ゴロゴロと轟音を轟かせる雷。
雷の音や光が苦手という人は、少なくありません。
しかし、本当に怖いのは、その威力です。
誰でも幼い頃から、雷はとても危険なものだということは、認識しているはずです。
その危険なものが、自分の家に落ちたら、どうなるのでしょうか。
「知らなかった」では済まないこともあるので、しっかり知識を得て、怖い雷から我が家を守りましょう。
雷対策は雷を知ることが重要
雷の対策を練るということは、雷がどういうものなのかを知る必要があります。
雷を知ることによって、この対策は有効であると理解し、準備することができるのです。
まず、雷の正体は、大規模な静電気です。
冬になると、よくバチっとくる、あの静電気です。
その静電気が、なぜあんなに大きな雷へと成長するのでしょうか。
仕組みとしては、雲の中で空気が上昇したり、下降したりを激しく繰り返します。
そのときに、プラスの電気とマイナスの電気が擦れ合い、静電気が発生し、雷になります。
下敷きを脇の下で擦って、髪の毛の上にかざすと、髪の毛が逆立つのと原理は一緒です。
出来上がった雷は、通常であれば、空気が邪魔をして、地上までは落ちてきません。
しかし、雲の中で発生した雷は、大きくなりすぎてしまう場合があります。
その電気は、マイナスです。
そして、地上には、プラスの電気が流れています。
マイナスの雷が、地上のプラスの電気を求めて落ちてきます。
これが、落雷の仕組みです。
雷は条件次第で、数万ボルトから数億ボルトにまで達すると言われています。
具体的に、どれくらいすごいのかは分からなくても、数字の大きさで何となく理解できるのではないでしょうか。
次は、その雷が家に落ちたら、一体どうなるのか見ていきましょう。
雷が家に落ちたらどうなるのか
雷が落ちたら、家はどうなるのでしょうか。
考えられるのは、2種類の落雷です。
ひとつは直撃雷、もうひとつは誘導雷です。
直撃雷は、文字通り雷が直撃することを言います。
家の最も高い場所に落ちやすく、屋根上のアンテナが格好の標的になります。
その威力は凄まじく、アンテナを焦がすほどの熱量を持ちながらも、さらにアンテナを破壊するほどです。
ですが、雷は外壁を流れていきますので、家の中を通り抜ける確率は、かなり低いです。
ただし、水回りやお風呂、壁の近くにいた場合は、感電の危険があるので注意が必要です。
直撃雷が家に落ちることは、ほぼありません。
住宅外では、マンションやアパートなどの、より高い場所へと優先的に落ちます。
マンションなどには、避雷針が設置されていることが多いですから、安全と言えるでしょう。
もうひとつの誘導雷は、間接的に落ちてくる雷です。
家の近くの電線など、電気があるところに落ちて、家に侵入してくる雷です。
これがとても厄介で、電線から侵入してきた過電圧や過電流が、家電をショートさせてしまいます。
これを雷サージと言います。
さらに、電線からだけではなく、大気を伝ってくるというのですから、恐ろしいものです。
これに対して、家電にはアース線がついているものも多くありますが、決して万全の策ではありません。
心配であれば、雷が聞こえたら、全ての家電をコンセントから引き抜くことをおすすめします。
雷が家に落ちたら確認すること
雷が家に落ちたとします。
それは、まさに一瞬の出来事です。
青白く光ったと認識した瞬間には、雷はすでに家に落ちた後でしょう。
パニックになるのは必至ですが、なんとか冷静を保ちたいものです。
まずは、自分の身の安全を確認しましょう。
動けるか、どこも怪我をしていないか、などです。
感電してしまった場合、直撃でなければ死ぬことはほぼありませんが、火傷をすることがあります。
次に確認するのは、火災です。
前述したとおり、雷サージによる家電のショートが考えられますから、そこから火災へと繋がることがあります。
体が動くのであれば、すぐに火災発生の有無を確認します。
次は、部屋の様子を確認します。
雷を受けた家は、数時間は家の中が帯電している可能性があります。
うかつにドアノブなどに触れると、バチっとくるかもしれません。
ゴム手袋などがあれば、使用すると良いでしょう。
雷が落ちたとなれば、心配なのは家電です。
壊れてしまった家電がないか、点検しましょう。
コンセントが刺さったままの家電は、ダメージを負う確率が、とても高いです。
