FXでは、カタカナやアルファベットの聞きなれない用語が頻繁に出てきます。
FXという言葉自体もその1つでしょう。
FXは、日本語で外国為替証拠金取引と言いますが、取引である以上なにかコストが発生するはずです。
そこで今回は、FXの2大取引コストであるスプレッドと取引手数料を取り上げて、コストの違いによる利益の違いなどについて解説しましょう。
FXの2大コストは取引手数料とスプレッド
銀行にもよりますが、コンビニにあるATMを使って顧客自身が入出金処理をしても、取引手数料というものが引かれますね。
他にも、株や先物などの金融取引でも、マーケットアプリなどでも取引手数料が発生することがあります。
しかし、総じて何の代価なのか不明なものが多く、ただ手数料という名目で、お金を徴収しているだけような気がします。
それはさておき、FXにも取引手数料というものが存在しています。
ただ、以前は多くのFX業者が取引手数料をとっていましたが、現在ではほとんどが無料を謳っています。
おそらく、以前と比べるとFX業者が乱立と言ってもよいくらいに増えているため、顧客獲得競争が激化した結果ではないでしょうか。
しかし中には、現在でも取引手数料をとっている業者もあり、その金額は業者により違いがあります。
1,000通貨単位の取引で30円、10,000通貨単位なら無料というように、業者独自でその金額を決定しています。
そして、取引手数料をとる代わりに、濃密な情報提供を行うなどして、他業者との差別化を図っています。
私たちにとっては、この取引手数料はFX取引におけるコストの1つです。
そして、もう1つのコストと言えるものがスプレッドです。
名前に違いはあれどスプレッドは別口の手数料のようなもの
取引手数料は、前述のように、現在はほとんどのFX業者で無料になっています。
しかしスプレッドは、その金額に違いこそあれ、すべての業者で課せられており、これがFX業者の主な収入源となっています。
言い換えれば、たとえ取引手数料は無料でも、別口の手数料のようなものがあり、それがスプレッドであると言えるでしょう。
スプレッドとは日本語で「広がり」という意味ですが、金融用語では価格差や金利差のことを指します。
FXにおいては、売値と買値の価格差のことをスプレッドと言い、顧客が売り買いの取引をするごとに業者にお金が入るシステムになっています。
例えば、ドル円取引において、買値が1ドル=120円の相場のとき、売値は119.997円などと、必ず買値と売値の間には差額が設定されています。
つまり、私たちが円を売ってドルを買おうとするとき、120円で買ってすぐ売ろうとしても、119.997円でしか売れないため、損をすることになります。
これを含み損と言い、相場がここから0.003円分以上上がらなければ、利益が出ない仕組みになっているわけです。
これをFX業者の立場から見ると、買値が119.997円の時の売値が120円なので、顧客から注文が入るたびに利益が出ることになります。
そしてこれが、実質FX業者の儲けになっているというわけなのです。
スプレッドや取引手数料は業者によって違いがある
では、顧客の立場に戻って、取引コストについて考えてみましょう。
私たちは、FX取引で利益を得ることを目的として取引を行っています。
利益とは、取引で得た金額から、それを得るためにかかったコストを差し引いたものを言います。
多くの利益を得るためには、大きな相場の変動差益を獲得するのはもちろんですが、それを得るためのコストを低く抑えることも重要です。
そのためには、取引を行うFX業者を慎重に選ぶことが必要になってきます。
なぜなら、取引手数料もスプレッドも、FX業者が自由に決めることができるため、業者によって違いがあるからです。
取引手数料については、大手と言われている日本のFX業者のほとんどが、現在は取引手数料が無料になっているため、さほど気にすることはないでしょう。
しかし、スプレッドは業者によっても、また取引通貨によってもバラバラです。
そこで、自分の取引したい通貨ペアを決め、そのペアのスプレッドが小さいFX業者を選ぶべきと言えるでしょう。
ただ、それだけが重要かというと、実はそうではありません。
他にも、取引ツールの使いやすさや、情報提供量の多さ、入出金手続きのしやすさなども重要なポイントです。
しかし初心者の場合は、まずはスプレッドを中心に、数あるFX業者から自分に合った業者を選択しましょう。
1回の取引では小さな違いでも積もれば利益に差が出るスプレッド
