アパートなどの賃貸物件では、室内に蟻などが発生する虫トラブルは、よく起こりがちです。
借主からすると事前に予想するのが難しく、駆除費用は大家さんがもってくれるのか、などの責任が難しいデリケートな問題でもあります。
そこで今回は、アパートで虫トラブルが起きた場合はどう対処すべきか、また蟻の駆除方法についてもご紹介します。
大家さんの業務
アパートなどの賃貸物件には、必ず大家さんなどのオーナーがいますよね。
大家さんが賃貸経営を行う際は、借主が決定さえしていれば、退去するまで何もしなくて良いわけではありません。
不動産賃貸経営には、実に色々な業務があります。
大家さんはそれを怠ってしまうと、思わぬトラブルに陥ることもあるので気をつけましょう。
なぜなら、所有する物件価値の低下は、借主の減少に繋がってしまうからです。
建物を長く綺麗にキープすることことは、借主を常に確保するためにも必要なことなのです。
今回の記事では、アパートでよく起こる、蟻などの虫トラブルについてお話しします。
その前に、大家さんはどんな業務を行っているのか、知っておきましょう。
●賃料管理
毎月振り込まれる家賃をチェックして、滞納があった場合にはその対応をします。
●建物管理
建物の外回りや共用部分の掃除、電球交換や破損箇所の修理などのメンテナンスを行います。
●クレームや契約違反者対応
借主同士のトラブルもよく起こるので、借主から寄せられる苦情にも対応しなければいけません。
●空室対策
借り手が見つからなくて空室が目立つ場合も、不動産会社などに相談して対応策を検討します。
また、借主が退去すると決まったときは、各不動産会社に連絡して、入居者を募集してもらうようにします。
●退去時
退去の立会いや敷金精算などを行います。
アパートの室内に蟻が侵入したら
アパートの室内に、大量の蟻が侵入してきて困った経験をした方は、少なくないでしょう。
毒などないと分かっていても、蟻が列をなして歩いている姿に、嫌悪感を抱く方も大勢いますよね。
借主は、一刻も早く駆除したいと思うでしょう。
そうなったらまずは、「なぜ虫トラブルが起こってしまったのか」を明確にさせる必要があります。
なぜならば、「誰が駆除費用をだすのか」を決定するためです。
わかりやすく例をあげると、室内にゴキブリが大量発生したとします。
こうなる原因は、たいていの場合は、借主が室内はゴミだらけ、掃除もしないで不潔にしていることにあります。
借主の部屋の管理に問題があるならば、借主の責任で駆除するのが一般的です。
しかし、ちゃんと清潔にしているのにもかかわらず害虫が発生する場合は、マンションのデッドスペースにネズミなどが住み着いている可能性があります。
そういった場合は、大家さんの責任となるケースが多いそうです。
数ある賃貸トラブルの中でも、虫トラブルが難しい問題だと言われている理由に「誰の責任でもないケース」が多々あるからです。
特に、蟻が室内に発生する予想は難しいのが現実です。
アパートの蟻などの害虫駆除費用は大家さんもち?
