入居者から「bsが映らない」と言われ、マンションのオーナーが急いで現地に行ったら、入居者のテレビが壊れていただけということがありますよね。
それでも不具合の原因がわからなければ、オーナーは原因を特定するために現地に行かなければなりません。
素早い対応を怠ると、オーナーと入居者との間で思わぬトラブルになってしまいます。
ここではテレビ放送の仕組みを見ながら、マンションで地デジやbsが映らない原因と対策を紹介していきます。
bsが映らない!思い込み対応で失敗
「「bsが映らない」という問い合わせがあり、よく話を聞いてみると、テレビの電源ケーブルが抜けていただけだった」という笑い話のような問い合わせは、実は意外に多いものです。
そのため、単純な入居者の確認不足が原因の問い合わせが続くと、またかと思って対応が粗末になりがちです。
しかし、「電源ケーブルが抜けているんじゃないんですか」、「電源スイッチが切れているんじゃないんですか」など、「どうせまた見落としだろう」という思い込みによる対応は、マンション管理ではとても危険です。
入居者のミスであれば笑い話で終わりますが、マンション設備の問題だったとしたら笑い話では済まされません。
入居者が雑な対応をされたと感じたならば、不満や不信感から早期退去につながるかもしれません。
そのため、
・入居者からの問い合わせには、先入観を持たずに原因を特定するためにヒアリングをしっかりと行う
・現地での確認が必要な場合はできるだけ早く出向く
ことを重要視しましょう。
ていねいな対応を心掛けることで、入居者の安心感と満足度を高めることができ、結果的に長期入居につながります。
マンション設備はbsとインターネットはどちらを導入するといい?
部屋探しをしている入居希望者には、どんなテレビ放送の設備を用意するのがいいでしょうか。
テレビ放送には、地デジ放送、bs放送、cs放送があります。
それらを受信する方法としては、アンテナ方式、ケーブルテレビ方式、インターネット方式があります。
また、それぞれの放送方式に適したテレビやチューナーが必要です。
一般的なのは、地デジ放送対応の地デジ用アンテナを立てて地デジ対応テレビで見る方法です。
bsとcsは人工衛星から放送電波が送られてくるため、「衛星放送」と呼ばれています。
bsとcsは地デジアンテナでは映らないので、別に専用のアンテナを立てることが必要です。
bsとcsを受信するには対応したテレビかチューナーが必要ですが、最近の地デジ対応テレビはほとんどチューナー内蔵なので、bsもcsも受信できるようになっています。
アンテナを立てられない環境であれば、ケーブルテレビ方式を利用する方法があります。
最近はインターネットでビデオ・オン・デマンドで映画や番組を配信するサービスも登場していて、インターネット対応の条件でマンション探しをする人も増えてきています。
ただし、高機能の設備は取扱いが複雑になるため、問い合わせが増える原因になることは頭に入れておいた方がいいでしょう。
テレビ放送やインターネットの環境は、マンションオーナーがどんな入居者に入って欲しいと考えているのかがわかるポイントです。
そのため、オーナーの考え方によって、どんな設備を整えるのがいいのかが変わります。
地デジもbsも映らない原因は
テレビ放送が地デジになり、bsやcsといった衛星放送も加わって、私たちはいろいろなテレビ番組を楽しめるようになりました。
それに伴って、テレビが映らないというトラブルもたくさん発生しています。
ここからはテレビが映らない原因にはどんなことがあるのか、ケース別に見ていくことにしましょう。
まず電源は入っているのに「地デジもbsも映らない」という場合です。
その原因には、次のようなことが考えられます。
(1)B-CASカードがセットされていない
B-CASカードというのは、暗号化されて送られてくる放送電波を、映像として見えるようにするためのカードのことです。
一般向けのカードは3種類で、「地デジ放送専用の青カード」、「地デジ・bs・cs共用の赤カード」、「ケーブルテレビ専用の橙カード」があります。
カードが差し込まれていないとエラー表示が出て、テレビが映りません。
(2)チャンネル設定が合っていない
チャンネルの設定が視聴地域と合っていないと、テレビが映りません。
