アパートなどの賃貸の壁に、うっかり大きな穴を開けてしまった経験をしたことがある人もいるでしょう。
また、生活する上で、画鋲などの小さな穴を壁に開けることだってありますよね。
その場合、修理費は支払わなくてはならないのでしょうか。
費用を抑えるための、ポイントをお伝えしていきます。
アパートの壁は想像以上に弱い!
まず始めに、アパートの壁についてお話していきます。
一般的なアパートの物件は、木造か、軽量鉄骨造の構造で作られていることが多いです。
これらに使用されるのが、「石膏ボード」と呼ばれる建材です。
石膏ボードは、安くて使いやすいことから、賃貸物件にはほとんどがこの石膏ボードを使用しています。
賃貸物件などは、石膏ボードを柱の間に挟んで張り、壁に使用しています。
その上から壁紙が貼られ仕上げられているのです。
壁にも使用されるように、石膏ボードは縦にかかる力には強いですが、とがったものによる衝撃には極めて弱いのです。
一般的に、石膏ボードの厚みは、9.5mmから12.5mmのものが多く使用されています。
厚みが1㎝ほどしかなく、壁そのものが薄いので瞬間的な力がかかることに耐え切れず、穴が開いてしまうことも少なくありません。
壁に穴を開けてしまった事例を見ると、
・「家具を移動している最中、壁に当たり穴が開いてしまった」
・「ベッドに寝転んだとき、足が強く壁に当たり穴が開いてしまった」
等です。
このようにアパートの壁は、簡単に穴が開いてしまうこともあります。
意外にも「もろい」ということを忘れないでおきましょう。
アパートの壁に穴を開けてしまった!修理費は全額負担?
賃貸アパートなどを退去する場合は、原状回復を行い、元の状態に戻すことが基本です。
ですので、もし壁に穴を開けてしまった場合、復旧するために費用を負担しなければなりません。
一般的に、アパートに入居した時は、「敷金・礼金」を支払っていると思います。
この敷金は、部屋を借りる人が大家に預けておく保証金のようなもので、退去時のクリーニング等に使用されます。
退去時、クリーニング等が必要ない場合ですと、敷金に払った金額返還されることになります。
ですので、もし壁に穴を開けてしまったとしても、敷金から修理費用として使用されます。
しかし、破損が大きかったり、敷金ゼロの物件の場合ですと、修理費用を全額負担することになることも考えられます。
壁に穴を開けてしまった場合の大体の相場をお伝えしましょう。
まず、家具などがぶつかり大きな穴が開いてしまった場合です。
この場合、修理費用は30,000円ほどが相場とされています。
複数個所、大きな穴が開いてしまった場合ですと、50,000円から60,000円が相場と言われています。
釘やネジなどの穴の修理費用は?
アパートの壁穴といったら、事故ではなく、故意に開けるというパターンもあります。
大きな絵画を飾ったり、壁に棚を作ったりする際、ネジや釘を利用する場合もあるでしょう。
ネジや釘の穴の場合、画鋲などの小さな穴とは違い、石膏ボード深くまでダメージを与えている可能性がありますので、修理費用がかかる場合があります。
お値段の相場は、5,000円程度が相場とされています。
賃貸物件によっては、壁の穴が隠れてさえいれば修理費用を請求されない場合もあります。
釘やネジ程度の穴でしたら、100円ショップなどで購入できる「壁の穴補修」などの商品を活用するのも1つの方法です。
一度、大家に聞いてみて、修理の許可が出るようでしたら自分で修理してしまうのもいいでしょう。
自分で修理すれば、費用も抑えることができます。
画鋲などの小さな穴も修理しなければならない?
賃貸アパートなどに住んでいれば、カレンダーやポスターを壁に貼る機会もあるでしょう。
しかし、「修理費用がかかるのでは?」と思い、壁に穴が開けられないという方もいると思います。
ですが、安心してください。
画鋲などの、小さな穴であれば、修理費用はかかりません。
通常、賃貸を退去する際、原状回復が求められます。
原状回復といっても、決して「借りたときと同じようにきれいな状態にしないといけない」というわけではありません。
月日が経てば、建物自体も劣化しますし、クロスやフローリングが汚れるのは当たり前です。
そういった点で、画鋲などの小さな穴も生活の範疇のものであるので、通常の消耗と考えられます。
通常の範囲内であれば、壁に画鋲で穴を開けても大丈夫ということですが、多数に穴を開けた場合、修理費用を請求される可能性があります。
どうしても気になるようでしたら、穴の目立たない画鋲を利用したり、ホチキスで止めるなどしましょう。
アパートの壁の穴は保険で直すことができる?
アパートの壁に穴を開けてしまった場合、もしかしたら保険で直せる可能性があります。
アパートの契約をするとき、必ず保険加入していると思います。
大体の方が加入する保険は、以下3つがセットになって契約するのが一般的です。
・火災保険(家財保険)→入居者の家財の補償
・借家人賠償責任保険→大家に対する補償
・個人賠償責任保険→日常生活のトラブル補償
この中で、火災保険の契約内容によっては、壁の穴の修理を補償されることがあります。
火災保険と聞くと、主に火災に適用されるものと考えるかもしれませんが、火災以外にも、「風災」「水災」「盗難・水漏れ等」「破損等」を補償範囲としています。
ですので、壁の穴は「破損等」に入ります。
アパート契約をする際に加入する火災保険の中には、「建物補償」と「家財補償」があります。
保険のプランで、「建物」までを補償されるものに加入していれば、対象の範囲内となります。
加入している保険はそれぞれ異なると思いますので、まずは補償内容を確認しておきましょう。
また、補償されるかどうかは故意ではなく、事故であるということがポイントになります。
火災保険で壁の穴を直せない!借家人賠償責任保険は適応される?
火災保険の「建物補償」と「家財補償」は、どちらかを選ぶか、両方加入するかは個人で選ぶことができますが、建物は大家が所有者であるため、賃貸アパートに入居する方が入る保険で一般的なのは、「家財補償」のみが多いです。
家財補償の場合、補償されるのは、建物の中に収容している家電から家具、衣類などです。
壁は「建物」に含まれるため、穴を開けてしまった場合、「家財補償」のみに加入していると補償を受けることができません。
ちなみに、大家に対する補償「借家人賠償責任保険」で、壁の穴を修復することはできないのか、ということについては、まずできないと思ってください。
「借家人賠償責任保険」が適応されるのは、火災や爆発、漏水などによって、危害を与えてしまった場合です。
残念ながら、「借家人賠償責任保険」で壁の穴は直すことができません。
ただし、保険の補償については、それぞれの事故状況により異なる場合があります。
気になるようでしたら、一度契約している保険会社に問い合わせてみましょう。
アパートの壁穴は保険で直せる
アパート契約のときに必ず入るのが「保険」です。
壁の穴を保険で直すには、火災保険の「建物補償」に加入していなければなりません。
保険はいざというとき、便利なものです。
一度契約した保険内容を、見直してみてはいかがでしょうか。