相続や購入によって土地を保有している方にとって、賃貸アパートの経営は非常に魅力的な投資です。
ただ、アパートを経営するには建物が必要で、まずは所有する土地にアパートを建てることから始めなければなりません。
では、アパートを建てるには、一体いくら必要なのでしょうか?
そこで、この記事では、アパートの建築費用について詳しくご説明していきます。
アパートを建てるにはいくら必要?知っておきたい基礎ポイント
まずは、アパートを建てる上で、知っておきたい基礎的なポイントについてご説明していきましょう。
①建築費用の対象
まず、アパートを建てるのにいくらかかるのかを知るには、「賃貸アパートの建設費用」の対象について知る必要があります。
基本的に、生活に必要なあらゆる住宅設備がその対象になりますが、実際には「建築費用」の定義も曖昧です。
そのため、どこまでの工事が建築費用に当たるのかは、その建築業者によって異なる場合があるので、見積もりの際によく確認する必要があります。
②建築費用は「坪単価」
建物の建築費用においては、1坪あたりの建築費用を表示する、「坪単価」が単位となっています。
アパートの坪数は、設計段階で知ることができるので、その坪数に坪単価を掛けることで、アパートの建築費用が分かります。
③坪単価は構造別に異なる
建物の構造には、主に木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート(RC造)の3つに分けられます。
なお、以下は坪単価になります。
・木造(2~3階建て):40~60万円
・軽量鉄骨(2~4階建て):50~70万円
・鉄筋コンクリート(マンション):70~100万円
上記3つのタイプは、後者になるほど強度が上がり、建築費用も高くなります。
また、鉄筋コンクリートは、強度も防音性に優れており、マンションに採用されています。
標準的なアパートを建てるのであれば、木造建築をおすすめします。
建てる費用はいくら?標準的なアパートを計算してみよう
それでは、一般的なアパートを建てるとなれば、費用はいくらかかるのでしょうか?
建築費用を計算する前に、まずは計算式について確認しておきましょう。
・床面積(坪)×建ぺい率×階数×坪単価=建築費用
では、標準的な大きさとして、戸数が6戸と仮定し、土地の広さを40坪、建ぺい率を80%の2階建ての木造で計算してみます。
なお、建ぺい率とは、その土地に対する建築面積の割合を指します。
・40坪×0.8(80%)×2階=64坪
まずは、計算式を分割して、2階を含めた床面積を出します。
では、最後に坪単価を50万円として計算していきます。
・64坪×50万円=3,200万円
床面積が64坪、坪単価が50万円の建築費用は、およそ3,200万円が目安になることが分かりました。
ただし、注意してほしいのは、建ぺい率は土地ごとに上限があるということです。
つまり、建築する建物は、その上限以下の面積でしか建てることができないので、よく確認することが必要です。
上記の計算方法を参考に、自分の建てたい規模のアパートを、その構造別の値段に合わせて計算してみると、おおまかな建築費用が分かってきますね。
アパートを建てる費用はいくら?利回りをまず優先に!
では次に、前項で算出したアパートの費用から、利回りがどのくらいなのかを見ていきましょう。
まず、利回りとは、投資額(建築費用)に対していくらのリターン(利益)があるのかを数値化したものを意味します。
アパート経営について考えたとき、建築費用は仕入れ原価と同義なので、最初の仕入れ価格でその後のリターンも分かります。
例えば、分かりやすく見てみると、建築費用が3000万円で、年間の家賃収入が300万円の場合、利回りは10%ということになります。
では、前項で算出した3,200万円のアパートの場合、6戸それぞれの家賃を7万として、年間の家賃収入を出していきましょう。
・7万円×6戸×12ヶ月=504万円
年間の家賃収入は、504万円なりました。
この504万円で利回りを計算していきます。
・504万円÷3,200万円×100=15.75%
このように3,200万円の建築費用で、15.75%の利回りは、賃貸経営を考慮した上でも問題ないと言えます。
しかし、もし土地の購入も伴ったアパート建築をする場合は、この3,200万円に「土地の購入費用」が加わってきます。
したがって、アパートを建てる費用によって、今後のリターンも決まってくるため、最初の仕入れ費用は慎重に検討していく必要があります。
アパート経営には出口戦略が重要!