大家さんには、借主がアパートなどの部屋で、快適に住める環境を整える義務や修繕義務があります。
ですから、借主が大家さんに、「蟻などの害虫を駆除して欲しい」と言える権利もあるのです。
結果的に害虫駆除は、大家さん持ちで対処してくれる場合が多いそうです。
しかし、大家さんによっても対応は大きく違います。
大家さんの中には、「自分で駆除するか、嫌なら出て行って」と強気な対応をとることもあるそうです。
明らかに管理する大家さん側に落ち度があるのに、何も対応してくれない場合は、債務不履行として損害賠償請求できることも考えられます。
また、部屋の状態によっては入居が継続できず、引っ越しを余儀なくされるということであれば、場合によっては引っ越し費用を大家さんへ請求できる場合もあるかもしれません。
このような深刻なトラブルは誰しも避けたいので、借主と大家さんで駆除費用を折半するケースもあるようです。
虫トラブルに悩まされたら、そのときの様子をデジカメや携帯電話で撮影し、証拠を残しておきましょう。
大家さんに相談する際に提示したり、万が一、法的な対処を取らざるを得ない状況になった際にも、有利に働いてくれるでしょう。
アパートなどの室内で見かける蟻の種類
アパートでの快適な生活を邪魔する不快害虫は蟻、ゴキブリ、ハエ、クモ、蚊など色々な種類がいますね。
害虫対策は、虫ごとに様々です。
こちらでは、古いアパートや田舎の一軒家などの室内で見かける、蟻の種類についてご紹介します。
大家さんはもちろん、借主も知っておきましょう。
代表的な3種類の蟻について、さっそく見ていきましょう。
①イエヒメ蟻
家屋害虫として一番有名です。
働き蟻は体長2~2.5mmで、体色は黄色や赤褐色をしています。
暖かい場所を好みます。
ですから寒い冬は、暖かい保温性の高いマンションなどの鉄筋コンクリート造の建物によく発生します。
特に、タンスの裏や壁紙などの隙間に巣を作り、どんどん分巣していきます。
繁殖力が強いです。
②ヒメ蟻
体色は金色で、体全体に対して不釣り合いなほどに大きく、黒い腹部を持ちます。
雑食性ですが、特に糖分を好み、花の蜜に集まります。
暖かい場所を好む習性があるので、冬などは暖房をきかせている家などによく集まります。
人を咬むこともあるので、怖いですね。
③ルリ蟻
体色は黒で、腹部に金属的な光沢があります。
電化製品を巣にして、壊す恐れがあります。
アパートの室内に蟻が侵入してくる原因
そもそも、本来は外で生息するはずの蟻が、どうしてアパートなどの室内に侵入してきてしまうのでしょうか。
前項でご紹介したように、蟻の種類によっては暖を求めてやってくるようですね。
しかし、蟻が室内に侵入してくる原因の多くが「食べもの」にあります。
蟻だって人間同様に、生きていくためにはエサが必要です。
蟻達は、甘い匂いに誘われて、団体で集まってくるようです。
特に気をつけなければいけないのが、バナナなどの果物です。
果物を無造作に出しっぱなしにしていないか、借主は確認してみましょう。
蟻は頭が良く、室内に侵入すると、食べものの位置を把握しておいて、巣に帰る際にマーキングします。
その後、仲間達とゾロゾロと、団体で餌を取りに行くのです。
けれども、蟻はその場で餌を食べることはしません。
巣に持ち帰ってから食べるのです。
ですから、巣に帰っていくときに、侵入経路を探ることが可能です。
借主は、室内で蟻を発見したら、その蟻がどこへ行くのかしばらく観察してみましょう。
困ったことに、蟻は外から侵入してくるだけでなく、室内に巣を作っている場合もあります。
疑わしい場所は、観葉植物などの植木鉢や、腐りかけている木です。
では、巣を発見した場合、どう対処したらよいのでしょうか。
次は、大家さんや借主が、自分でできる蟻の駆除方法をご紹介します。
大家さんや借主が自分でできる蟻の巣の駆除方法
最後に、大家さんや借主が、今日からでも自分でできる、蟻の駆除方法についてご紹介します。
既述したように、アパートの室内で蟻の行列を見つけた場合は、すぐにその場にいる蟻を駆除したくなりますが、まずは巣のある場所を見つけることが大切です。
蟻の行列の先には、必ず巣があります。
ここでポイントとなるのが、確実に女王蟻を駆除するということです。
女王蟻を駆除できなければ、また次々と蟻の幼虫が生まれてしまいます。
スプレータイプの殺虫剤を巣穴に長時間噴射すると、女王蟻が姿を現します。
女王だけあって、普通の蟻の3~4倍は大きいので、すぐに見分けがつくでしょう。
小さな子どもがいて、スプレータイプの殺虫剤を使用したくない場合は、置き型の殺虫剤がおすすめです。
つまり、毒餌を設置するのです。
使用方法は簡単で、蟻が通る道を見つけて、その位置に毒餌を置いておくだけです。
あとは、働き蟻が餌と間違えて巣に持ち帰り、ほかの蟻達がその毒餌を食べます。
巣の中で毒餌を頒布されるので、短期間で巣ごと駆除できるというわけです。
蟻によるトラブルを回避するために
いかがでしたか。
賃貸物件に発生する蟻などの虫トラブルは、予期しないで起こることもしばしばです。
ですが、借主は、日頃から室内に蟻が侵入しないように気をつけたり、大家さんはアパートの敷地内に蟻の巣を発見したら、早めに対策をとるなどすることも大切です。