いまはパソコンとネット環境があれば、家にいながら簡単に株の取引ができます。
株の取引は株を買って売るだけなので、特に難しくはなさそうですが、儲けている人と損をしている人がいます。
いったい何が違うのでしょうか。
初心者はどんな株の買い方と売り方をするのがいいのか、寄り付きで買うときに気を付けることは何かを解説します。
初心者の株の取引の進め方
いまはネット証券だけではなく、ほとんどの証券会社でインターネットを利用して株の取引ができるようになっています。
つまり、誰でも自宅にいながら株の売買を行うことができるのです。
時間を気にせず株の売買ができるので、サラリーマンや主婦の副業としても人気があります。
ネットで株の売買を検索するとたくさんの情報が出てきます。
その中でも、大儲けをした人の記事を目にすると、誰でも簡単に儲けることができそうな気になりますよね。
しかし、ネットの記事に踊らされて、寄り付きで一度に大金を投入してしまって大きな損失を出している人もいます。
「寄り付き」というのは、後述する「株の寄り付きの仕組み」の項で詳しく説明しますが、取引の始めのことで、プロのトレーダーも神経を使う難しい時間です。
株価は、いろいろな要因で値が上がったり下がったりするものです。
初心者は、いきなり寄り付きで買うような冒険をせず、寄り付き後に値が落ち着いた時点で取引に参加することをおすすめします。
株の寄り付きの仕組み
株の売買をするには、取引の時間帯と取引成立の仕組みを押えておくことが必要です。
株の売買注文は時間に関係なくいつでもできますが、実際の株の取引は午前と午後の決まった時間帯に行われます。
東京証券取引所の場合であれば、午前は9時から11時30分まで、午後は12時30分から3時までが取引が行われる時間帯です。
そして、午前と午後のそれぞれの時間に行われる最初の取引のことを「寄り付き」と呼びます。
株の売買取引が一番活発になる時間帯が、この寄り付きのときです。
そのため、株価は寄り付きで大きく値を上げて始まったり、大きく値を下げて始まったりすることがあります。
それでは、寄り付きで取引が成立する仕組みを見ておきましょう。
株の売買の注文は、先ほど述べた取引開始時間の前でも入れることができます。
そして寄り付きのタイミングで、取引開始時間までに入ったすべての売買注文の引き当てを一斉に行います。
こうしてすべての売りと買いの引き当てが付いたときに、その日の始値が決まるという仕組みになっています。
例えば、もし買い注文が売り注文よりも多ければ、引き当てできる売り注文が入るのを待つことになります。
そして、すべての引き当てができたときに始値が付きます。
以上が寄り付きの仕組みです。
寄り付きは大きく値が動く可能性があるため、プロのトレーダーも買いに失敗することがある難しい取引なのです。
寄り付きで買うときに気をつけること
株の売買が成立しやすいのは、寄り付きのときです。
どうしても欲しい銘柄であれば、寄り付きで買うと手に入れやすいのは確かです。
しかし、気をつけなければいけないのは、寄り付きが高値に決まるか安値に決まるかは誰にもわからないということです。
前項の「株の取引の仕組み」で説明したように、売り注文と買い注文がどちらかに偏っていると、寄り付きで始値がなかなか決まらないことがあります。
そうなると、市場の目がその銘柄に集まって、売り手と買い手の心理合戦が展開されます。
例えば、買い注文が優勢で寄り付きが遅れている場合であれば、どういう展開になるでしょう。
「買い注文が多いので値が上がりそうだ。いまのうちに買っておこう」と考える人がいれば、さらに買い注文が優勢になっていくかもしれません。
反対に「買い注文が多いので売りやすそうだ。今のうちに売っておこう」と考えれば、売り注文が多くなって、一気に寄り付くことになるでしょう。
始値がついたとしても、寄り付きの動きを見ている買い手と売り手の心理合戦は、その後も展開されます。
人気が出て値が上がっていくかもしれません。
反対に、買われ過ぎと見られて売りが集中して、値が下がっていくかもしれません。
寄り付き後も値動きが激しくなる可能性があるので、注意が必要です。
寄り付きで買うにはどうすればいい
株を寄り付きで買うにはどうすればいいでしょう。
寄り付き後の値動きは、とても気まぐれです。
高い方に動くか、安い方に動くかは誰にもわかりません。
どうしても寄り付きで買いたいときは、成行で注文するのは避けて、指値で注文するのがいいでしょう。
成行というのは、値段ではなく売買の成立を優先させる注文方法です。
逆に指値というのは、指定した価格以下で買うという注文方法です。
指値で注文した場合、指値以下の価格で売ってくれる相手が出てこないときは買えないこともありますが、想定以上の高値で株をつかまされる心配はありません。
しかし、指値で買い注文を入れて希望の価格で買えたとしても、買った後にすぐに価格が下落する可能性はあります。
寄り付き後は値動きが激しいので、注意が必要です。
それでもチャンスを逃したくないというのであれば、下落した場合に備えて、指値と同時に売り注文も入れておく逆指値という方法があります。
この方法であれば損失を小さく抑えることができます。
株の取引では、絶対に損をしないという方法はありません。
できることは、少しでもリスクを小さくすることだけです。
寄り付きで買うならどの銘柄がいい?