これまでに、アパートを建てる費用はいくらかかるのか、またその利回りについてもご説明してきました。
アパートを経営する上で不動産投資を考えていくには、利回りなども非常に重要ですが、出口戦略を見据えた計画も大切です。
アパート経営などの不動産投資には、必ず「入り口(購入)」と「出口(売却)」があります。
マイホームを購入する場合とは異なり、不動産投資は利益を得ることが目的であり、最終的にはその物件を売却するときが来ます。
つまり、出口戦略とは、投資物件を「将来的にいつ、どのように売却するか」という、先を見据えた計画になります。
では、なぜ最終的には売却する必要性が出てくるのでしょうか?
それは、不動産の所有に伴うリスク回避のためです。
と言うのも、不動産を所有することで、建物の劣化、需要の変化など、様々なリスクが出てきます。
そのため、そのような変化に伴い、空室率が悪化していくことで、収益が下がっていくケースも少なくありません。
ですから、資産価値が高いうちに利益を確定することや、状況によっては損切りをすることなど、「売却のタイミング」が、出口戦略にはとても重要なのです。
出口戦略を成功させるには?2つのポイントを意識しよう
前項でご説明したように、アパートを建てる場合、出口戦略を踏まえた上で、費用をいくらかけるのかを検討していくことが重要です。
では続いて、出口戦略を成功させるための、2つのポイントについてご説明していきましょう。
①出口戦略を考慮した土地・建築業者選び
投資物件の出口を考えたとき、売却時にも十分な資産価値があることがポイントです。
そのため、物件の状態や空室率以外にも、立地や家賃、そして利回りも重要なため、土地や建築業者選びも慎重に行うことがベターです。
魅力のある物件は、投資家の目につきやすく、売却価格も期待ができます。
②売却のタイミング
不動産投資の成功には、より高く売ることが大切ですが、投資の収支がプラスになるタイミングも重要です。
不動産の売却は、建設時や購入時よりも安くなるのがほとんどです。
つまり、その値下がり幅と家賃収入を差し引きして、トータルでプラスになれば、不動産投資は成功と言えます。
その見極めをした上で、売却のタイミングを図りましょう。
以上が、出口戦略を見据えるためのポイントです。
不動産投資を成功させるためには、上記のようなことを意識することが大切です。
では次に、建築業者を選ぶポイントについてご説明していきます。
建築業者選びも大切!選び方のポイントは?
これまで述べてきたように、アパートを建てるには、出口戦略を意識した不動産投資が必要です。
そのためには、建築業者の選び方も重要なポイントです。
・建築の提案内容
所有している土地の立地条件や広さなど、アパートのあり方に沿った提案内容であるのか、よく見極めることが大切です。
いくら利回りが良いと言っても、提案内容が即してなければ意味がありません。
不動産経営に合った、大家さん目線でのプランになっているか、しっかりチェックしましょう。
・担当者の対応
説明力や質問応対といった担当者の対応も、業者選びには大きな判断材料です。
見積もりや提案なども踏まえ、「この業者なら安心して任せられる」と思えるのかも重要なポイントです。
以上が、建築業者を選ぶポイントです。
アパート経営をする上では、その投資資金は決して安いものではありません。
建築業者選びは妥協をせずに選んでいきましょう。
アパート経営を成功させるために
アパート経営で利益を得るためには、利回りを考慮した建築費用の検討が大切であることがお分かりいただけたかと思います。
また、不動産投資を成功するには、「いつ・どのように売却する」のか、出口戦略を見据えた計画が必要です。
そのためには、土地選びは勿論のこと、建築業者選びも妥協することなく、自分の納得のいく投資をしていきましょう。