西と東!電圧の問題で日本国内引っ越しは家電を買い替え!?

転勤や引っ越しなどで日本中、西や東とあちらこちらに異動する方も多いかと思います。

しかし昔から、西と東では電圧が違うため、地域にあった家電に買い替えなくてはいけないと言われていますが、実際はどうなのでしょうか。

こちらでは、西と東の電圧がなぜ違うのかまた、電圧が違っても同じ家電が使えるのかなどについてご紹介します。

西と東でなぜ電圧は違うのか?

海外での生活であれば電圧が違うのは納得は出来ますが、なぜ同じ日本国内なのに西と東というだけで電圧が違うのでしょうか。

その理由は遠い昔に隠されていて、明治の頃までさかのぼります。

明治時代からあちこちで電灯がつき始め、電気鉄道も走り始めたり、本格的に電気を使う時代がやってきました。

ただこの明治時代、日本では発電機を海外から買い取った為、まずは西ではアメリカGE製の発電機を買い取り、この発電機が60ヘルツで、西の標準が60ヘルツとなりました。

続いて浅草発電所が操業開始し、使用した発電機はドイツAEG製の50ヘルツの物だった為、東では標準が50ヘルツとなってしまったのです。

買い取ったメーカーが違ったという理由で、西と東では電圧が変わってしまったのです。

しかし、ざっくりと東と西で電圧が違っていると言っても、微妙な境目が存在しているのですがご存じでしょうか?

境界線は静岡県の富士川から新潟県の糸魚川を境に見て、東に住んでいる方は50ヘルツ、西に住んでいる方は60ヘルツと電圧が分かれてしまいました。

川を渡るだけで電圧が違ってしまうなんて、同じ静岡県内での引っ越しでも大変な苦労があったことでしょう。

電圧が違うと家電は使えなくなってしまう?

西から東へ、または逆方向への転勤などが多い方の中には、「電圧が違うから毎回家電を買い替えなくてはいけない」と思っている方もいるのではないでしょうか。

実際、近所のお年寄りは、未だに西と東で家電を買い替えなくてはいけないと信じ込んでいます。

でも実は、家電を買い替えなくても良い事の方が多いのです。

どこで作られたのか分からない安物の家電や、壊れないからといって使い続けている古い家電には、注意が必要です。

そのような家電の中には、対応出来る電圧が違う仕様で作られている物が多く存在しているからです。

調べ方としては、やはり取扱説明書を読むのが一番です。

しかし、古い取扱説明書を持っていない場合は、家電に書いてあるお客様センターに電話をしてみましょう。

型名と西から東(または逆)に持って行っても、電圧の違いによって問題は生じないか問わせをしてみてください。

電圧の違いによって家電が故障してしまう場合もあります。

しかし、今現在発売されている一般的な家電は、西も東も問題なく使えることが多いのであまり心配はいりません。

西と東両方で使える家電の見分け方を軽くご説明

やはり一番良いのは取扱説明書をしっかりと熟読するか、お客様センターに問い合わせをする事です。

目安としては、家電をよく見てもらい小さくでも『50/60Hz』と表示されていれば、西でも東でも電圧の問題は全くなく使用できます。

もし書いてなかったとしても、トースターやアイロンなどの電熱を使用する家電、電波を使用するテレビやラジオなどは、西と東で問題なく使えます。

しかし、掃除機や扇風機などモーターを使用して動かしている家電は、使用は出来るものの、本来家電が持っている能力を充分に発揮する事が期待出来ません。

電圧が変わると、モーターを使用しているため性能が2割ほど変わってしまうからです。

また、洗濯機や電子レンジなどに関しては電圧が変わると、部品交換が必要になってしまいます。

ただし、部品交換が必要になってくるような家電はかなり古いタイプの物です。

古いタイプの家電は、西と東とで引っ越しをした場合、各メーカーの部品保有期間を過ぎている物、すでに部品が欠品しているものが多く、部品交換ができなくなります。

上記でもお伝えした通り、割と新しい家電に関しては、国内の移動であれば電圧が違っていても問題なく使えます。

古い家電を使用している場合、思いきって買い替えの時期と考え、新しくした方が良いかもしれません。

なぜ西と東で電圧を統一しないのか?それとも出来ないのか?