ところで、スプレッドは、取引手数料と違い、取引のたびに必ず発生するため、最も重要なコストと言っても過言ではありません。
そこで、スプレッドの違いがどの程度利益に影響してくるのかをもう少し詳しく見ていきましょう。
例えば、ドル円の通貨ペアの場合、多くの業者がスプレッドを0.3銭で原則固定などとしています。
しかし、0.48銭という業者もあれば、0.6銭という業者もあり、中には基本2銭で変動するものとしている業者もあります。
では、わかりやすく0.3銭の業者と0.6銭の業者でその違いを比べてみましょう。
ドル円取引において、スプレッドが0.3銭の業者で、買値が1ドル120円の相場の時に1万ドルを買ったとしましょう。
その後、相場が0.5円上がったため売ろうとした場合、その時の買値は120.5円で、売値は0.3銭安い120.497円ということになります。
この場合、1ドルあたりの差益が0.497円なので、1万通貨×0.497円=4,970円が顧客の利益ということになりますね。
これがスプレッドが0.6銭の業者であった場合、利益は1万通貨×0.494=4,940円となり、0.3銭の業者と比較すると、30円少なくなってしまうのです。
もし1回の取引であれば、たった30円と思うかもしれません。
しかし、取引するたびにこの差額が出てくるとすると、その違いは見過ごせないのではないでしょうか。
スプレッドの原則固定には注意が必要
そして、スプレッドに関しては、もう1つ注意すべき点があります。
それは、原則固定という但し書きです。
通常、どの業者でも、スプレッドは原則固定などとされていて、完全固定ではありません。
例えば、大きな震災や政変などで相場が急変した場合など、0.3銭であるはずのスプレッドが、急に5銭程度まで拡大することがあります。
これは、相場の急変によって、多くの市場参加者が一斉に注文を行うと、業者のサーバーがその注文に対応しきれなくなるためです。
そこで、敢えてスプレッドを拡大することで、顧客に高いコストを負わせ、注文が集中することをけん制します。
また、日本では月曜の朝にその週の取引が開始されますが、他国の市場の多くが閉じており、早朝は取引参加者が少なくなっています。
このような状況では、少し大口の注文があるだけで相場が一方に大きく傾く傾向があります。
また、FX業者にとっては、参加者が少ない=取引手数料やスプレッドで利益が得にくい状況でもあります。
そこで、しばらくの間はスプレッドを拡大して、相場を安定させたり、1取引当たりの利益を増やそうとするのです。
実際、スプレッド0.3銭と謳われていても、取引を始めると、肝心なところでスプレッドが拡大することがあります。
そこで、このような点での業者による違いも、コスト管理上把握しておかねばならないでしょう。
初心者は取引手数料は無料、スプレッドが最安値の業者がお勧め
このように、安定した利益を得ることが難しいFX初心者にとっては、取引手数料やスプレッドを管理することは、重要なことです。
取引手数料かかかる場合は、その金額をスプレッドに換算して、本来のスプレッドに上乗せし、決済価格などを決めなければなりません。
例えば、1000通貨で30円の取引手数料なら、1通貨あたり0.03円のコストがかかることになります。
もともとのスプレッドが0.3銭の場合は、1通貨につき都合0.033円、つまり3.3銭のスプレッドで取引している状態と同じ言えます。
つまり、この取引で利益を得るためには、相場の変動が3.3銭以上なければならないわけです。
しかし、相場の逆方向への変動リスクや、利益を得るまでにかかる時間を考えると、これはかなりのハイリスクを負うことになります。
そこで、初心者の人がFX業者を選ぶ際には、取引手数料が無料であることは必須と考えた方がよいでしょう。
また、スプレッドについても、他の条件に大きな違いがない限りは、最安値の業者から選ぶことをお勧めします。
その他の条件で業者を選ぶのは、ある程度の取引をこなし、相場観が身についてからでも遅くはないでしょう。
利益に違いがでるコスト管理の重要性を認識しよう
今回は、FXにおける取引手数料とスプレッドについて取り上げてみました。
初めてFXをやってみようという方は、たくさんのFX業者の謳い文句に惑わされてしまい、どの業者を選んだらよいか迷ってしまうでしょう。
そのような時は、いくつかの業者でデモ取引(仮想取引)をやってみるのもお勧めです。
その上で、今回アドバイスしてきたことを振り返っていただければ、コスト管理の重要性をより理解していただけるのではないでしょうか。