか。
サイディングの構造や、ボードアンカーの仕組みなどをお話しします。
工事費用を抑えられるサイディング施工
サイディングに、ボードアンカーを取り付ける注意点の前に、サイディングについて詳しく解説していきます。
外壁の施工は、塗り壁やタイル張りの湿式(しっしき)と、サイディングの乾式(かんしき)といった2つの方法があります。
サイディングとは、建物の外壁に張る板材です。
1枚1枚の板は、サイディングボードと呼びます。
サイディングボードを建物の壁の大きさに成型したものを、壁に張って外壁ができあがるのです。
サイディングのつなぎめは、雨漏りや剥がれがおこらないように、シーリングでしっかりと張り合わせていきます。
一見、手間がかっていそうなイメージで、高い費用がかかりそうですが、実はサイディングは工事価格を抑えられるといった特徴があります。
そうしたことから、住宅の約7~8割は、このサイディングを採用しています。
工事費用を抑えられること以外にも、耐久性に優れ、種類やデザインが豊富であることも、採用されている理由のひとつです。
サイディングは工場で生産し、品質を保っています。
塗り壁での方法は、職人自ら手作業で行うことで時間もかかっていましたが、サイディングは板を張り合わせていくことから時間の短縮にもつながっています。
さらに、塗り壁と比べると耐久性や耐天候性などに優れているため、経年劣化しにくい施工になっているのです。
サイディングの種類から分かる特徴
工事費用を抑えられるサイディングですが、大きく4つの種類にわけられます。
特徴とともに、見ていきましょう。
●窯業系
近年、最も使われているサイディングです。
セメント質と繊維質で作られています。
このセメント質を混ぜ込むことで地震などの衝撃に強くなり、某耐火性にも優れる板になります。
レンガ調やタイル調など、デザインが豊富なことも特徴です。
価格も比較的リーズナブルです。
●樹脂系
日本ではあまり馴染みがありませんが、アメリカのおよそ半分を占める耐天候性に優れたサイディングです。
樹脂成型されていて、重さは窯業系の約10分の1です。
軽いため施工もしやすく、シーリングが使われていないため、目地の補修が必要ありません。
ただし、遮音性はやや劣ります。
●金属系
基本材料は金属であるため、窯業系と比べるとメンテナンスが長期間必要ありません。
無機質であることからスタイリッシュなイメージですが、技術の進歩からレンガ調やタイル調といったデザインも可能になりました。
金属を使っているぶん価格は高めですが、浸水することがないため、寒冷地などに人気があります。
●木質系
材料は木であるために、耐熱性に優れています。
木は唯一無二のため、同じデザインになることはありません。
こだわりの光るサイディングといえますね。
しかし、水に弱いため、再塗装などのメンテナンスを怠ると、木が腐ってしまう原因になります。
価格は天然木を使用しているため、高くなります。
では、こういったサイディングにボードアンカーを取り付けたい場合、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。
ボードアンカーの役目
サイディングなど、直接ネジを締めつけることが不可能なところに役立つ部品を、ボードアンカーといいます。
いわば、ネジなどの土台になってくれるアイテムで、ボードアンカーの先が開くことで固定することができるようになるのです。
ある程度の重量に耐えることができるため、外壁に取り付けたいポストやエアコンの室外機などの取り付けに、無くてはならない部品になります。
ボードアンカーの取り付け方法をこのあとみていきますが、ボードアンカーには2つのタイプがあります。
特殊先端のボードアンカータイプと、先がV字になっているタイプに分けて解説します。
【特殊先端形状(爪あり)】
①ドライバーを使って、ボードアンカーを面一になるまで、ゆっくり埋め込んでいきます。
②回転を止めたら、完全に爪が刺さるまで押し込んでいきます。
ボードアンカーリベッターなどを使用して、傘部分を開いていきましょう。
③埋め込んだボードアンカーにネジをセットして、ドライバーで締め付けていきます。
【V字】
①ボードアンカーを金づちやドライバーを使って打ち込んでいきます。
固定できたら、ネジをセットしてドライバーでねじ込んでいきましょう。
サイディングの木下地にボードアンカーを打ち込む
では、サイディングにボードアンカーを取り付ける場合、どのようなことに気を付ければ良いのでしょうか。
重要になってくるのは、ボードアンカーを打ち込む場所です。
木下地に確実に、ボードアンカーを打ち込まなくてはいけません。
一般的なサイディングは、455mm間隔で木下地があり、幅45㎜の胴縁、幅105㎜の貫を張っています。
ただし、縦サイディングであれば横向きに木下地があり、横張りサイディングであれば縦に木下地が張られているなど、方向はさまざまです。
サイディングの木下地がどこに張られているのかを確認したうえで、ボードアンカーを打ちましょう。
決して、どこにでもボードアンカーが取り付けられるわけではありません。
正しく打ち付けられなければ、取り付けたものが落下する危険性も伴います。
少しでも不安があるようであれば、業者に問い合わせて、専門の方に取り付けていただきましょう。
適当にボードアンカーを打ってはいけない
自分の好きなようにできるDIYが人気ですが、サイディングの木下地にボードアンカーを打ち込んでいないかたが多くいらっしゃいます。
そのひとつの特徴として、あまり重量がかからないようなものを打ち込むときです。
エアコンの室外機など、重量のあるものを固定するときは慎重になりますが、犬のリードをつなぐアンカーなどは、適当に打ち込んでしまいがちです。
運よく木下地にボードアンカーを打ち込んでいれば問題はありませんが、下地のない場所に打ち込んでしまうと、サイディングが傷む原因になります。
良質なサイディングを採用していても、傷んでしまっては元も子もないですよね。
犬のリードであればなおさらで、右に左にと荷重がかかればかかるほど、サイディングが傷んでしまいますので、十分に注意しましょう。
サイディングの下地には防水シートが元々張られていますが、ボードアンカーとサイディングの取り合い部分に、必ず防水処理を施しておきましょう。
傷んだサイディングは放置しないで修復
最後に、サイディングが傷んだときの補修や塗装についてお話しします。
ボードアンカーが正しく付けられていないことや、劣化が原因でサイディングが傷んでしまうと、傷んだ場所から雨や湿気が入り込み、壁の内部までも被害に遭う可能性があります。
すぐに気がつけば良いですが気づかずに放置してしまうと、断熱材にカビが発生したり、白アリが発生するリスクもあがります。
傷んだ場所だけでなく、塗装が少し剥がれているだけでも油断はできません。
サイディングの傷みを発見したら、まず外壁を高圧洗浄などで綺麗にし、めくれている部分の塗装や錆を取り除きます。
下塗りから中塗り、上塗りを重ねて塗装しましょう。
サイディングは吸収性が高く、表面が高温になりやすいため、弾性系の塗料はサイディング塗装には向いていません。
収縮性のある弾性系の塗料を塗ってしまうと、表面が高温になったときに塗料が柔らかくなってしまい、剥がれてしまう原因になってしまいます。
剥がれてしまっては、再度修復しなければならなくなりますよね。
なお、サイディングが直張り工法である場合は、通気層がないため、塗装しても剥がれてしまうことがあります。
この場合は塗装での修復ではなく、張り替えが推奨されています。
後悔しないために
一見、簡単そうに思うことでも、専門的な知識を持ち合わせていないと、あとで後悔することになります。
サイディングも建物の一部です。
ボードアンカーひとつでも打ち付けるときは、慎重に行いましょう。
また、傷んだ外壁は放置せずに、修復することで、大きな被害を防止することができます。