実は現在の技術では、西と東で全国の電圧を統一する事は可能となっています。

しかし、電圧を統一出来るのになぜしないのしょうか?

それはとても簡単な話で、コストの問題なのです。

家電の交換費用は誰が持つのかと言うと、それは電力会社です。

未だに古い家電を使い続けてる家庭もあるので、それらを全て調べたり、テレビで交換が交換を促すCMを流したりしてまで新しい家電と交換するのは、とてもコストがかかります。

今現在の家電であれば、西でも東でも関係なく使えます。

当面はこのままの状況を継続し、新しい家電に買い替えてもらうのを待っている状況なのでしょう。

西でも東でも使える家電を製造販売した方が、新し物好きの家電マニアはすぐに購入し利益も上がります。

また、回収・交換作業などのコスト面から考えても新製品を開発した方が安いので、わざわざお金をかけてまで部品を交換し、電圧を合わせる必要がないのです。

電圧を統一しない理由はコストの問題だけではない!

電力システムは、西と東の国内全てを送電線で繋いでいます。

しかし、「西と東で繋がっていたとしても、電圧が違うから無駄なのでは?」と疑問に思った方もいるでしょう。

長野県と静岡県には、電圧を変換することが出来る特殊な変電設備があり、西と東で違っている電圧を変換して国内で融通しあうことが出来るのです。

なぜ電力会社が違うのに融通し合うのかと言うと、国民が安心して生活が出来るようにするためです。

災害時など電力不足になる地域には、電力会社全体が協力しあい電力を融通して安定供給第一を目指します。

そのため電圧が違っていても変電所を通して電圧を変換し停電などのトラブルをすぐに解決する事を最優先と考えているからなのです。

国民の安定した生活の為にも、国内全て同じ電圧にするより変電設備を使用した方がコスト面も抑えられます。

また、未曾有の事態になっても、一刻でも早く国民の安心と安全を確保する事が出来る仕組みとなっているのです。

日本国民としては頼もしい電圧変換システムです。

電力自由化でも電圧は関係ないという時代が到来

2016年より始まった電力自由化で今や西、東と言っている時代ではなくなりました。

たった数年のうちに、電力自由化は国民の間に浸透しました。

今まで電力を独占販売していた電力会社よりも、お得に電気を使え、自分の生活に合った会社を選ぶ事が出来ます。

そのため、西や東に引越しをする際にでも、電力自由化を検討してみる事も良いのではないでしょうか。

「でも電圧が…」と気になるとは思いますが、新しく送電線を引っ張っているわけではなく、元々ある送電線をそのまま使って電気を供給するので、その地域の電圧のままなのです。

ただ、電力会社を選べる時代になっただけと捉えてください。

しかし、なんとなく停電など多くなりそうなイメージがありますが、それは心配ご無用です。

今まで通りの電圧で安定供給をしていきますし、ガス会社なども電気事業に参入しているのでお得なセット割などもあります。

大昔のように西と東で引越しの度に家電を買い替えなくても良く、しかも電力自由化に伴いライフスタイルに合わせた自由な選択が出来るという事は、とても魅力的なことではないでしょうか。

国内での引っ越しには家電の買い替えは必要なし!

日本の西と東では電圧が違います。

しかし、古い家電は確認が必要ですが、現在発売されている一般的な家電は、西と東のどちらでも使用することが可能です。

また、近年の電力自由化のおかげで、自分のライフスタイルに適した電力会社を選択することができます。

そのため、引っ越しをする際に家電を買い替える手間が減り、便利になったと言えるでしょう。