株に投資をしようとする人の目的はいろいろでも、「損はしたくない」とか「多くの利益を得たい」と思う気持ちは同じはずです。
株の投資に必勝法はありませんが、できるだけ損失を少なくするために最低限知っておくべきことがあります。
その一つが寄り天に近づかないことです。
寄り天とは何なのか、株の初心者が気を付けるべきポイントを解説します。
初心者が株で儲ける方法はあるか?寄り天とは?
株の取引で行うことは、株価が安いときに買って高くなったら売れば利益が出るので、これを繰り返して利益を積み上げていくだけです。
言葉で聞けば簡単に儲かりそうですが、実際に儲けるのはとても難しいものです。
なぜ難しいかというと、株価がいつ安くなって、いつ高くなるのかをあらかじめ知ることができないからです。
株価はいろいろな要因で複雑に動くので、正確に予測することは不可能です。
株の取り引きを行っている人たちは「そろそろ安値になるだろう」とか「そろそろ高値になるだろう」という予測を立てて、株を売ったり買ったりしています。
株で儲けるには、利益を上げるための売り買いのタイミングをどれだけ正確に予測できるかがポイントになります。
「できるだけ安く買いたい」とか「できるだけ高く売りたい」と思う心理が、売るタイミングや買うタイミングの判断を難しくしています。
寄り天という状態のときに買って大損してしまうということもあります。
初心者が株で失敗しないために、この寄り天とは何なのかから押えていきましょう。
寄り天とはどういう状態なのか
寄り天とは、寄り付きがその日の天井になったことを示す言葉です。
寄り付きは一日の最初の取引のことです。
株の一日の取引は、午前の前場と午後の後場に分かれ、証券取引所によって取引時間は異なります。
東京証券取引所では、前場は朝の9時に始まり11時半で終わり、後場は午後12時半に始まって午後3時に終わります。
前場の朝9時についた始値がその日の天井、つまり最高値になるのが寄り天です。
なぜ寄り天が起きるのかを見てみましょう。
一日の取引は午後の3時に終了してしまいます。
元々割高な銘柄があったとして、取引が終了したあとに、その銘柄に新しい情報が出てきたり、海外市場でなにか動きがあるとします。
すると、その銘柄の「株価が上がりそうだ」という期待感を持った投資家の買い注文が寄り付き前に多く入り、寄り付きの値が大きくはね上がることがあります。
そして、「株価が割高だ」と感じた投資家や利益を確保したい投資家が売りに回ると、株価は一気に下がってしまいます。
元々割高な銘柄ですから、結果的に寄り付きでつけた高値を越える水準まで戻ることはないというわけです。
寄り天になりそうな銘柄は避けよう
寄り天とはどういう状態かはわかっていただけたことでしょう。
寄り天のことを知らずに、こういう値動きをする銘柄に寄り付きで買い注文を入れてしまうと、終値をチェックしたときに、大きく値を下げていてビックリすることになるでしょう。
損を覚悟で安値で売ってしまうか、株価がある程度の水準まで戻るのを気長に待つか、どちらかしかなくなります。
いずれにしても、利益を大きく減らしてしまう可能性は高くなります。
寄り天にならないことを確認してから買うといいのでしょうが、そのためには常に株価の動きを見ていることが必要で、プロのトレーダー外の人にとっては現実的ではありません。
株の初心者は、寄り天になりそうな銘柄には近づかないのが一番です。
どのような銘柄に気をつけなければいけないかというと、株価が割高になっている銘柄です。
割高な銘柄は、好材料の情報が出てきたとしても、株の初心者は買うのは避けるべきです。
株の初心者は寄り天とは付き合わない
株の初心者が寄り天とは付き合わないようにするには、「業績が安定していて割安な優良銘柄」に投資することです。
業績が安定していて株価が割安な水準にある銘柄であれば、寄り天になったとしてもそれは一時的なものです。
長い期間、値が戻らないということはないはずですから、値が戻るのを安心して待っていればいいでしょう。
余裕資金があれば、追加で買い入れることで大きな利益を上げることもできるかもしれません。
優良銘柄でも「やっぱり寄り天が心配だ」という人は、寄り付きは指値で買い注文を入れるといいでしょう。
指値というのは、値段を決めて買いや売りの注文を出す方法です。
指値で買い注文を入れておけば、指値以下の値段で売る人がいなければ売買は成立しません。
高い水準の値段で買ってしまうということは防ぐことができます。
ただし、指値は買いそびれてチャンスを逃してしまうこともあるので注意しましょう。
株で投資する銘柄の見つけ方
どんな銘柄に投資をするかは、儲けやすいか儲けにくいかの大きな分かれ目になります。
株の初心者は、寄り天とは付き合わなくて済むように、銘柄選びはしっかりと研究するべきです。
株の初心者におススメしたいのは「業績が安定していて割安な優良銘柄」です。
業績が安定しているかどうかは「1株あたり当期純利益(EPS)」でわかります。
EPSが毎年増えていれば利益を上げ続けているということですから、業績が安定している優良企業だと言えます。
日本経済新聞社の日経225は市場を代表する選ばれた優良銘柄ばかりですから、この中から投資する銘柄を見つけるのもいいでしょう。
株価が割安か割高かは、株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)でわかります。
最初のPERは、現在の株価が企業の収益と比較して割高か割安かを見る指標です。
数値が低い方が割安と言えます。
全銘柄の平均はだいたい15倍ぐらいですが、業界によって水準が違っていますから目安にするといいでしょう。
PBRのほうは、現在の株価が企業の純資産と比較して割高か割安かを見る指標です。
PBRが1倍というのが最低ラインの目安です。
業績が安定している優良企業なのにPBRが1倍に近いのであれば割安と判断することができます。
株の投資で決めておくべきこと
株の投資は、「寄り天とは付き合わない」というように、方針をはっきり決めて臨むことが大事です。
そうしないと判断に迷って売り買いのタイミングが遅れ、チャンスを逃したり、損失を大きくしたりすることになりかねません。
少なくとも、どういう「目的」や「目標」で、どのくらいの「資金」でどういう「銘柄」に投資をするのかは、最初に決めておくべきでしょう。
「目的は老後の資金づくりでしょうか、それとも小遣い稼ぎでしょうか」。
どんな目的で投資を行うかによって株の銘柄選びや運用の仕方が違ってきます。
老後の資金づくりが目的であれば、長期的な目標を立ててリスクの少ない銘柄での運用を心掛けるべきでしょう。
小遣い稼ぎが目的であれば、短期の売買を繰り返すことになるため、どのくらい値上りしたら売るのか利益確保の目安を決めておくべきでしょう。
利益が出るときばかりではないはずです。
損失が出たときにどのタイミングで売るのか、許容できる損失の目安も決めておくことが必要です。
老後の資金づくりだとしても、小遣い稼ぎだとしても、株の初心者が心掛けるべきことは、最初から資金の全額を投資しないということです。
資金に余裕がなくなると打つ手が限られてしまい、正しい判断ができなくなってしまいます。
売り買いは腹八分目
プロであっても株の売り買いのタイミングではよく失敗します。
買値よりも安い値段で売ることになったとしても、損を大きくしてしまう前に小さな損で抑えて、別の銘柄で取り戻すという割り切りも株の売買では必要になってきます。
相場の格言に「売り買いは腹八分目」というものがあります。
「最高値で売ろう」とか「最安値で買おう」とは思わないことです。
初心者は、このことをしっかりと頭に入れて株の取引に臨むことが大事です。