テレビやパソコン、冷蔵庫などの高級家電が壊れてしまうと、被害総額が数十万円くらいになってしまうこともあります。
買い換えることを考えたら、普段から雷対策をしておくことが、いかに重要かが分かるかと思います。
家電などに被害が出たときは保険を使う
雷で家電が壊れてしまったと落ち込む前に、加入している火災保険を確認しましょう。
意外と知られていませんが、雷の被害は火災保険が適用される可能性が、非常に高いです。
つまり、保険内容によっては、壊れた家電の修理費・買い替え費用も、まかなえるかもしれないということです。
では、どのような場合に保険が適用されるのか、見ていきましょう。
雷による火災や、外壁の損壊などは、当然ながら保険が適用されます。
注意したいのは、これは建物の損害だから、適用されるという点です。
火災保険の多くは、建物に対しての保証がされています。
家電は建物の一部ではありませんから、適用外と判断する保険もあります。
ですから、有事になる前に、保険内容はしっかり確認しておきましょう。
保険が家電にも適用されたとして、次にその保険を請求しなくてはなりません。
請求に必要な書類は、保険金請求書、修理費や買い替えの見積もり、損害の写真です。
そして、もっとも重要な書類が、罹災証明書です。
これは、雷が落ちたことを証明するもので、役所や消防署で発行してくれます。
この罹災証明書は必須になりますので、必ず覚えておきましょう。
雷から家電を守るグッズ
家に雷が落ちたら、保険でまかなえることは分かりました。
では、もし雷が落ちたら、指をくわえて、見ていることしかできないのでしょうか。
パソコンに被害が出てしまえば、パソコン自体は取り戻せても、中のデータは返ってきません。
そこで、おすすめするのが、避雷器です。
避雷器とは、雷サージから家電を守ってくれるグッズです。
具体的には、雷サージによる過電圧や過電流を抑制してくれる、という優れものです。
雷が家に落ちるのは、ほとんどが誘導雷ですから、避雷器はとても効果的と言えるでしょう。
もうひとつおすすめが、避雷針です。
これは、あまり一般的ではないかもしれません。
というのも、避雷針は直撃雷に対して有効的ですから、一般的な住宅に取り付ける必要性はあまりありません。
直撃雷が家に落ちるということは、かなり稀なことです。
小高い丘の、家の周りに何もないような場所に建っているのであれば、話は別ですが。
現在で、雷に効果がある対策と言えば、この2つくらいでしょうか。
直撃雷に関しては、もし家に落ちたら運が悪かったとしか言えませんが、誘導雷による被害は少なくありません。
事前に、こういった対策をしておけば、被害は少なく済むかもしれません。
雷が避雷針に落ちたら家に被害は出るのか
前述した避雷針とは、そもそもどういうものなのでしょうか。
一般の住宅で、この避雷針を付けているというお宅は、ごく少数でしょう。
まさか、我が家に限って雷が落ちるはずないと、高をくくっている人もいるかもしれません。
自然災害に絶対はありませんから、避雷針の有用性を認識する必要があります。
避雷針は、屋根などの高い位置に装着して、そこに雷を落とすためのものです。
避雷針の先端は尖っており、そこから誘導電流を発生させて、わざと雷を受け止めるようになっています。
通常だと、雷が落ちたら避雷針から家の屋根、外壁へと電気が流れるはずです。
しかし、避雷針は雷を受けても、家には被害が出ないようにできています。
その理由は、避雷針に落ちた雷をアルミや銅線に伝わらせて、地中に流してしまうからです。
詳しく解説すると、避雷針に取り付けられたアルミや銅線が、伝導率の高いほうへと雷を誘導します。
そして、そのまま地中に埋められた銅板へと電流が流れ込み、地中で放電されるという仕組みになっています。
これのおかげで、家や家電が守られるのです。
避雷器も避雷針も、我々人間ができる数少ない雷対策です。
雷を軽視せず、できる限りの対策をしておきましょう。
雷を防ぐのは不可能だからこそ、対策をしておく
雷は自然災害ですから、予期して回避することは不可能です。
ですが、その脅威から身を守る術は、少ないながらも確実にあります。
正しい知識を身につけておけば、万が一のときの保険にもなります。
「雷なんて当たるわけがない」と考えずに、当たったときのことを考えて、対策はしっかりしておきましょう。