よく聞くアパート経営の利回り、新築では平均どのくらいか?

年金の破綻の懸念や、政府の推し進める働き方改革などの影響で、個人投資が今注目を浴びています。

中でも、アパート経営で運用益を得るという不動産投資が、ここ数年流行っています。

そこで、数ある不動産投資の中でも、新築アパートの経営について、その利回りなどを勉強していきましょう。

アパート経営といっても種類や規模は人それぞれ

アパート経営には、中古アパートを買い取るものと、手持ちの土地や購入した土地に新築アパートを建てるものがあります。

また、1室規模の投資から丸々1棟、そして複数棟に及ぶものまで、その規模も様々です。

まず、アパート経営を始めようという場合は、投資できる金額や所有している土地の有無などからその規模を決定します。

例えば、サラリーマンの副業として、中古アパートの1室を購入し、家賃収入を得るのもアパート経営の1つです。

また、よくあるのが、相続した土地に新築アパートを建てて、オーナーになるケースです。

なぜなら、土地をそのままで所有していると高額な固定資産税が掛かりますが、建物を建てればそれを1/3~1/4に軽減できるからです。

そして、新築アパートを経営しようとする場合、まず利回りを考えなければなりません。

それは、利回りを基準に、「利回りがこのくらいだと、何年で投資した金額が回収できる」といった実際的な計算をしていくからです。

さらに、「その後何年間にわたって、どのくらいの収益が見込めるか」など、将来的な計算も必要です。

しかし、このような初めての不動産投資を、未経験者が1人で一から勉強して始めるのは大変です。

失敗すると、大きな借金を抱えることにもなりかねません。

中古アパートと比較した新築アパート経営の特徴

そこでよく利用されるのが、不動産投資の会社と契約して、プランの相談に乗ってもらったり物件を紹介してもらう方法です。

このような不動産投資会社は何社もあり、インターネットの比較サイトなどでその特色を比べることもできます。

また、各地でセミナーなども開催されており、アパート経営のノウハウを教えてくれます。

初心者の方は、一度このようなプロに相談してみるのも方法の1つでしょう。

ところで、中古アパートを買う場合と、新築アパートを建てる場合では、どのような違いがあるのでしょうか。

まず、初期費用で比べると、もちろん中古アパートの方が安くつきますね。

ただし、融資の受けやすさや、融資の条件の良さを比較すると、担保力の高い新築アパートの方が有利です。

また、建物のデザイン性が優れていたり、設備が最新のものにできるのも新築アパートの利点です。

そして、当面は修理などの必要がないため、利回りの良い物件の場合、投資の回収が比較的スムーズに進むでしょう。

ただ、新築物件は、高い投資金額を回収するために、家賃をそれなりの金額にしなければなりません。

そのせいで、家賃が安い近隣の中古リノベーション物件などに入居者を取られる可能性があるでしょう。

つまり、新築アパートでは、集客のためにシビアに家賃設定する必要があると言えます。

新築アパート経営における表面利回りとは

では、アパート経営においてよく使われる利回りについて、具体例を挙げて解説していきましょう。

利回りとは、支出に対する利益割合のことを言いますが、不動産投資においてはだいたい次の3種類を使います。

「表面利回り」、「実質利回り」、そして「想定利回り」です。

新築アパートを購入する場合において、まずは表面利回りから説明していきましょう。

表面利回りは、年間収入÷購入価格で算出します。

例えば、1億円で、家賃10万円×10室の新築アパートを購入したとします。

その場合の表面利回りは、年間収入(100万円×12ヶ月)÷1億円=0.12となり、12%です。

つまり、表面利回りで計算すると、だいたい8年4ヶ月くらいで購入価格の1億円を回収できることになります。

そして、その後8年5ヶ月目からは月間100万円、年間1,200万円の収入が見込めるという計算になります。

ただし、表面利回りは一言でいうと大雑把な計算でしかありません。

例えば、物件を購入すると固定資産税が発生しますし、いきなり最初から全室が埋まるわけでもありません。

そのため、長期的な展望での利益計算には不向きと言えます。

表面利回りは、大雑把な物件の収益力を出す場合に使用するものと考えておきましょう。

よく物件情報に記載されている利回りは、この表面利回りが多いようです。

