賃貸アパートに住む場合、そのアパートの構造が何であるかも重要なポイントです。
なぜなら、アパートの構造によって防音性に違いがあるからです。
この記事では、軽量鉄骨造のアパートでは音が響くのか、また、ほかの構造のアパートではどうなのかをご説明していきましょう。
ぜひ、部屋を決める際の参考にしてくださいね。
軽量鉄骨造はどんな構造?
賃貸アパートを決めるうえで、優先する項目は人によって様々でしょう。
「立地」や「間取り」など、気になるポイントは人それぞれ違います。
しかし、多くの人が気にするポイントには「音」があるのではないでしょうか。
この音ですが、実はアパートの構造によっても響く・響かないが変わってくるのです。
アパートの構造というと、多くの方はまず木造を思い浮かべるかと思いますが、それ以外の構造もあるのです。
この記事では、軽量鉄骨造という構造をメインにお話ししていきます。
まず、この軽量鉄骨造は鉄骨造の一種で、骨組みに鉄骨を利用した構造をいうのです。
鉄骨造の特徴としては、あらかじめ主要部材となる鉄骨を工場で製造し、それを現場で組み立てていくことで、工期は短く済み、建築にかかるコストも低くなることです。
そのため、アパートの家賃も比較的安く設定されていることが多いです。
そんな鉄骨造の中でも、鋼材の厚さが6㎜以下のものを使用した場合、軽量鉄骨造とされています。
主に、柱や梁、筋交いを利用した構造の物件に使用されるので、一般住宅やアパートなどでも利用されます。
それでは、この軽量鉄骨造の防音性はどうなのでしょうか。
次項でご説明します。
軽量鉄骨造のアパートは音が響くの?
アパートのような集合住宅に住むとなれば、多くの方が「音」を重視するかと思います。
くつろぎたいときに、周囲の音が聞こえてきたら気になってしまいますし、さらに自分の音も聞こえてしまっているのではないかと気になってしまうこともあるでしょう。
軽量鉄骨造のアパートの場合、このような音への防音性はどうなのでしょうか。
周囲の音が響くことはあるのでしょうか。
軽量だけでなく、鉄骨造全体にいえますが、鉄骨造は鉄骨で骨組みを構成しているだけです。
そのため、壁に断熱材や遮音性のある素材は使用していませんので、構造自体が音を遮る役割を持っていないのです。
実際に住んだことのある人の経験談では、「住んでいた軽量鉄骨造のアパートの近くに自衛隊があったため、航空機の音がよく聞こえ、まるで地響きかのように音が鳴っていた」というものもありました。
ですから、アパートの近くにどんな施設等があるかも重要になります。
さらに、このような音に関する意見もありました。
・上の階の足音がダイレクトに聞こえてくる
・車のエンジン音が聞こえてくる
・隣室が見ている番組がわかるくらい、テレビの音が聞こえてくる
以上のようなことを踏まえても、軽量鉄骨造アパートの防音性は低めで、周囲の音が響きやすいということがいえます。
軽量鉄骨造以外に音が響く構造はある?
軽量鉄骨造以外の構造でも、防音性が低く、周囲の音が響く構造のアパートはあるのでしょうか。
実は軽量鉄骨造と同じくらい、もしくはそれ以上に防音性が低いといわれている構造があります。
それは、「木造」です。
鉄骨造の主要部分に鉄骨を用いるように、木造は主要部分に木材を用いた構造をいいます。
木造も建築にかかるコストが低いため、木造アパートの家賃も比較的安く設定されています。
さらに木材の特徴としては、通気性が良いことです。
湿度の高い日本においては通気性の良い住宅はピッタリなのですが、通気性が良い分、音も通しやすくしてしまうのです。
特に壁の薄い木造アパートの場合は、隣の部屋の生活音がまる聞こえなんてことも十分にあり得ます。
ですから木造は、軽量鉄骨造と同等、もしくはそれ以上に音が響きやすい構造といえるのです。
防音性が高い構造のアパートはあるの?
