長く不動産の仕事をしていると、同居を解消して家を売ったり、また別に家を建てたり、といったケースに出会うことがあります。
そういったときにきちんと話し合いができていないと、どちらかが損をしてしまったり、いびつな形でつきあいが続いていく、ということになるかもしれません。
また、「縁を切ってしまった」という場合もあり、ご苦労されていることもあります。
今回は、同居をうまく解消するための話の進め方や、お金や住居の問題などを考えます。
同居のメリット・デメリット
「同居」と一言でいっても様々な形があり、敷地内同居や二世帯同居なども含まれますが、よりストレスに感じやすいのは、同じ家に住む同居だと思います。
つまり、玄関もお風呂もキッチンも共有な場合です。
昔は2世帯、3世帯がこのように同居することは当たり前でしたが、今は珍しいかもしれません。
こうした完全同居は、経済面で考えればお得ですし、何かあった時に助け合うこともできます。
特に、小さなお子さんがいて、父親が仕事でなかなか帰れないような場合は、親の助けはありがたく感じると思います。
母親が病気で倒れたりしても、安心ですよね。
しかし、嫁姑の関係性を良好に保つのは難しいものです。
うまくいっているように見えても、どちらかが我慢していて、ある日突然、同居解消の話し合いを切り出す場合もあるでしょう。
お嫁さんからしてみれば、夫婦の時間や一人の時間が持てないのはつらいことですし、味の好みも合わせなければいけません。
育児のこだわりを理解し合えない場合もあります。
また、居心地が悪くなったお姑さんが、出ていくケースも増えているようです。
お嫁さんが勝ったようにも思えますが、実際には出ていった立場のほうが気が楽かもしれないですね。
同居解消の話し合いは、まずパートナーと
お嫁さんの立場から同居の解消を考えている場合は、まずは旦那さんと話し合い、説得しなければいけません。
一人だけ意志を固めてしまったら、一人で出ていかなければいけなくなります。
同居に何のストレスも感じていない旦那さんを納得するのは難しいかもしれませんが、やってみないうちに、あきらめない方がよいです。
自分の気持ちを落ち着いて、正直に話しましょう。
また、別居することの現実的なメリットを考えて提案するのも効果的です。
仕事や子供のことを理由にすることもできます。
職場と距離が遠かったり、子供をいい学校に通わせたかったり、ということも理由になると思います。
また、どうしても気を使いすぎてしまって精神的に不安定になり、その結果、子育てや夫婦の関係に悪影響になっている、ということも伝えられるかもしれません。
旦那さんを説得する際に一番大切なのは、自分が一番相手を大切に思っていることや、義両親には感謝している、ということを真摯に伝えることです。
そして、自分だけでも別居する覚悟を持って説得してみましょう。
本気で追い詰められていることが伝わらないと、軽く受け流されて終わるかもしれません。
義両親とおだやかに話し合うためにも、まず旦那さんを味方につけることが大切です。
逃げずに話し合いをしよう
旦那さんを説得できても、できなくても、同居解消するためには義両親と話し合うことが必要です。
助け合っていたなら裏切ることになりますし、仲が悪かった場合でもマナーとして、話し合いの場を設けることをおすすめします。
場合によっては、縁を切らなければならないような事態になる方もいらっしゃいます。
お嫁さんの立場なら、縁を切るのも選択肢の一つに選びやすいかもしれませんが、旦那さんは落ち込んでしまうかもしれません。
子供がいる場合は、祖父母とのふれあいの機会が無くなることにもなります。
しかし、こうしたことの責任感を感じて「自分のせいで・・」と思わないほうがいいでしょう。
同居できなくなるのは、どちらかだけの問題ではありません。
とにかく、親子とはいえ他人ですから、コミュニケーションは怠らないようにしたいですね。
多くの場合、話し合いのきっかけは旦那さんに作ってもらうほうがいいですが、実際の話し合いの席には、同席したほうがベターです。
お姑さんは、旦那さんを何十年も育ててきましたから、うまく言いくるめるなんてお手の物、かもしれません。
「別居したい」と思っている本人が自分の気持ちを伝えなければ、話は進まないことでしょう。
勝手に同居解消を決めないで!覚悟して話し合い
「話し合い」といって設けた席でも、話し合えていないことはよくあります。
嫁姑の間に上下関係がある場合は、下の立場だった方は痛感してきたのではないでしょうか。
すでに結論は決まっていて、それに納得してもらうために話す、というのは話し合いではありませんよね。
同居解消したい場合でも、話し合い中に延々と説教されたり、泣かれてしまったり、無視されたりすることが想定できます。
どちらも別居したかった、というレアなケースを除いては、修羅場になることを覚悟しなければいけません。
それが嫌で、話し合いの場を設けなかったり、直前になって「話し合い」とは形ばかりの報告をしたりする場合もあります。
そうすると、今後助け合っていくのは、かなり難しくなります。
また、お金の問題もあります。
同居していた家のローンが残っていて、別居してからも、その分のローンを払い続けながら家賃も払わなければいけない場合もあります。
ローンが残っているなら早めに話し合いを!
同居解消後に経済的な負担を軽くしたいのなら、そのことも話し合わなければいけません。
具体的な案としては、家を売ること、家に残る側が家賃を払うことなどが挙げられます。
ただ、2世帯住宅などの場合は資産価値が低く、売れにくい可能性もあるでしょう。
普通の住宅であっても、大きく得をする、ということは期待しない方がいいですね。
また、家に住む側が家賃を支払う、というのも金額設定や感情の問題で、話し合いは難航すると思います。
お金と住居の問題があるのなら、同居解消の前の相談は早めに切り出しましょう。
その他のケースで多いのは、残ったほうがローンを払い、出ていったほうが賃貸住宅を借りるか、また新たに家を建てるか、ということでしょう。
義両親に収入や貯金があって、自立して生活できるなら、こうした選択もできます。
いずれにせよ、どちらかの生活レベルが下がることが予想できるのなら、なおさら話し合いは慎重に進めるべきです。
「別居しなくてはいけない」と思い込むのではなく、2世帯住宅へのリフォームや、ベストな時期を待つことなども考えましょう。
同居解消後に家を建てるべきか
話し合いの結果、晴れて同居解消できることになったのなら、家の名義変更や光熱費の契約内容の変更も行う必要があるか、確認しましょう。
また、同居していた家に対して金銭面での責任が無くなったのであれば、賃貸物件を借りることもできますし、新築することも考えられますよね。
ただ、もともとは大人数で住んでいた家ですから、完全にその家を見限って新築するというのは、あまりおすすめできません。
義両親が高齢だったら今後、何があるか分かりませんし、こちらも子供ができて考えが変わることもあるでしょう。
また戻って同居をする可能性もあります。
しかし、考え方を変えれば、賃貸に住んでいるということは、「また同居する可能性がある」ということにもなります。
絶対に、二度と同居したくないのに、そうした隙を見せることで期待させてしまうかもしれませんよね。
「戻ってきて!」と言われないように家を建ててしまう、というのも一つの考え方になるでしょう。
お金が絡むことは話し合いをしっかりと!
家を売る側の人間として、できることなら幸せに暮らしていただきたい、という願いがあります。
私は経験がありませんが、同居というのは本当に難しく、結婚するときは一緒に住んでいてもその後、解消することを決める方もとても多いです。
2世帯で家を購入する場合でも、2世帯住宅にリフォームする場合でも、話し合いはしっかりと行いましょう。
差し出がましいようですが、相手を説得するコツは、思いやりの気持ちを持つことですよ。