アパートを所有していて、「ドライヤーの音がうるさくて眠気が覚めてしまう」なんて苦情が来ると、世知辛い世の中になったものだ、と思う大家さんもいらっしゃるかもしれませんね。
ストレスを抱え込む方は増え、それに伴って騒音トラブルも増えています。
騒音トラブルは、放っておくと裁判沙汰、刃傷沙汰に発展しかねません。
大家さんとしては、どのような意識を持つべきなのでしょうか。
アパートの騒音を考える
騒音トラブル、と聞くと何が思い浮かぶでしょうか。
大音量で音楽を流したり、深夜にパーティをして大声で騒ぐ、といったことでしょうか。
そのレベルなら、確かに厳重に注意すべきです。
しかし、昨今、問題になっている騒音は、そうした非常識なものだけではなく、生活音や子供の声・足音なども含まれます。
一昔前は、アパートに住んでいる住人同士は自然と顔見知りになり、隣の子供に情が移って声や足音にも我慢する、というケースが多かったように思います。
「子供のすることだから仕方ない」という諦めの気持ちを持つ方は、今も多いことでしょう。
誰しも振り返れば、子供の頃たくさんの人に迷惑をかけてきたはずです。
ですが、ストレス社会になり、「たとえ子供だとしても迷惑だと感じたら断固として抗議する」という方も増えました。
そして、洗濯機や掃除機、ドライヤーの音などにも苦情を言う方もいます。
日常生活に必要なことも騒音としてとらえるのは、行き過ぎたことなのかもしれませんが、現実にこういった苦情も起きてしまうこともあるのです。
「ドライヤーの音がうるさい!」どう対処すべき?
洗濯機や掃除機やドライヤーなどの音が騒音としてトラブルになる背景には、アパートの住民同士がコミュニケーションをとっていないということ、お互いに対して配慮が欠けていることがあります。
だからと言って、挨拶しあうという決まりを作るわけにもいきません。
大家さんや管理会社としてできるのは、クレームが入ったときに迅速に対処し、話がこじれないように間に入って解決に努めることくらいです。
「ささいな物音で我慢できないなんて」というふうに否定的に考えるのではなく、親身になって話を聞いて客観的に考えることが重要です。
管理会社に委託契約している場合は、こういったクレームへの対処をお任せすることになりますが、大家さんにも話があがってくることがあります。
その際は、所有者として責任がありますので、問題解決に向けて努力したいですね。
洗濯機や掃除機、ドライヤーの使い方で苦情
アパートで日常生活の音がクレームとして上がる理由として、「お互いに対する配慮の無さ」を挙げましたが、よく話を聞いてみると、苦情が来るのも頷けることもあります。
生活音とは言え、その回数や時間帯が非常識だったというケースもあるのです。
例えば、洗濯機を一日中回していたら、どうでしょうか。
洗濯するものが多くて、と言い訳するかもしれませんが、それが毎日続くと近くの部屋に住んでいる方は気になってどうしようもなくなるかもしれません。
特に、夜勤などをしていて日中に仮眠したい場合や、赤ちゃんを育てていて夜に睡眠時間がとれないと、たとえ昼間だとしても、できるだけ落ち着ける時間が欲しいと思うものです。
また、掃除機やドライヤーをいつも深夜に使う住人がいたらどうでしょうか。
もしかしたら、夜遅くまで忙しく仕事をしていて、どうしてもお風呂に入るのが遅くなってしまうのかもしれません。
ですが、音が小さいタイプのドライヤーはありますし、翌朝、シャワーを浴びるときに髪を洗うことにするという配慮もできるはずです。
ましてや掃除機なんて、いくら忙しいからと言ってもお隣で誰かが寝ていることを想像すれば、わざわざ深夜にかける気にはなれないはずです。
アパート暮らしでドライヤーは何時までならOK?
「ドライヤーの音がうるさい」という苦情を聞くと、「そういえばドライヤーって何時までならOKなの?」という素朴な疑問が芽生えるかもしれません。
朝9時頃から夜11時頃くらいでしょうか?
それとも、夜9時には静かにしていなければならないのでしょうか。
実のところ、これには正解はありません。
お住いの地域によっても違いますし、アパートの住民の価値観によってもバラバラです。
「子供はだいたい9時ごろ寝かせたい」と考える方もいれば、「夜、9時には帰れないから、11時頃まで物音がするのは勘弁してほしい」と思う方もいます。
こうした価値観をすり合わせるのは、本当に大変です。
しかし、問題解決のためには「多数派」を常識として考え、一定の基準を作らなければなりません。
問題が大きくなるようなら、今後のことを考えて一定のルールを作っておくことも考えましょう。
防音性の高いアパート!夜にドライヤーを使っても安心
ドライヤーやテレビの音が苦情の原因になる理由には、アパートの壁の薄さも挙げられます。
古い木造アパートの場合、壁紙を張り替えて見た目はきれいでも、隣人の咳の音まで響く場合があります。
防音効果の高いアパートというと、鉄筋コンクリートの構造です。
木造はもちろんのこと、鉄骨などと比較しても防音性に優れています。
鉄筋コンクリート構造のアパートなら、ドライヤーの音が周りの部屋に響くということは無いでしょう。
しかし、それでも、完全に防音になるわけではありません。
同じ鉄筋コンクリートでも、防音性は物件によってまちまちです。
そして、構造面でネックになるのが窓です。
窓の構造や取り付け位置によっては、外の騒音を防ぐことは難しく、防音性が低いアパート、マンションになることもあります。
対策としては、内窓を設置したりサッシの隙間を無くすことでも効果があります。
線路や工場の側にこれからアパートを建てるという方は、予算が許すならそうした工夫をしてみると、物件の魅力度がアップするかもしれませんよ。
防音効果が高いアパートのメリット
音に対してそこまで気にしない人は、「ドライヤーがうるさい」なんて苦情が来ることを想像できなかったかもしれませんね。
ですが、生活音の苦情は意外と多いのです。
これからアパートを経営するという方は、物件の防音性についても注意してみましょう。
ちなみに、防音性の高い物件には他にもメリットがあります。
まず、「保温性がある」ということです。
防音性が高いということはすなわち、壁の材質の密度が高く、窓の構造自体がしっかりしている物件だということです。
そのため、外からの空気が室内に侵入しづらく、室内の熱も外に逃げづらいので、その分、保温性が高くなります。
そして、自分が発する音も外に漏れにくい、というメリットがあります。
他人の生活音が気になってくると、自分の部屋の物音にも敏感になりがちです。
例えば、子供がいれば、「静かに歩きなさい」などと何度も注意するようになるかもしれません。
正しいことではありますが、もっとおおらかにならないと、子供にとって窮屈になってしまいます。
住民の方が「自分の生活音が、隣りの人にとっては騒音になるのかも」と考えて、どんどんエスカレートし、神経質になってしまっては、快適に暮らしていただけません。
なるべくトラブルを防ぎ、気持ちよく生活していただくためにも、防音性が高い物件を選んでおいた方がいいでしょう。
騒音問題は慎重な対処が大切
騒音トラブルは、客観的に双方から話を聞き、問題解決に向けて努力する必要があります。
あまりにも常識外れな騒音を発生させるのなら、何度も繰り返し注意するべきです。
逆に、少し神経質すぎる、自己中心的すぎるという理由で、苦情を言ってきた方を説得する必要がある場合もあります。
その匙加減は難しいのですが、管理会社と連携して対処しましょう。