それでは反対に、防音性の高い構造のアパートはあるのでしょうか。
完全に音をシャットアウトするわけではありませんが、軽量鉄骨造や木造と比べてはるかに防音性に期待できるのが、鉄筋コンクリート造のアパートです。
というのも、音が響くのは「振動」が関係しており、空気や壁を伝って聞こえてくるのです。
この振動を軽減させるには、遮へい物が多いまたは頑丈であることが重要になります。
アパートの場合、壁や柱が遮へい物に該当しますね。
そもそも鉄筋コンクリート造は、圧縮力の強いコンクリートに、引っ張る力の強い鉄筋を埋め込んだ構造のことをいいます。
鉄筋とコンクリートの相乗効果により、高い耐震性や耐久性を実現させた構造でもあるのです。
そのため鉄筋コンクリート造のアパートであれば、壁などの遮へい物が頑丈なため、音も通しにくくしてくれるのです。
ただし、比較的防音性の高い鉄筋コンクリート造でも、周囲の音が響くこともあります。
それについては、次の項でご説明しましょう。
高い防音性の構造でも意味がない?音が響く物件の特徴
鉄筋コンクリート造のアパートであれば、軽量鉄骨造などと比べて、防音性の高い構造であることがいえます。
しかし、なかには音が響く鉄筋コンクリート造の物件もあるのです。
【壁がコンクリートではない】
鉄筋コンクリート造には基準があり、それを満たしていれば鉄筋構造として認められます。
ですが、中には基準は満たしてはいるが、アパートの全部がコンクリートではないこともあるのです。
例えば、柱はコンクリートでも、壁はパネルということもあります。
前の項でもお話ししましたように、壁などの遮へい物が多いもしくは頑丈であることで、音を伝えにくくしてくれます。
そんな遮へい物の一つでもある壁が、パネルのような頑丈ではないものですと、遮音効果も期待できません。
より音を響きわたらせてしまいますので、鉄筋コンクリート造だからといって油断は禁物です。
次の2点に関しては、全ての構造に該当する、音が響く物件の特徴です。
【築年数が古く、隙間がある】
築年数が古い場合、壁などに隙間ができていることもあります。
隙間があれば当然そこから音は入ってきますから、構造自体は防音性が高くても意味がありませんね。
さらに壁に隙間があると、壁と壁がこすれて、より大きな振動音を発する場合もあるので要注意です。
【床がへこんでいる】
床鳴りによって、床がへこむ場合があります。
木造にはよくあることですが、鉄筋コンクリート造でも床鳴りは起こります。
さらに床にへこみがあれば、周囲の歩く足音なども聞こえてきます。
軽量鉄骨造にもできる!アパートの防音対策をご紹介
ここまで、軽量鉄骨を中心に、防音性に関するアパートの構造についてお話をしてきました。
最後に、軽量鉄骨造や木造などのアパートにできる防音対策をご紹介しましょう。
アパートでは何かと制限がありますから、気軽に試せるものをご紹介していきます。
●防音マット、もしくは厚手のラグを敷く
部屋の中を歩く足音も響くことが多いので、よく歩くスペースには防音マットなどを敷いておきましょう。
これだけでも、下の階の部屋の人に伝わる振動を軽減できます。
特に、床がフローリングの場合は、試す価値ありといえます。
●防音カーテンをかける
もちろん、構造に関係なく、音は窓からも伝わってきます。
外の音が気になる場合は、窓を閉めるだけでなく、防音性のあるカーテンをかけることでも、室内に音が伝わりにくくなりますよ。
●壁側に家具を配置する
隣の部屋にも住人がいる場合は、壁側に家具を寄せてみるのも良いですよ。
高さのある本棚などを壁側に寄せ、壁から1cmほど空けて配置すれば、壁から伝わる音も少なくなるでしょう。
反対に、音の出るテレビなどを壁側に置くと、隣室に伝わることもありますからご注意ください。
音が気になるならアパートの構造から選ぼう!
アパート選びは本当に大変です。
自分の希望が全て叶う物件はなかなかありませんから、優先順位を決めて選んでいかなくてはなりません。
その中でも多くの方が気になるのが音でしょう。
音を意識するのであれば、アパートの構造から選んでみてください。
しかし、物件次第では防音が期待できないものもありますから、注意して選んでくださいね。