分譲マンションに住んでいると、大体の場合は管理費や修繕積立金を毎月支払うことになっています。
マンションを修繕する際はその修繕積立金から費用が捻出されます。
しかし、これまでに積み立ててきた修繕積立金だけでは工事費用が足りないとき、マンションの管理組合は修繕積立金の値上げを検討しなくてはならない場合があるのです。
修繕積立金の値上げをするには、総会で住民から理解を得る必要があります。
ここでは、修繕積立金の値上げに関することに加え、マンションにおける総会の重要性について解説していきます。
管理費と修繕積立金の違いとは?
分譲マンションを購入すると、毎月支払うものはマンションの購入費用のローンだけではありません。
大体の場合は管理費や修繕積立金を支払うことになっています。
その、管理費と修繕積立金の違いとはそもそも何なのでしょうか。
まず、管理費とは日常的に必要なマンションの保守・点検にかかる費用に充てられるもののことを指します。
そして、修繕積立金は定期的・計画的に行う修繕や、不測の事態の際に行う修繕工事に充てられるもののことを指します。
管理費と修繕積立金は使途目的が異なるので、経費処理をする際は、必ず分ける必要があります。
つまり、修繕積立金が足りないからと言って、管理費から充当することはできないということです。
ですから、不測の事態などで予想より修繕工事費が必要になる場合は、修繕積立金の値上げが必要となるのです。
しかし、修繕積立金の値上げはそう簡単にできることでもなく、総会にて住民から理解を得る必要があるのです。
それでは、次項でその点について解説していきましょう。
修繕積立金の値上げは総会で理解を得ることが必要!
マンションを修繕するには、住民から集めた修繕積立金から工事費用を捻出します。
しかし、経年により建物自体が古くなると、大規模な修繕工事が必要となる場合があるのです。
そうすると、毎月積み立てている修繕積立金では賄いきれない金額になることがあります。
その場合、どうしても修繕積立金の値上げが必要となってしまうのです。
修繕積立金の値上げには、住民の理解が必要となります。
そして、住民から理解を得る場として「総会」というものがあります。
総会とは、マンションの管理組合の最高意思決定機関です。
マンションの管理組合とは、マンションの購入者全員で建物や敷地などの管理をするために構成されている組合のことです。
管理組合に入りたくないと言っても法律で定められているので、全員が組合員となります。
管理組合で行う総会は通常年に一度開かれるもので、必要であれば臨時総会を開くこともできます。
修繕積立金の値上げはこの総会で理解を得ることが必須となります。
修繕積立金の値上げだけでは足りないときはどうする?
大規模な修繕工事には莫大な費用がかかることもあるため、総会で決議され、修繕積立金の値上げをしても費用を賄いきれないケースもあります。
その場合はいったいどうしたらいいのでしょうか。
それには以下の二つの方法があります。
まずは、「一時金を徴収する」という方法です。
修繕積立金では賄いきれない金額分を、住民から一時金として徴収する方法です。
何らかの欠陥や事故などがあって工事を急ぐ場合は、この方法を取らなくてはならないことが多いでしょう。
次に、「ローンを組む」という方法です。
住宅金融公庫や建築会社などで、大規模な修繕工事用のローン商品を出しています。
このローンを組むことで、一時的に必要な修繕費用を賄うことができるのです。
しかし、ローンの返済額が修繕積立金の80%以上超えているような場合は、ローンを組むことはできません。
修繕積立金の値上げはいくらくらいが相場?
分譲マンションを所有していると支払わなくてはならない修繕積立金ですが、あるデータによるとその相場は11,000円~12,500円となっています。
ただし、この金額は戸数やマンションの面積によって異なります。
そして、築年数が古いほどその金額は低くなる傾向があります。
何らかの事情で修繕積立金の値上げが必要となる場合は、総会で話し合いがもたれ、もともと設定されている修繕積立金に値上げ分が上乗せされることになります。
その値上げの相場は、だいたい数千円ということが多いです。
修繕積立金が一気に数万円値上げしてしまうのは、住民からの理解を得にくいという点があるためです。
急を要する工事ではない限り、大掛かりな修繕工事は数年前から計画が始まります。
そうすると、例えば最初の数年は3,000円値上げして、その後の数年はさらに2,000円値上げするような方法をとります。
最終的にはもともと設定されていた修繕積立金より5,000円値上げするというように、段階的に値上げしていくケースが多いです。
また、もともとの修繕積立金の設定額が低ければ、その分修繕積立金の値上げ率が高くなる傾向があります。
さらに、修繕積立金がほとんどないようなマンションであれば、大きく値上げすることもあります。
修繕工事をする際は管理組合が行う総会で決めることが重要!
大規模な修繕工事が必要となった際に、管理組合が関わることなく管理会社に任せっきりにしてしまうと、場合によっては余計に費用が掛かってしまうことが考えられます。
信じがたいことですが、管理会社の中には悪質な会社もあります。
そのような会社に修繕工事のことを一任してしまうと、修繕工事を実際に行う建設会社と悪だくみをして工事費のつり上げをする可能性があるのです。
そうすると、必要のない修繕積立金の値上げをしなくてはならないこともあり得ます。
このようなことがないように、大規模な修繕工事が必要な際は管理会社任せにせず、総会にて住民が話し合う必要があると言えます。
ムダな工事をさせないためにも管理組合がしっかりと修繕計画を立てて、必要な金額分のみ修繕積立金の値上げがなされることが、分譲マンションの正しいあり方とも言えるでしょう。
分譲マンションにおける総会の重要性
マンションは、一つの建物に複数の人が暮らすコミュニティです。
価値観やライフスタイルなどが違えど、同じマンションに暮らしている限りいろいろなことを一緒に決めるような場面も出てきます。
そのような場が「総会」です。
総会は、そのマンションによって開催の時期や方法などが定められています。
マンションに関することは、原則この総会で決議されなくてはなりません。
もちろん、これまでご説明してきた修繕積立金の値上げに関することだけではなく、マンション共有部分の管理に関することや管理組合の理事の選任なども総会で決議される必要があります。
つまり、総会は非常に重要な会議ということになりますね。
総会には定期総会と臨時総会があり、開催される約2週間前までには招集通知書がマンション内に貼り出されたり、各戸へ配布されます。
もしも、都合が悪く総会にやむを得ず出席できない場合は、事前に委任状や議決権行使書を提出する必要がありますので注意が必要です。
委任状や議決権行使書を含め、出席数が議題の承認に満たない数であれば、その総会は「流会」となってしまうのです。
流会とはつまり、その議題に必要な議決権の数が集まらずに総会そのものが意味のないものとなってしまうということです。
そのようなことになると、他の出席されている方や決まりに従って委任状や議決権行使書を提出した人に迷惑を掛けることにもなるのです。
総会はマンションにおける重要な会議ですので必ず出席、もしくは、委任状や議決権行使書を提出するようにしましょう。
修繕工事は管理組合が計画的に行うべき!
これまでの積立金では足りなくて、修繕積立金の値上げを仕方なく行う場合もあるでしょう。
しかし、修繕工事に関して管理会社に任せっきりにしてしまうと、しなくてもいい修繕積立金の値上げをしなくてはならない事態になることも考えられます。
マンションの所有者自身がマンションを管理するという意味でも、修繕工事が必要な際はマンションの管理組合が計画的に話をすすめていくべきでしょう。