初心者が寄り付きで買うなら、どのような銘柄を選べばいいでしょうか。
銘柄選びのポイントは二つあります。
一つは、業績の良い企業を選ぶことです。
業績を見るには、営業利益と経常利益の二つを見るのがいいでしょう。
営業利益は、企業が本業の事業活動で出した利益です。
そして経常利益は、税金や配当を差し引いた後の利益です。
経常利益がプラスでも、本業の営業利益はマイナスという場合があります。
本業の事業でしっかりと利益を出しているかどうかは、営業利益の数字を見るといいでしょう。
営業利益と経常利益の両方が毎年伸びていれば、業績の良い企業と言えます。
銘柄選びのもう一つのポイントは、割安な銘柄を選ぶことです。
株価が割安かどうかを見る方法はいくつかありますが、基本となる指標としてPER(株価収益率)を押さえておきましょう。
PERは、株価が純利益の何倍になっているかを示す数値です。
PERが大きければ割高、PERが小さければ割安と判断できます。
PERの数値は、過去の利益の推移とあわせてPERの推移を見ていくといいでしょう。
割高な銘柄は株価が急落する恐れがありますから注意しましょう。
株で儲けるにはどうすればいい
株を寄り付きで買うのは儲けるチャンスではありますが、当然リスクもあります。
大金を投じて大勝をねらうと、失敗したときに大損をすることになりかねません。
そのため、株の初心者は大勝をねらうのではなく、小さな勝ちをいくつも積み重ねて、結果的に大きな勝ちにつなげていく投資を心掛けるべきです。
おすすめの方法は分散投資です。
分散投資であれば、一つの銘柄で損失が出たとしても、他の銘柄でカバーすることができます。
分散投資のポイントは、銘柄を選ぶときに同じ業界の銘柄だけを選ばないようにすることです。
例えば「製造系と非製造系」とか「輸出型産業と輸入型産業」というように、円相場や社会情勢によって同じ値動きをしない組み合わせにしましょう。
また、株価が買値よりも下がっているときには、損失を抑えるために売るという決断をすることも時には必要です。
損失が小さいうちに早く資金回収をして、別の銘柄に投資するほうが、結果的に利益を上げることができます。
一つの取引だけに大金を投じてしまうと、損失を出したくないという心理が働いて、「損失を抑えて売る」という決断がなかなかできません。
初心者は分散投資で経験を積んでいくことを心がけるといいでしょう。
株は値動きの研究と経験を積むことが大事
株をはじめた初心者は「値動きの激しい銘柄のほうが手早く儲けることができそうだ」と考えるかもしれません。
確かに、値動きが激しい銘柄は儲けるタイミングが多そうに見えますが、反対にリスクも多いということです。
株価チャートはあくまでも過去のデータです。
これから先の株価の動きは誰にもわかりません。
初心者は手早く儲けることを目指すより、株価チャートで値動きの研究をしっかり行い、数多く経験を積んでいくべきです。