引っ越しをした場合は、引っ越し先地域に合わせてチャンネルの再設定をしましょう。
(3)配線に不具合がある
室内のテレビ放送端子からテレビやチューナーの映像入力端子までの間の配線はどうでしょうか。
ケーブルの折れ曲がりや抜けかけているだけでも、映像信号レベルが低がって映らないことがあります。
地デジは映るがbsが映らない原因は
次は、「地デジは映るがbsやcsが映らない」という場合を見ていきましょう。
その原因には、次のようなことが考えられます。
(1)アンテナに電源が送られていない
一戸建住宅の場合やマンションの共聴アンテナではなく個人でアンテナを設置している場合は、アンテナにDC15Vの電源を供給する必要があります。
テレビのアンテナ設定が「電源入」になっているか確認しましょう。
マンションの共聴アンテナを利用して放送を受信している場合は、テレビ側から電源を供給する必要はないので「電源切」にセットしておきます。
(2)アンテナの向きが悪い
「今まで正常に映っていたのに映らない」という場合に考えられる原因は、アンテナの向きです。
bsやcsのアンテナの方向は、+/-1度以内の角度で調整することが必要です。
強風などでアンテナの向きが変わると映らないことがあるので、確認しましょう。
(3)ブースターや分配器に不具合がある
ブースターというのは、映像電波を増幅する装置のことです。
複数台のテレビに電波を分配すると、ケーブルの損失で電波強度が落ちてしまうので、電波を増幅するために使用します。
ブースターや分配器を使用していて映らないときは、それぞれの接続箇所にゆるみなどの不具合がないか確認してみましょう。
インターフォンのモニターが映るか映らないかも重要
bs受信やインターネット環境に加えて、最近、モニター付きのインターフォンを設置しているマンションが増えています。
特に、女性にとっては、モニターで来訪者を確認できるというのは、防犯の点から安心感がありますよね。
実際、部屋選びの条件として、セキュリティ・システムを導入していることを挙げる人は多いものです。
インターフォンにモニターが映るか映らないかは、部屋探しをしている内見者にアピールできる設備のひとつです。
管理しているマンションについて、
・交通の便はよく、駅までの距離もそれほど遠くない
・マンション周囲の環境も悪くはない
・賃料は周辺の相場と比べてそれほど高い価格ではない
このように、条件的には問題なさそうに見えるのに空室の入居者がなかなか決まらないという場合は、もしかしたら防犯面に原因があるのかもしれません。
その場合は、モニター付きインターフォンに切り替えてみてはいかがでしょうか。
内見者の反応が良ければ、入居している部屋のリフォームを進めていくことで、入居者の満足度も高めることができます。
マンション管理でのトラブルの原因とその対策
マンションは、ある程度年数が経ってくるといろいろな設備が老朽化してきます。
それは、エアコンや給湯器、テレビの共聴アンテナも同じです。
これらは計画的に点検やメンテナンスを行って、壊れる前に早めに設備を交換することが大事です。
「古くはなっているけれども使えているからまだ大丈夫」、「もったいないから壊れてから交換すればいい」と考えて放置してしまうと、大きなトラブルになる原因です。
「bsが映らない」というクレームが起きてから「アンテナを手配するので入荷まで少しお待ちください」では、入居者は大きな不満を抱くことになります。
入居者は、不具合が起きたらすぐに直してもらいたいと考えるものです。
マンションを管理する側からすれば、すぐに対応できないのは当たり前だと思うようなことでも、入居者の感じ方や受け止め方は違います。
そのため、
・トラブルになる前に処理すること
・設備であれば壊れる前に交換してしまうこと
が、マンション管理では大切です。
入居者の問い合わせ対応はていねいに行おう
地デジと衛星放送で、いろいろな番組を楽しむことができるようになりましたが、その放送の仕組みは複雑です。
マンションでテレビに不具合が起きたら、入居者は、まず管理会社に問い合わせるでしょう。
不具合の原因は、入居者の単純な勘違いということも多いものです。
それでも面倒がらず、ていねいな対応ができるかどうかで入居者の満足度や入居率が変わってきます。
ていねいな対応は入居者管理の基本ですね。