新築アパート経営における実質利回りとは

次に、実質利回りですが、実質利回りは表面利回りと比較すると、より純利益率に近い計算になります。

実質利回りは、(年間収入-年間支出)÷購入価格で算出します。

つまり、実質利回りは、固定資産税や火災保険料、賃貸管理や建物管理を人に任せる場合はその費用などの「経費」も考慮するのです。

例えば、先の物件で固定資産税が50万円、火災保険が10万円、賃貸管理と建物管理費が年間120万円とします。

実質利回りは、{年間収入(100万円×12ヶ月)-年間支出(固定資産税50万円+火災保険10万円+管理費等120万円)}÷1億円=0.102で、10.2%になります。

表面利回り12%であっても、実質利回りで計算すると10.2%と利回りは下がってしまいます。

そして、新築アパート経営において、今後の収益計画などを立てるためには、このようなランニングコストを加味して利回りを計算することが必要です。

ちなみに年間経費には他にもあり、例えば、将来のための修繕積立金や不動産会社に支払う費用などがあります。

不動産投資会社に支払う費用は、最初に土地・建物の仲介料など、あとは月々の管理手数料などですが、契約内容によって異なります。

そのため、諸条件を吟味して不動産投資会社を選ぶことも大切です。

新築アパート経営における想定利回りとは

では、想定利回りとは何かと言うと、満室を想定した年間の家賃収入を購入価格で割ったものです。

つまり、物件情報に記載されている表面利回りも、正確には想定表面利回りと言えます。

なぜなら、実際には空き室があるかもしれないし、物件の家賃幅のうち最高額で割り出しているかもしれないからです。

想定利回りは、あくまで満室を想定して、想定の家賃で割り出すため、想定される最高値であると思っておいた方が良いでしょう。

そして、いくら想定利回りが高い物件でも、空き室が多くては収益は上がらないため、想定の計算値に惑わされず、現状を見極めることが必要と言えます。

ちなみに、ある投資用サイトの統計レポートによると、2016年の新築アパートの平均の表面利回りは6.5%でした。

対して、築30年の中古アパートでは8.5%と、2%の差がありました。

その差はやはり、建築費などの新築アパートの初期投資の大きさによると言えるでしょう。

しかし、新築アパートで100%の入居率であり、中古アパートで70%の入居率であった場合、利回りはどうなるでしょうか。

新築アパートは6.5%×100%で実質6.5%のままですが、中古アパートは8.5%×70%で実質5.95%となり、逆転してしまいます。

このように、空き室率によって利回りは大きく変わってしまうため、実際のアパート経営では、想定利回りは参考程度と言えそうですね。

新築アパート経営は「投資」であることを忘れずに

今回は、新築アパート経営における利回りについて見てきました。

よく、アパート経営の不動産投資のサイトには、「安定した家賃収入」「将来にわたる資産形成」などと魅力的な言葉が並んでいます。

もちろん、うまくいけばその言葉通り、将来にわたって安定した収入が得られ、子孫に残せる資産が作れるかもしれません。

ただ、これまで述べてきたように、物件情報に載っているような表面利回りは実際的ではありません。

また、常に空き室のない状況を何十年も続けられるかと言えば難しいでしょう。

最悪の場合、収益が新築アパート建築のローンの支払金額を下回ってしまうこともあり得るのです。

このように新築アパート経営は、あくまで「投資」であり、それを確実に資産形成につなげていくには実質利回りの把握が必要不可欠です。

また、計画段階でしっかりとした将来設計や実質利回りの計算を行い、現実に沿ってそれを修正したり見直しをすることも必要です。

そう考えると、アパート経営も、社員は自分一人といえども、ひとつの会社経営と同じであると言えるのではないでしょうか。

経費節減などの努力で、より高い利回りを実現できれば、さらなる投資も夢ではありませんね。

まずはアパート経営の勉強から始めよう

新築アパート経営は、一室であれ一棟であれ、大きな金額のお金を動かす投資です。

しかし、株や為替に比べて、比較的安定した資産づくりができるのが不動産投資の魅力と言えます。

ただ、不動産投資を成功させるためには、情報収集や緻密な計画とシュミレーション、また見直しできる柔軟性などが必要です。

皆さんも将来に備えて、まずはアパート経営の利回りの勉強から始めてみてはいかがでしょうか。